デリカのレタス収穫機2畝同時カット作業 長野野菜花き試験場で
従来の手刈りと比較して圧倒的な効率性を実現したデリカ=金子孝彦社長、長野県松本市大字和田5511―11=の「レタス収穫機/DX―121」実演会が10月28日、長野県塩尻市の野菜花き試験場で行われた。降雨後のコンディションにも関わらず1回の作業で2畝のレタスを同時に高速でカットできる収穫作業を披露。大幅な省力化実現へ期待が高まった。
レタス収穫機実演会は長野県園芸作物生産振興協議会が主催したもの。当日は全農長野をはじめ、レタスを含む葉物野菜の生産が盛んな長野県内の市町村担当者など約50名が作業の様子を見守った。
開会の挨拶をした長野県農政部園芸畜産課の山倉洋一企画幹兼野菜・特産係長は「県の主力品目であるレタスは収穫調製に多くの時間が費やされ、労力的な点でも課題があった。それを解決するために長年機械開発に取り組み今年市販化が実現。1号機が県内の農業法人に導入されている。本日の実演会で市場出荷や加工業務用など農家の形態に合った導入推進を考えるきっかけになれば」と開催の意義を述べた。
デリカのレタス収穫機で収穫できるのは結球レタス・リーフレタス・ロメインレタスで全面マルチ栽培に対応。2畝のレタスを同時にカットしながら前進していく。カット部にはスポンジクッションを採用した独自機構を搭載。包丁は新潟県燕三条市内の刃物メーカー製を採用し、レタスを優しく包みこみながら刈り取っていく。切断高さは0~40㎝までハンドルにより調整が可能。畝の起伏に追従する円盤で安定した切断を実現する。機体寸法は全長2200㎜、全幅1290㎜、全高1075㎜。
実演は結球レタスと非結球レタスの畝を用意した試験ほ場で実施。1回目は微速、2度目は当日のほ場条件における最高速度での作業を披露。3度目はリーフレタスについて行い、それぞれ2畝のレタスを同時にカットしていく様子を見せた(QR参照)。
胡桃沢課長
実演の前には胡桃沢隆開発技術部課長が同機のポイントを説明。「刃の部分は自重で上下して畝の高さに追従。刃は独立して動くのでオペレータがレタスの位置を意識することなく走行部のみに集中することで2条同時に刈ることができる。また、走行部にHSTを搭載し、微速から高速まで調整できるので、栽培体系や収穫作業体系に応じ速度を自由に選択できる」と述べ、作業の安定性とスピード向上が図れる点を紹介した。実際に今年導入した農業法人トップリバーの農場責任者・野呂翔平氏は「手作業10人分の作業ができ、圧倒的に作業を早く進めることができた。今後は同機を組み込んだ現場体制の構築や出荷規格の決定などを検討する」と感想を述べた。
上杉審議役
最後に全農長野の上杉壽和生産振興課技術審議役が総括。「土壌状態が悪い中にもかかわらず、高い精度だった。レタス農家との折り合いなど課題はあると思うが、実用化が難しいと言われたレタス収穫の機械化について、長い年月開発を担ってきたデリカさんへ御礼を申し上げると共に、より一層尽力いただきたい」と期待感を示した。
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