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【新春トップインタビュー】「激動の時代の舵をどう取るか」三菱マヒンドラ農機CEO取締役社長齋藤徹氏

【新春トップインタビュー】「激動の時代の舵をどう取るか」三菱マヒンドラ農機CEO取締役社長齋藤徹氏

2024年の概況


「弊社は国内と米国の比重が大きいということもあって、非常に厳しかった。特に米国は、金利高止まりの状態が続いてきたことの影響でコンパクトトラクターの在庫調整が想定以上に長引いている。ただ、25年はトランプ政権となり、先の読めない面があるものの、選挙公約の景気対策を次々と出してくると思うので、回復を期待したい。国内市場も厳しい状況が続き、本機(トラ・コン・田)は前年比9割弱くらいの売上に止まったが、23年に発売した国内初のショートディスクハロー『KUSANAGI』やトルコ・ヒサルラー社のディスクハロー、草刈機などの作業機や提携商品、整備売上、中古などでカバーし微減に抑えることができた。その後、秋口からは、全国的に米価が上昇し、稲作農家を中心に市況が上向いてきた。そこにフルモデルチェンジした小型トラクターXSシリーズ(クロスエス)を市場へ投入。発売キャンペーンも打って推進を強化し、幸先のいいスタートを切ることができた」
 

厳しい環境が見込まれた24年でしたが、事業方針をどう打ち出していましたか


「『既存事業を堅守』しつつ『新規事業を起こすことを考える元年』とした。また、新しいスローガンとして『Together We Challenge~挑戦する喜びの共創~』を掲げた。挑戦とは新たなことに挑む精神。共創とは生産者やビジネスパートナーと協力しながら価値を生み出すことを意味している。このスローガンを軸に、既存事業は社内改革、事業効率のアップ、意志決定の迅速化、コスト削減を行いつつ、新規事業の開拓を同時に進めた」
 

既存事業の深化


「24年は創業110周年にあたるため、記念企画としてGAトラクターの限定カラーモデル販売、KUSANAGIのキャンペーンなどをWebで実施した。Webを通じた集客は周年企画以外にも様々実施しており、手応えを得ている。KUSANAGIは秋にスタートした周年企画だけで既に600件を超える応募を頂いている。23年に発売した国産初のショートディスクハロー、KUSANAGIは非常に好評で、食料農業工学会でも2024年度優秀賞を頂いた。弊社は他社がやっていない分野で独自商品を開発し勝負していきたい。KUSANAGIはトルコ・ヒサルラー社の大型機から着想し、中型の45~60馬力層をターゲットに多くの独自改良を加えた製品だ。KUSANAGIは60馬力までだが、その上の馬力に対応できる製品を25年中に上市する予定だ」
「コンパクトトラクターを久々にフルモデルチェンジしXS(クロスエス)シリーズ(18~25馬力)として発売した。クロスの命名には〝これからお客様と一緒に農業を良くしていこう〟という共創の想いをこめた。均平耕耘システムを全モデルに標準装備して〝綺麗な仕上がりとフィットする使いやすさで心地よい作業性〟がコンセプト。秋田県種苗交換会で初披露したところ、そのデザイン性が若い層にも非常に好評だった。デザインの作り込みは元大手自動車メーカーのデザイナーにもサポート頂いた。実演等で乗ってもらえば、進化を実感頂けるものと思う」
 

三菱の独自技術とは


「弊社の誇る独自技術としては、紙マルチ田植機がある。数は多くないが、有機の米づくりを行っている農家には究極の田植機となっている。24年に島根県大田市と有機米の産地づくりで連携協定を結んだ。報告試食会を同市と行ったが、非常に良い成果が得られた。収量は過去平均を上回り、食味も優れており(平均81)、大田市からも高い評価を頂いている。今までは1週間10名ほどで行っていた除草作業が、紙マルチ田植機の導入により不要になったなどの嬉しい声もあった。紙マルチ田植機は低水位栽培のため根がしっかり張り、草を抑制しながらも生育が良い。そのため他の栽培方法と比較して収量食味ともに高く安定する。また、多少収量が落ちても、有機栽培なので慣行栽培よりも高値で取引できる。前年産でさえも有機JAS認定を受けている米は下値で1俵2万4000円だった。紙マルチ田植機の普及は、ハードルが高いと思われがちなこともあり簡単ではないが、環境保全型の米づくりを行う生産者に向けて市場開拓を進めていきたい。また、もう1つの柱がペースト施肥田植機だ。はじめはマイクロプラスチック流出防止策として再注目されたペースト施肥田植機だが、近年ではペーストチャージャーを使うことで重い肥料袋を運ばなくても良くなることや雨天でも作業できる作業性、高温でも肥効に影響が出にくいメリットにも関心が高まっている。それも、弊社のペースト二段施肥機は上下の施肥量バランスを自由に変えることができる独自設計で調整もしやすい。更に最近では、ペースト肥料は粒状肥料に比べ、製造工程でのCO2排出量が7割減となることもわかっており、課題だった粒状肥料との価格差も縮まってきている。風は吹いている。あとは、どう売っていくかだ」
 

新規事業


「新規事業では、24年6月に世界的な農業・建設機械メーカーであるCNH社と、同社が製造する農業機械CASE IHブランド製品の日本でのディストリビューター契約を締結した。これまで主に北海道中心に販売していたCASEのトラクターを関東、九州にも販路拡大することを目指しており、CNH社から講師が来日して整備講習なども行っている。また、施設園芸は気候変動の影響による安定供給へのニーズの高まりを背景に、需要が増加している。大手企業の異業種参入も続々とあるが、弊社は長年の経験を活かした生産者に寄り添う設計力が強みだ。今年は三菱重工グループなどと連携し、イチゴの周年栽培システムを開発した。経済性が成立しやすい太陽光利用型で、夏場でも最適な温度環境を創出・維持できるソリューションとしては業界唯一と認識している。また、大手菓子メーカーとの契約を通じて、国内初の施設導入にも成功した。この分野でもさらなる進化を目指したい」
 

2025年の展望と想い


「弊社には、宝ともいうべき、今の時代にこそ適合しそうな独自商品がいくつもある。もっと、実績を伸ばしたい。歯がゆい思いで渇望している。〝Together We Challenge~挑戦する喜びの共創~〟。全社員で、これを念頭に考動してほしい。既存事業を深化させつつ、新規事業を起こしていきたい。他企業とのコラボも含め、攻めの姿勢で、この素晴らしい商品群と、これらを大切に育んできた社員を擁する我々の農機事業を守って次代につなげていきたい」。


 ※本インタビューは昨年12月に行ったものです。

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