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肥料高騰へ新支援策 上昇分7割を補填 使用量2割低減要件に

肥料高騰へ新支援策 上昇分7割を補填 使用量2割低減要件に
肥料原料の価格高騰対策について、政府が7月1日に開いた物価・賃金・生活総合対策本部の幹事会で農水省が基本的な仕組みを明らかにした。化学肥料の使用量2割低減する取組を行う農業者に対し、肥料コスト上昇分の7割を補てんする形となる。今回示されたのはあくまで骨子案であり、今後詳細な検討が進められていくこととなる。なお、幹事会では、地方公共団体における原油価格・物価高騰対策も紹介しており、資料では農林水産業者への対策として23件を挙げている。

 農産品の生産コストのうち、肥料コストは全体の1~2割程度となっているが、このコストが昨年と今年6月以降と比較すると約1・7倍にまで上昇しており、農業経営を圧迫している。
 こうしたことから現在検討を進めている新たな肥料原料の高騰対策の支援は、農産品全般の生産コスト1割削減を目指して、化学肥料2割低減の取組を行う農業者の肥料コスト上昇分の7割を補てんするというもの。補てん額は6月以降の購入分に遡って対象とする。これにより足元の肥料高騰に伴うコスト増を抑制するとともに、先ごろ設定した2030年化学肥料2割低減目標の達成に向けて先行して取り組む農業者を強力に支援することで、農業のグリーン化を強力に推進していくこととしている。今回示されたのはあくまで骨子案。6月21日に開かれた物価・賃金・生活総合対策本部の本部会合において岸田首相は「2008年の対策も参考に、グリーン農業と肥料高騰への大胆な支援を組み合わせた、新しい支援金の仕組みを創設し、実施していく」としており、今後どのような制度となるか注目される。
 なお、幹事会では、地方公共団体における原油価格・物価高騰対策について、各都道府県・政令指定都市の公表資料をもとに総務省が作成した資料(令和4年6月29日現在)を紹介している。このなかで農林水産業については、23件の支援策を示している。
 具体的には、北海道では農業分野における原油価格・物価高騰等緊急対策事業費に24億4831万円を計上。価格高騰の影響を受けている燃油、飼料、肥料の営農経費に対し機器等の導入費の2分の1以内、肥料1tあたり3125円などを支援する。
 また、福島県は国産小麦産地生産性向上事業に1615万円を計上した。同事業では国産小麦等の安定供給体制を強化するため、水田における麦生産の推進に要する経費の一部を補助する。茨城県はいばらきオーガニック生産拡大加速化事業に1億円を計上。有機農業への転換に向け機械や資材の導入(有機JAS認証取得者等が行う機械・資材導入費)などを支援する。
 千葉県では畜産飼料価格高騰緊急対策事業に8億6700万円を計上。畜産農家に対し、配合飼料価格安定制度への積立及び粗飼料の購入に要した経費について支援金を給付(配合飼料の令和4年当初契約数量1tあたり600円など)する。また千葉市では、肥料価格高騰対策として、7900万円を計上。農業者の負担軽減を図るため、200万円を上限に肥料費の高騰分を助成する。
 福岡県では肥料の購入経費支援として22億3300万円を計上。上昇分の2分の1を助成する。また、福岡では小麦の安定供給体制の強化として3億1600万円を計上。県産小麦の生産拡大と生産性向上を図るため、土壌診断の実施やドローン農薬散布、団地化、スマート農業機械の導入を支援する。

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