農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

10月１～３日に開催された「農業ＷＥＥＫ」で、農薬卸の高岡屋（宇野彰一社長、本社：滋賀県草津市）は、種子の表面に農薬（種子処理剤、以下ＦＳ剤）やバイオスティミュラント（ＢＳ）を塗布する「種子コーティング請負サービス」の『神煉』（カミネリ）を紹介した。２０２６年より正式に事業を開始する。
　種子コーティング請負サービスでは、全国の農家や法人から種子を預かり、異なるメーカーの農薬やＢＳ資材を混用して種子にコーティング加工することができるため、防除したい病害虫や目的に応じて最適化できる。
　請負に出すことで作業の手間を省き、資材の計量など人的作業のミスを防ぐことも可能だ。移植栽培では箱施用から切り替えができ、高密度播種苗でも１反あたりの適切な施薬量を保つことができる。また、乾田直播栽培にも対応しているため、大規模面積を管理する生産者にとっては時間や労力の削減が期待される。また、ＦＳ剤の使用により、従来の箱粒剤と比べてプラスチック包装資材や輸送量の削減にもつながり、環境負荷の低減にも寄与する。
　生育への影響については、水稲の試験で未処理区と比較して発芽率に差は見られず、初期生育において差が確認されたものの、その後の生育は順調だったという。
　請負は、20㎏以上から対応し、小ロットでも可能なため、新しい資材や技術の検証ができる。
　農薬卸として業界屈指の「技」を持つ同社だからこそ「巧」の技術でコーティング処理も徹底。農薬取締法に基づいた正確な薬剤計量、処理日・使用薬剤量・水分値などの詳細な作業記録の徹底、洗浄・ロット管理によるコンタミ（異物混入）防止など、確実な管理体制で運用される。預かった種子は1袋ずつＱＲコードで管理され、コーティングから乾燥、包装・出荷まで安全かつ確実に対応する。
　なお、直播の場合は乾田直播用に限られ、湛水直播用のカルパーコーティングや鉄コーティングには対応していない。
　高岡屋では、特許取得済みの「流動乾燥機」および「流動乾燥処理システム」の開発・販売も行っており、農作業の省力化・省コスト化を目指している。
　担当者の村田所長は「種子コーティングの請負は、さまざまなメリットがあり、ぜひ使ってみてほしい」と話していた。