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コメ作りは儲かる ローアモシ日本、灌漑稲作発展に貢献

9月6日号より続き】
 タンザニアにおいて、コメはメイズ(トウモロコシ)に次ぐ穀物生産量を誇る重要な作物となっている。国内需要も高まっており、以前はトウモロコシの粉を熱湯に入れて練って固めた「ウガリ」が主食であったが、最近では保存が効いて美味しいコメに変わってきているとのこと。そのコメ作りにおいて日本は大きな成果を上げており、2日目は継続的な支援が実を結び、タンザニア国内に大きな影響を与えたローアモシ灌漑地区と隣接するキリマンジャロ農業研修センター(以下、KATC)を中心に回った。

 キリマンジャロ州のローアモシ地域は日本の有償資金協力で近代的な灌漑地区を整備。1984年から着工を開始して1100haの水田と1200haの畑地(主にトウモロコシやヒマワリなどを生産)を造成。耕うんや収穫時にはトラクタやコンバインなどの機械を使用する作業請負サービスを活用して、全国平均の約3倍となる1haあたり6tというコメの収量を達成している。
 油断すると首を痛めそうな悪路を進み、飛び込んできた見渡す限りの水田は初日に見た狭いほ場とはうって変わり、日本国内で見慣れた100m×30mの水田がバオバブの木を囲むように広がっていた。JICAチームからの「この地は稲作技術の普及が上手くいった場所」との説明通り、近隣農家の住居は他の場所より立派に見え、民間の精米所も多数存在。コメがビジネスになっていることが伺えた。
 また、同地区の農民組合との協議の際に聞いた「一番儲かる作物はコメ。もっと耕作面積を増やしたいと考えている」といった声や、実際に灌漑地区外の上流域に農民自ら開拓した数百ha規模のほ場が広がっていた光景を見て、コメが換金性の高い作物として捉えられていることを認識させられた。
 隣接したKATCはローアモシ灌漑地区の稲作を指導するために1970年代からキリマンジャロ州政府の研修機関として技術協力プロジェクトを実施。1994年には、この地の成功事例を全国に普及させるために農業省傘下の研修機関となっている。訪問時は農業省予算で改修工事の真っ最中。センター内には精米施設や農業機械の修理工場などの施設を備えているほか、農業機械の事故はほ場より公道の方が多いことから、日本の自動車教習所を模したドライビングコースも設けていた。

 近年は定員以上の入校希望があるため増員できる体制を整えている、とニコデモス・シャウリタンガ校長。「生産性向上に資する技術などを中心に指導しており、卒業生の中には10tも上げている者もいる」などと述べた。その上で「タンザニア国内の人口は増えているが農家戸数は減少している。高齢化が進み、後継者がいないのが問題」と、日本と同様の問題が生じている点は興味深かった(佐藤記者)。

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