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スマ農促進法閣議決定 生産方式の革新 税制 特例等技術の開発・普及を支援

スマ農促進法閣議決定 生産方式の革新 税制 特例等技術の開発・普及を支援

 政府は3月8日、スマート農業技術活用促進法案(農業の生産性向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案)を閣議決定した。法律案では、スマート農業の普及に向け、国が基本計画を策定すると共に、新たな生産方式の導入、技術の開発・供給の2種類の計画認定制度を設け、日本公庫の長期低利融資や税制特例などの支援措置を受けられるようにするもの。今国会での成立を目指しており、成立後は6カ月以内に施行。施行日までに国の基本方針を作成することとなる。

 法案は、スマート農業の普及に向けて、支援策を受けられる認定制度の創設等の措置を講じるためのもの。
 国が策定した基本方針のもと、①「スマート農業技術の活用及びこれと併せて行う農産物の新たな生産方式の導入に関する計画(生産方式革新実施計画、以下生産計画)」②「スマート農業技術等の開発及びその成果の普及に関する計画(開発供給実施計画、以下開発計画)」を認定する。
 ①の生産計画は、スマート農業技術の活用と農産物の新たな生産の方式の導入を相当規模(原則、複数農業者が共同した産地単位での取組を想定)で行い、農業の生産性を相当程度向上させる事業活動で申請の対象となるのは農業者またはその組織する団体。
 また、②の開発計画は、農業において特に必要性が高いと認められるスマート農業技術等(品種開発などスマート農業技術以外の関連技術も含む)の開発及びそのスマート農業技術等を活用した農業機械等またはスマート農業技術活用サービスを一体的に行う事業。対象は農機メーカー、サービス事業者、大学、公設試験場など。
 どのような支援策を受けることができるのか。両計画に共通しているのが「日本政策金融公庫(日本公庫)の長期低利融資」と「行政手続きの簡素化」だ。
 前者については、新たに「スマート農業技術活用促進資金」を創設する。これは償還期限を25年以内(食品等事業者は10年超25年以内)と設定。据置期間を5年以内とし、事業者の初期償還負担を軽減するほか、貸付金の使途に長期運転資金も設定している。
 後者の行政手続き簡素化については、生産計画の場合、航空法において、無人航空機(農業用ドローン等)による農薬散布や作物の生育状況のセンシング等を行う場合、これまで農水大臣への計画申請と国交大臣に対する飛行申請が必要だったものが、手続きを一元化し、農水大臣に計画を申請することで飛行申請が不要となる。
 また、農地法において、農地をコンクリート等で覆う措置を実施する場合、農水大臣への計画申請と農業委員会への届出が必要だったものが、農水大臣への計画申請のみで行えるようになる。
 一方、開発計画については、種苗法の特例(品種登録の際の出願料・登録料(1~6年目)が減免)のほか、農業競争力強化支援法の特例として中小機構による債務保証を受けられる。
 このほか、スマートの農業技術活用促進税制も創設される。生産計画の場合、農業者やスマート農業技術活用サービス事業者または食品事業者が機械等の取得等をした場合に特別償却が適用されるもの(令和9年3月末まで)。
 具体的なイメージとして、1400万円、耐用年数7年のスマート農機を導入した場合、本来年間200万円×7年が、初年度は取得額の32%(機械装置の場合。一部は25%。建築物等、構築物は16%)を特別償却として上乗せして損金に算入可能。この結果、税率15%の法人の場合、約67万円税負担が軽減できる計算になる。
 対象設備等として、①スマート農業技術を組み込んだ機械装置(例えば、キャベツ収穫機、搾乳ロボット等)②それと一体的に導入された機械装置、器具備品、建物などスマート農業技術を組み込んだ機械装置(例えばロボットトラクタと一体的に導入するRTK基地局、環境制御装置と併せて導入する低コスト耐候性ハウスなど)③農産物の洗浄、選別、切断・破砕、冷凍作業用の機械装置―の3種類。①の対象は農業者等のほかスマート農業技術活用サービス事業者(播種、移植又は収穫用の機械装置に限る)、②は農業者等、③は食品等事業者。
 一方、開発計画の場合、計画にしたがって行う会社の設立、出資の受け入れ、それに伴う不動産の所有権の移転等の際に恒常的なコストとして生じる登録免許税を軽減する(令和9年3月末まで)。
 また、開発計画では、農研機構が保有する研究開発設備等について、農研機構の業務に支障がない範囲で供用を受けることができる。具体的には、ロボット農機の走行試験を行えるほ場やロボット農機、大量の画像学習など、大量データを高速で処理・分析するAI研究用スーパーコンピュータ「紫峰」、様々な環境条件を実現し、作物の反応を計測する「ロボティクス人工気象室」などが想定されている。

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