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日本植物防疫協会が「農薬の新施用技術検討協議会」を開催 常温煙霧処理やドローン技術で省力化を推進

 日本植物防疫協会(早川泰弘理事長)は3月18日、オンラインで「農薬の新施用技術検討協議会」を開催した。2021年からスタートしたこの協議会では、省力化に役立つドローンや常温煙霧処理、散布水量の低減について検討が行われ、日本植物防疫協会をはじめ、都道府県、薬剤メーカー、防除機メーカーなど260名が参加した。

 はじめに、農薬の無人処理が可能な常温煙霧処理について検討。常温煙霧処理は、薬剤をセットするだけで夜間に無人で防除できるため、省力化に役立ち、作業者の暴露がなく、安全性にも寄与する。一方で、登録農薬数が十分ではないことが課題だ。普及を進めるためには、まずは常温煙霧登録が多い「なす」「きゅうり」において、天敵と常温煙霧を組み合わせた省力的な防除体系の確立が求められている。
 これを進めている高知県の報告では「キュウリの天敵導入を進めているが、虫媒介のウイルス病で普及率が伸び悩んでいる。殺菌剤に比べて殺虫剤の常温煙霧登録も少なく、ミナミキイロアザミウマ対策として殺虫剤を手散布し、殺菌剤も一緒に散布しているのが現状」と説明。また、「実証している生産者は、貸出し用の常温煙霧機を使って省力効果を実感して購入するケースがあるが、横展開するには常温煙霧の農薬登録が少ない。殺虫剤の登録が進めば機械の導入も進むのではないか」とした。なお、現状では常温煙霧の普及はごく僅かであるとした。
 また、常温煙霧の農薬登録を推進するには、県が連携することが必要、との意見が出た。高知県が6県から聞き取りを行ったところ、トマト、イチゴ、ピーマンで登録の要望があったとしている。
 日植防では、圃場試験費の助成を行っており(農水省を通じて都道府県から登録要望のある農薬について、圃場試験経費の2分の1を助成する助成事業)、常温煙霧も積極的に助成しているため活用してほしいと述べた。また、要望のあった、県の連携の枠組みについても検討するとした。
 次に、常温煙霧の定義について確認があった。農薬ラベルには、「専用の常温煙霧機」と表記されており、改めて定義する必要があったためだ。定義は、「熱源を使用せず、エアコンプレッサーから送られた圧縮空気と薬液を2流体ノズル内で混合し、極めて微細な粒子(平均15㎛以下)をノズルから噴出する無人防除機。薬液の拡散を均一にするため、補助送風機や循環扇を使用し、農業用ハウスで使用する」とされた。なお、粒子径等の検査は、農研機構農業機械研究部門の協力のもと行われるとした。
 そして、現在試験で用いられている常温煙霧機「LVH」以外の機器についても、常温煙霧の定義を満たし、かつ委託試験で2例以上効果が確認された機器を協議会のホームページに掲載し、指導関係機関の参考にするとした。
 その後、日植防から自主研究課題「常温煙霧機を用いたキュウリうどんこ病に対する微生物農薬の防除効果」について発表された。微生物農薬は、散布すると菌が葉に定着し、病原菌の侵入を防ぐ役割があり、IPM(総合的病害虫管理)にも有用で、使用回数の制限がなく、天敵への影響も少なく、薬剤耐性菌リスクも低いというメリットがある。しかし、発生後に散布すると効果が低く、繰り返し処理すると多大な労力を要するため、省力化処理技術の導入が求められている。
 そこで、希釈倍数や散布間隔を変えて手散布と常温煙霧処理の防除効果を比較した結果、いずれの常温煙霧処理区も手散布と同等以上の効果が得られたため、常温煙霧処理への適用性は十分にあると述べた。
 検討会では、今後の課題として①効果的な処理方法の検討(吐出量や送風時間の差による防除効果や付着量の検討)②大型ハウスでの適用(必要台数や循環扇の位置・数)③試験法の整備(最低面積)、そして、各県の登録試験(作物、病害虫での取組み)状況の情報共有が挙げられた。
 また、有光工業では、試験機を有償貸出しすると発表した。

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