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『納豆菌の力』テーマ 2021年度実証報告会 ~Amoni~

近年、高品質の作物を育てるため重要な土づくり、土壌微生物の改善が再注目されている。農業に関する企業が参画し運営する営農ソリューション・ポータルサイト『Amoni』は10日、土壌環境を改善する微生物資材「納豆菌の力」に関する2021年度実証結果報告会をオンライン開催した。報告されたのは、水稲、バレイショ、ダイコン、タマネギ、メロン。講師は、土壌医検定2級、施肥技術マイスターの資格を持つ、井関農機・夢ある農業ソリューション推進部の大森信吾氏。
【納豆菌の力とは】微生物資材で、枯草菌の一種を10種類(それぞれに培養)決まった割合で配合している。そのため安定した効果が出やすい。形状は液体。ジャンルは、バイオスティミュラント(生物刺激剤)。
 枯草菌はわらなどの有機物を最初に細かくしてくれる微生物で微生物の食物連鎖のピラミッドの底辺を形作り、原型のあるような大きなものを分解する。これが増えることにより、大きな有機物が多く分解される→ピラミッドの次の階層のさらに細かく分解する微生物群が増える→それをもっと細かく分解する最上層の微生物群(有機物を植物がエネルギーとして利用できる大きさにまで分解する)が増える。また増えた微生物が死滅すると、これも栄養になるといったサイクルで微生物の生態系が活性化し肥沃な土になる。これが収量増加、環境に強い作物に繋がる。使用方法は様々。移植機散布、苗散布、播種直後に除草剤と一緒に散布、生育途中に農薬に混ぜて散布もできる。
【実証試験の結果】
《水稲》①納豆菌の力のわら分解試験(愛媛・秋田・茨城県で、11月にわら袋にわらを50gずつ詰めて年明けにどれくらい減ったか試験)=地域によって差が見られた②収量調査(同じほ場内を2分割し、秋起こし前に一方に乗用管理機納豆菌の力を散布)=納豆菌の力処理区は株がどっしり、倒伏も少なかった。1穂あたり籾数、千粒重も多く、その結果、精玄米収量は無処理区が507㎏/10a、納豆菌の力処理区は582㎏/10aと、10a当たり約1俵収量がアップ。※特栽米の収量安定にもいいのでは(考察)。
《バレイショ》①そうか病の発生割合調査(同じ畝で試験区を設置し収穫後にサンプリングし外見でそうか病の有無を判断)=無処理区:20・2%、納豆菌の力処理区1.3%。そうか病は抑えられていた(理由は不明。今後さらに検討が必要)②収量調査(同)=無処理区:3831㎏/10a、納豆菌の力処理区:4113㎏/10aと7.3%増収。球ぞろいも向上。
《ダイコン》①収量調査(同じ畝で試験区を設置)=試験区・納豆菌の力処理区とも同等(20本とり重量を比較)②病害調査(同)=無処理区は軟腐病が出たが、納豆菌の力処理区は発生がなかった。
《タマネギ》①収量調査A(神奈川県:同畝で移植機同時散布)=無処理区:5359㎏/10a、納豆菌の力処理区:6281㎏/10aと17%増収B(北海道・帯広:除草剤混用散布)=無処理区:6300㎏/10a、納豆菌の力処理区:6800㎏/10aと7%増収。小玉、腐敗球も減少。
《メロン》①収量調査(納豆菌ドブ漬け+着果後株元潅注)=無処理区:1445g、納豆菌の力処理区:1569g。果実量が8.5%増加した。糖度も上がる傾向だった。
 「納豆菌の力」は500㎖ボトルが5500円、5ℓが3万5000円。水稲では50㎖/10aの納豆菌の力(原液量換算)、野菜では同500㎖(同)で効果がみられる。販売は井関農機の販売代理店。
《質疑応答》▽納豆菌の力の働きやすい温度=氷点下~60℃くらいまで大丈夫だが20~35℃くらいが働きがいい▽堆肥との相性=一緒に使用するのは効果的。その他多数。

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