農業食科工学会 開発賞4社が講演 テクノ フェスタ研究者の技術向上
ロボティクス技術の現場導入をテーマに「第29回テクノフェスタ」を開催
農業分野におけるロボティクス技術の現場導入を加速させるため、農業食科工学会(飯田訓久会長)は2023年11月8日、農研機構農業機械研究部門(埼玉県さいたま市)において「第29回テクノフェスタ」を開催した。本イベントは、「ロボティクス技術の現場導入の加速化に必要な取組」をテーマに掲げ、基調講演や分科会を通じて、最新の技術とその応用可能性について議論が行われた。
開会と基調講演
「テクノフェスタ」は1996年度から続く伝統的なイベントであり、農業機械や関連技術の専門家が集う場として知られている。開会に際し、飯田訓久会長と農研機構農業機械研究部門の長﨑裕司所長が挨拶し、「貴重な講演が行われる本日、多くの意見交換を期待する」と呼びかけた。
基調講演では、東京大学大学院情報理工学系研究科の深尾隆則教授が「農作業自動化におけるロボティクス技術の展開」をテーマに講演を行った。深尾教授は、農業分野におけるロボティクス技術の現状と今後の発展可能性について詳説し、技術革新の具体例を示した。
開発賞受賞者による講演
「開発賞」の受賞者による講演では、農業現場で実用化が進む先進的な技術が紹介された。
-
ササキコーポレーション・長畑友之氏
「マルチインプルメントブームマスターZ」をテーマに、複雑な地形や障害物が多い環境での安全かつ高効率な草刈り作業を可能にする技術について説明した。 -
クボタ・片岡麻子氏
「施設園芸向けしおれ検知式自動潅水制御システム(ハミルス)」を取り上げ、センシング技術を用いて葉のしおれ具合を数値化し、効率的な潅水作業を実現するシステムについて紹介した。 -
井関農機・清家丈晴氏
「乗用型じゃがいも植付機(1条植)イージーライダー」の開発過程を解説。じゃがいも生産における作業効率向上と作業負担の軽減を目指した取り組みが紹介された。 -
三菱マヒンドラ農機・斎藤秀樹氏
小型ディスクハロー「KUSANAGI」をテーマに、開発過程を説明した。高スピード、低燃費、低馬力をコンセプトに掲げた設計思想が披露された。
分科会での議論
午後には2部構成で分科会が行われ、それぞれ以下のテーマで議論が進められた。
第一部:
-
自動運転分科会(IT・メカトロニクス部会)
テーマ「中山間地が元気になるスマート農業技術」 -
生物資源分科会(生物資源部会)
テーマ「脱炭素・カーボンクレジット流通における生物資源循環技術への期待」
第二部:
-
農業機械分科会(農業機械部会)
テーマ「農業機械ロボットの技術開発と課題」 -
フードチェーン分科会(食科・食品工学部会)
テーマ「3Dフードプリンティングのエンジニアリング」
各分科会では、技術革新を支える課題やその解決策が詳細に議論され、参加者同士の活発な意見交換が行われた。