農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

ビジョンテック（岡田周平代表取締役、茨城県つくば市）の提供する「散布の助」は、気象変化や資材高騰など、近年の農業現場が直面する課題に対応するために開発された「ドローン農薬散布支援スケジューラ」である。圃場適期ごとの防除適期を考慮し、効率的な散布スケジュールの立案と、実施、報告までをＰＣやスマホで簡単に行うことができる。
　近年、夏の高温など急激な気象変化により、作物の生育時期が変化し、従来は発生しなかった地域で病害虫が確認されるケースも増えている。一方で、みどりの食料システム戦略では化学農薬の使用量削減が求められており、「適切な時期に、適切な量・回数での防除」が重要視されている。
　「散布の助」は、圃場単位で防除の適期を予測できる点が最大の特長だ。これは、農林水産省の委託プロジェクト研究「省力的なＩＰＭを実現する病害虫予報技術の開発」の実証成果をもとに開発されたもので、精度の高い散布計画の立案と実行を支援する。
　さらに、ドローンのメーカーを問わず利用可能で、複数の事業者による共同防除にも対応。発注者と受注者が双方で「散布の助」を利用することで、圃場位置の正確な共有や、散布実績の簡易報告が可能となる。
　今年度はトライアル期間中だが、開発元となった補助事業の実証では、従来比で作業時間を46・３％削減する成果が得られている。
　これは、実際の散布作業だけでなく、受発注や現地確認などの時間コストを大幅に削減できたことによる。
　価格体系については、令和７年度中は無償トライアルを実施中で、ユーザーからのフィードバックをもとに今後の料金設計を進めている。
　今後は、少人数の事業者でもまとまった面積の防除業務を受注できるよう、「共同受注」に対応したシステム構築を進める予定だ。これにより、安定した収益確保や増収につながる仕組みづくりを目指している。
　また、急な天候変化によるスケジュールの重複など、請負防除が抱える課題にも対応すべく、多人数で余裕のある防除計画の実現に向けたニーズにも応えていく。