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中山間農業をいかに守るか 

食料生産を支えるだけでなく、水源涵養や生物多様性の保全など多面的機能の維持・発揮など様々な側面からわが国にとって重要な存在である中山間地域。しかしながら集約・集積が難しいなど、平場と比べ非常に厳しい条件に置かれていることから、持続的な農業生産を実現するためには政府が一体となった支援が欠かせない。
 ただ、現在、その在り方が揺らいでいる。中山間地農業を支える政策の重要な柱の一つである、中山間地域等直接支払制度において、複数ある加算措置のうち、集落機能強化加算について、農水省は来年度からはじまる第6期対策での廃止を決めた。制度の在り方を審議する第三者委員会を経ずして決定したこともあり、大きな反発を招いている。例えば全国の町村長からなる全国町村会が先ごろまとめた重点要望事項のなかにも、「中山間地域等直接支払制度における集落機能強化加算については、営農活動と集落機能の維持は不可分であることから、今後も継続すること」としているほか、前述の第三者委員会では、中山間地域等直接支払に関する最終報告書の修正を求めるなど今後の先行きが不透明となっている。
 農水省は今回の加算廃止の理由について、「取り組んでいる集落協定が全体の約2%と少ない」「協定参加者間で基本的なビジョンが共有されないまま、生活支援サービス等の活動自体を目標として取り組まれており、本加算による取組が必ずしも協定組織の強化や農業生産活動の継続につながったとはいえない」などを挙げている。
 しかし、改めて強調したいのは、集落の存在なくして中山間地農業はないということだ。生活できない場所でだれが農業を営もうとするだろうか。また、農水省の管轄でない「生活支援」に支援ができないというのも「昔ながら」の縦割り行政を想起させる言葉だ。
 農水省の立場で「生活支援」だからダメ、ということであれば、集落機能強化加算を独立させ、総務省や国交省などと連携した支援策を新たに構築すれば良いのではないか。例えば、中山間地の場合、「『デジ活』中山間地域」における支援は農水省だけでなく、関係する内閣官房、内閣府、総務省、文科省、厚労省、経産省、国交省、環境省などの支援も受けることができる。もちろん支援のやり方、枠組みは異なるが、省庁間で連携して支援するという枠組みとして、参考になる点は多いのではないか。
 いずれにせよ、今回の議論をまさに好機として、直接支払制度だけでなく、いかにして中山間地域を守るか、分野横断的に支援の在り方を、根本から見直すことも含めて検討すべきではないだろうか。

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