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静岡県農業経営士協会茶部会・西原部会長に聞く

静岡県は、荒茶生産量が全国1位のシェアを誇る日本一の茶産地であるとともに、全国の茶の55%が集まる集散地でもあり、製茶機械メーカーなどの茶関連産業が集積している。そのなかで、静岡県農業経営士協会は7支部と、茶や果樹、耕種など10部会で、講演会・視察研修・情報交換活動を実施。同協会茶部会の部会長で、川根本町の農事組合法人川根美味しいたけで代表理事を務める西原睦実氏(61歳)に話を聞いた。

 ――茶部会について。
「コロナの影響で2年間も総会を開催できていないが、茶部会の会員数は43人となっている。夏と秋の研修会と視察も中止になった。昨年は、何とか新茶直前情報交換会の『ファイト!静岡茶』を開催。行政からの情報を会員に流布するのは大事なので、情報を得るようにしている」
 ――茶部会の農家の現状について。
「茶の経営形態は様々で、生葉だけ生産している方もいれば、荒茶まで製造する方、小売りまで手掛ける方もいる。ただ、潤っている方はまずいない。経営は厳しいと思う。やはり、急須を持たない人が多くなり、リーフ茶の需要が低下したことが大きな要因。ペットボトルのお茶が売れているといっても、原料費はかなり低い。生産量は10年前から半減していないが、売上高は半減している」
 ――課題と解決に向 けた取組は。
「経営が厳しいと離農される方もいて、その方たちの茶園を引き受け、私のところも規模を拡大している。そのためには、省力化しないといけない。また、農薬の使用量を減らすことが世界的な流れになっており、輸出先から有機認証取得を要望される。そのため、病害虫に強い品種への切替に率先して取組んでいる方もいる。様々な補助金を活用して、基盤整備をしていかなくてはならない」
 ――『粉引き』についてのお考え。
「江戸時代からの理解できない風習で、ほかの農産物にはない制度。昔は機械がなく、茶に紛れ込んだ土間の埃を省くためのものだったが、今は機械があるのでそんなことはない。多くの農家が苦しめられている。前部会長も撤廃に向けて活動していたが、私も撤廃を訴えていきたい」
 ――西原部会長ご自 身の経営。
「川根美味しいたけのキノコセンターでは、完全空調培養設備、高圧殺菌釜、クラス100の植菌室、陽圧によるCO2管理で、年間約100万床のキノコ用菌床を製造し、県内のキノコ栽培者へ直送している。また、製茶工場かわね山処苑の生産規模は、組合員15名が20‌ha、生葉提供者16名が40‌ha、うち自社ほ場は10‌ha。荒茶として製造し、JAや地元の茶商約30社に販売している。また、一番茶はアメリカ、二番茶はアメリカと台湾、秋冬番茶は半分以上が台湾に輸出している。JGAP認証を取得し、有機JAS認証は申請中。省力化を目指した茶園管理のため、なるべく機械で管理。ほ場の整備も進めている」
 ――スマート農業への取組は。
「最初に手掛けたのは、ECセンサーによる肥培管理。今後は、GPSを利用した施肥や、摘採の機械を入れたいと思っている」
 ――農機メーカーへの要望と期待。
「メーカーに限ったわけではないが、海外に生産拠点を置く企業が多い。そのため、部品がないからと、ダンプにしても納車まで1年もかかった。雇用創出のためにも、国内生産を取り戻してほしい」
 ――今後の展望。
「私のところの社員は若いので、とにかく生き残れる茶業にしていきたい。そのために、利益が出ているうちに、どんどん基盤整備を進めたい」

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