スマ農新法が成立 年内に基本方針策定 中小等への配慮付帯決議に
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5月29日に成立した食料・農業・農村基本法に引き続き、6月14日の参議院本会議で関連法案の「農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用促進に関する法律案」(以下、スマート農業活用促進法)「食料供給困難事態対策法案」「食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案」の3法案が可決、成立した。今後、それぞれ国の基本方針の策定作業が進められることとなる。
今回成立した3法案のうち、スマート農業活用促進法は国の基本方針のもと、生産者向けの①生産方式革新実施計画と、スマート農機開発企業等向けの②開発供給実施計画を策定、国(農林水産大臣)の認定を受けることで様々な支援措置を受けることができるようになるもの。計画の認定を受けることで、行政手続きのワンストップ化や日本公庫の長期低利融資などの支援措置を受けることができる。
なお、本会議に先立ち13日に行われた参議院農林水産委員会では、付帯決議も決議されている。
付帯決議では、①基本方針の策定にあたっては、中小家族経営や中山間地域等の条件不利地を含めた農業者の生産性の向上に寄与するものとなるよう考慮する②食品等事業者が関与する生産方式革新事業活動については、農業者等の主体性が損なわれることがないようにするとともに、国産農産物の利用拡大に資するものとなるよう配慮すること③高齢者を含む農業者に対してスマート農業技術の有用性とともに、導入による経営への影響についても丁寧に説明する④より効果的に活用できるよう、農業者をはじめとする幅広い関係者の人材育成を支援する⑤生産及び開発供給現場の取組を支援するための十分な予算を確保すること。特に農研機構による施設の供用や専門家の派遣等は開発供給事業の推進に大きく寄与することから、同機構の施設や人員を充実させること――の5点が盛り込まれている。
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今後は、スマート農業活用促進法については、今年中に技術の重点開発目標等を定めた国の基本方針を策定。農研機構の施設供用等を通じたスタートアップ支援やリース方式、サービス事業体等を通じたスマート農機の普及と生産現場での栽培方式等の変革促進に取り組む。
また、改正農振法については、令和7年3月までに地域計画の策定、令和7年中に食料安全保障の強化に必要な農地面積の明確化など国の基本指針を策定する。食料供給困難事態法については、令和7年中に国の基本方針を策定、民間在庫を含めた国の潜在的な食料確保量の把握やそれを踏まえ民間在庫も組み合わせた総合的な備蓄方針の明確化、具体的な局面を想定した食料供給困難事態の対処方針の明確化などに取り組むこととしている。