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移住し木の魅力実感 とおわ守人企業組合の塙賢治さん 目指せ林業プロ 我が社のホープ

東京でのサラリーマン暮らしから3年前に高知県四万十町に移住して林業生活をスタートさせた塙賢治さん(37歳)。とおわ守人(もりと)企業組合(八木敏伸代表理事、高知県高岡郡四万十町久保川169ー5)に入社して3年目で、〝造林の師匠〟と仰ぐ友(とも)直人班長ら先輩社員の指導を受けながらプロの山師を目指し励んでいる。
 移住のきっかけになったのは、子育て環境を考えてのこと。「妻とものびのびした場所で育てたいなと話し合っていました。私は北海道出身で妻は愛媛県なのでどちらにしようか検討している矢先、私の両親が愛媛県で暮らす兄と同居することになり、四国に絞って探すところから始まりました」。
 転居エリアの次に考えなければいけないのが仕事。以前から興味のあった一次産業の中から調べるうちに林業に惹かれ、高知県林業労働力確保支援センターが都市圏で開催する「こうちフォレストスクール」を受講。そこで林業の基礎知識や移住に関するアドバイスを得て高知県立林業大学校に入学。インターンシップで体験した中から、現在の、とおわ守人企業組合に入社した。
 「山仕事全てに関わりたいと考えていたので、林産だけでなく造林も手掛けていることに魅力を感じた」と塙さん。今年で創業10年目の同社。作業員は現在16名。30歳代が最も多い活気のある事業体で、今年度の素材生産量は間伐を中心に年間4000㎥のほか、造林では地拵えなど80‌haを予定。林業が盛んな旧十和地域でも造林まで請け負う業者は少ないことから愛媛県からも作業依頼を受けている。
 塙さんの仕事内容は造林が7割で林産が3割。造林では地拵え後の植え付けから鹿よけネット張り、枝打ちなどを行い、林産ではチェンソーによる伐採やフォワーダによる運搬を担当している。「造林作業にやり甲斐を感じています。今一番楽しい仕事は枝打ち。キツイ仕事?何をやっても辛いです」と笑う。同地域は急傾斜の現場が多いだけでなく、サラサラした土質の難所だらけ。取材に伺った記者も慣れないために軽い滑落を何度もしてしまった。苗木や資材を担いで現場に行くだけでも大変では、と尋ねると「体力的にきつい現場は多いですが、自分の手で山を育てていることが実感できて楽しいです。ヘトヘトになって帰る分、ビールの味は格別ですよ」と言う仕草をみていると、旨そうな飲みっぷりが想像できた。
 憧れだった田舎暮らしに話を振ると、「町の人も温かく迎え入れてくれて、2歳になった我が子も走り回るスペースがたくさんあり、元気に育っています」と話す。自身もカヤックを楽しみ、鹿や猪の罠猟では昨年20頭以上捕獲したとか。「自宅にいる時間ができた分、積極的に子育てに関わったり草刈りをはじめとする家仕事に追い回されている感じ。去年薪ストーブを入れたので、今年は薪小屋と車庫を木で作る予定。山から降りてもキツくて楽しい仕事に追われてますよ」と苦笑した。最後に、「ここに住む人達は木を上手く使っています。もっと木材の魅力が認識され、山を持つ人も山で働く人も皆がハッピーになる世界が実現することを信じてます」。
   ◇ ◇
 本レポートは各地のJ―クレジット発行体を取材した「カーボン・オフセットで森づくり」に続き、各素材生産業者や森林組合などから若手林業従事者を紹介いただき、林業に入った感想などを聞くと共に、各事業体代表者などから人材獲得や育成について取り組んでいる工夫などを聞く。

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