BASF 節水型乾田直播で 国内初成果保証型サービス
2024年に節水型乾田直播栽培の実証試験を実施
BASFジャパンは1月30日、節水型乾田直播栽培を行う農業者向けに、雑草管理を請け負い、成果を保証する新サービス「ⅹarvio HEALTHY FIELDS(ザルビオヘルシーフィールド)」を国内でリリースした。乾直の最大課題である雑草防除を請負い、安定収量を支援する同サービスは、AIを活用した雑草管理プログラムを導入し、栽培の効率化や環境負荷低減にも貢献する。昨年の現地実証試験で高い成果を確認。持続可能な農業に向け新たな選択肢を提供する。
同社はサービス開始に伴い、1月30日に都内で記者発表を実施。アグロソリューション事業部の野田信介事業部長、サービス担当の鑓田啓亮氏、節水型乾田直播栽培で雑草管理プログラムの実証試験を行ったヤマザキライスの山﨑能央代表取締役が、それぞれ詳細を説明した。
水稲の節水型乾田直播栽培は、水を張らずに田んぼへ直接種をまき、出芽後も湛水せず、必要に応じた灌水のみ行う栽培方法。均平作業や代掻き、田植え、さらに水管理も不要になるため、労働力とコストの大幅な削減が可能となる。また、水を張らないことでメタンガスの発生を抑える効果もある。
一方で、この栽培方法の最大の課題は雑草防除だ。新たにリリースしたザルビオヘルシーフィールドは、水稲の節水型乾田直播栽培のほ場の雑草管理を請け負い、その成果を保証するという日本初のサービス。
サービス内容は、雑草管理プログラムや除草剤、除草剤の散布作業代金を含み、料金は10a当たり1万9800円から最大3万4800円。成果保証ではあらかじめ「分げつ期まで」「幼穂形成期まで」「乳熟期まで」の3パターンの保証期間から選択。保証期間終了後、圃場内の特定範囲で残草量を確認し、1~3のクラスに分類。2・3クラスに分類された場合、最大で全額返金される。
今年は、本州の約30ha以上を経営する生産者を対象に、全体で500~1000haの普及を目指す。
同社は昨年、ヤマザキライスの圃場において、土壌条件の異なる圃場間でAIを活用した栽培管理システム「ザルビオフィールドマネージャー」の雑草管理プログラムを活用した節水型乾田直播栽培を行った。雑草の抑制に成功し、移植栽培とほぼ同等の品質と収量を達成。さらに工程数の削減により、労働時間を約70%削減、また水を張らないことによりメタンガスも約85%抑制された。
ヤマザキライスの山﨑代表は、「耕作面積が急激に拡大していく中、これまで当たり前だった均平作業や育苗、代掻き、移植などの作業がコスト高の要因で事業継承の障害にもなっている。湛水型乾田直播を行うには大型トラクタが必要だが、節水型乾田直播栽培は、バイオスティミュラントを活用すれば、小中規模の農家でも転向できる」と述べた。同氏によると出芽後に水をほとんど張らなくても、ビール酵母(アサヒ)や菌根菌などのバイオスティミュラントを種子に塗布・粉衣することで、しっかりとした根を生やすことができるという。また移植栽培は約70日間、水管理が必要だが、土が乾いたら入水するため通水約5回程度に抑えられた。そして栽培コストも1㎏当たり75円と、国内の平均生産費(254円)と比べて大幅な削減につながったと述べた。
野田事業部長は、「農機やシステム、センシング技術を持つ世界中のパートナーと連携し、最高のソリューションを生産者に届けていく」と力強く述べた。