活動組織の体制強化 多面的機能支払第三者委員会第3期へ評価案示す
農水省は先ごろ多面的機能支払交付金の令和6年度第1回の第三者委員会を開催した。多面的機能支払は5年を1期と設定(第2期については食料・農業・農村基本法の改正のため1年後ろ倒し)、今年度が第2期の最終年度となることからこれまでの取組の成果を確認し、より良い第3期対策とするため、施策の評価を進めており、今回の委員会では評価案が示された。案では次期対策に向け活動組織の体制強化や事務負担の軽減などを検討することとしている。
委員会では、前回(令和6年3月15日開催)開催時の委員からの意見とそれに対する対応方針を事務局が説明。星野敏委員(京都大学名誉教授)から「地域計画は担い手への農地集約化、利用集積が大きなテーマとして出てくるが、それを阻んでいる一つの要因として、草刈り作業をどこが引き受けるかという点がある。草刈り活動が困難な地域で活動を支援する『直営班』のように実行主体の形成が多面的機能支払でできれば地域計画(農地の集積・集約)に良い効果が及ぼせるのではないか」とし、直営班のような取り組みを全国展開すべきとの意見に対しては、次期対策に向け具体的に検討するなどとした。
なお、星野委員が述べた「直営班」は前回会議において、多面的機能支払に取り組む優良事例の一つとして示されたもの。熊本県錦町の錦町農地・水・環境保全管理協定運営委員会の取組で、活動が難しい地区を支援するため、同運営委員会事務局直属の「直営班」を設立。直営班は建設土木関係のOBや技術者などで構成され、多面的機能支払の長寿命化工事を主体としつつ、草刈りや水路の泥上げ、重機が必要な作業などの作業も支援している。直営班とすることで施工後のトラブルが少なく、外注に比べ低コストなどメリットも多いという。
また、今回示された施策の評価案では、今後の展開方向として、次期対策に向けては、多様な組織や非農業者等の参画促進、広域化等を通じた活動組織の体制強化、事務負担の軽減、環境負荷低減に係る地域ぐるみの活動促進――について検討することとした。
なお、今後8月末をめどに施策の評価を公表、それをもとに次期対策への反映を進めることとしている。