日産化学 難防除ホタルイに卓効 新規水稲除草剤「ベルダー」
難防除カヤツリグサ科雑草に卓効
ホタルイや多年生雑草をまとめて防除する新規成分「ベルダー」
近年、地球温暖化の影響により高温の日が続き、雑草の生育が早まっているといわれる。特に水田で発生するホタルイや多年生カヤツリグサ科雑草は、イネから養分を奪うことで収量や品質の低下を招くほか、収穫時にはコンバインに絡みついて作業効率を低下させるなど、生産者を悩ませている。昨年上市した「ベルダー」は、日産化学が発明・開発した水稲用の新規除草成分である。防除が難しいホタルイや多年生カヤツリグサ科雑草に卓効を示し、まとめて枯らすことができる。本稿では、同社が長年をかけて発明・開発した「ベルダー」について紹介する。
ALS阻害剤の課題解決へ
同社はこれまで、「シリウス」や「アルテア」といったALS阻害剤を水稲用除草剤として創製・上市してきた。
ALS阻害剤は、少ない薬量で幅広い雑草を防除できる一方、抵抗性雑草が発生しやすいという課題を抱えていた。また、同社の市場分析によると、イヌホタルイに有効な成分はノビエに有効な成分と比べて少なく、わずか3~4剤程度に限られていた。さらに、多年生カヤツリグサ科雑草の防除はALS阻害剤に大きく依存していることも明らかになった。
そこで同社は、イヌホタルイと多年生カヤツリグサ科雑草を同時に防除できる新たな有効成分の創製に着手した。
農薬には例がない独自の分子設計で新成分を創製
「ベルダー」の発見・選抜に至るまでにはさまざまな課題があった。その一つが、カヤツリグサ科雑草に高い除草効果を示しながら、イネには薬害が生じない分子設計を実現することだった。同社の生物科学研究所による精度の高い「生物評価」と、物質科学研究所による「精密有機合成」の連携により、既存農薬には見られなかった「4員環ラクタム構造」と呼ばれる農薬には例がない化学構造にたどり着いた。既存の知見にとらわれない斬新な分子設計こそが、ベルダーの安定した高い除草効果と優れた作物選択性を実現した。こうして誕生したベルダーは、水稲栽培の省力化に資する「田植え同時処理」にも対応可能となった。
ドローン散布にも対応
また、ベルダーを配合した製品群には、無人航空機に対応したエアー粒剤もラインアップされている。高濃度少量散布でも高い活性を示し、水稲への安全性にも優れることから、ドローンなど無人航空機を活用した省力防除体系への展開も期待されている。
「ゼアス」「銀河α」として展開
現在、ベルダーを含む一発処理剤は、「ゼアス」「銀河α」として販売されている。さらに、他社でもベルダー配合製品が展開されており、今後さらなる普及拡大が期待される。
写真キャプション
ベルダーを配合した一発処理剤「ゼアス」と「銀河α」。ホタルイや多年生カヤツリグサ科雑草に高い効果を発揮し、ドローン散布に対応したエアー粒剤も展開している。





