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クラスター総会 無人SS、イアコーン収穫スナッパヘッド

クラスター総会 無人SS、イアコーン収穫スナッパヘッド

「令和5年度農業機械技術クラスター総会」が3月8日、さいたま市の農業機械研究部門はなの木ホールで開催された。この総会では、産官学連携のクラスター活動について報告されたほか、令和5年度に市販化された開発機や、開発完了機について報告され、屋外で実演も行われた。
 令和5年度は漬物用タカナ収穫機の開発や、果樹園のスマート化に資する自動運転スピードスプレーヤの開発、両正条田植機の開発など12課題が取り組まれた。
 令和5年度に市販化された茶園用除草機の開発について、農研機構果樹茶業研究部門の水上智道上級研究員が報告。消費者の安全・安心に対するニーズの高まりから、有機栽培や減農薬栽培の茶の生産が求められている。しかし、茶園は樹冠下のスペースが狭く、既存の除草機が利用できない。そのため、茶栽培工程の中で除草作業に非常に多くの労力を要しており、規模拡大や増産のネックとなっている。このため、茶園の畝間及び樹冠下の除草が可能な、乗用型摘採機や茶園管理機に装着するアタッチメント式の除草機を開発した。除草後に手取り除草が必要なものの、除草時間を約60%削減したと述べた。


 続いて農業機械研究部門・川出哲生主任研究員がイアコーン収穫スナッパヘッドについて報告。同機は、国産濃厚飼料の自給促進が図られる中、子実トウモロコシに比べて作付け面積が伸び悩んでいるイアコーンについて、主に都府県で普及する汎用型飼料収穫機に装着可能なスナッパヘッドとして開発されたもの。今年3月にタカキタから発売。スナッパヘッドは、移動時全長6850㎜、作業時全長は7400㎜。かきこみローラで茎葉を下方に引き込み、セパレーターで雌穂をこそぎ取り、雌穂のみを収穫する。
 茎葉は株元カッタで切断して圃場に散布することで、緑肥効果が得られる。飼料畑が少ない都府県の露地野菜農家に、飼料用トウモロコシを緑肥として作ってもらうことで耕畜双方にメリットがある、と述べた。
 令和5年度完了課題のうち、「果樹園のスマート化に資する自動運転スピードスプレーヤの開発」について、京都大学の野口良造教授が報告。開発した無人SSはキャビン車で、無線コントローラーで操作でき、自動運転開始、停止し、緊急停止機能を装備する。車両安全システムでは、障害物の30~40㎝手前で自動停止する超音波センサを用い、更に障害物に接触してもすぐに自動停止する接触センサを搭載している。
 また作業履歴記録システムでは、作業中のデータをクラウドサービスにアップロードするシステムを構築、クラウドサーバー上のデータはスマホやタブレットで閲覧でき、園地内の走行軌跡や走行速度、散布量等の履歴データを取得できる。
 タッチ式コントロールパネルでは状態表示ランプや走行・散布状態を表示し、データの取得ができる。青森県りんご研究所内で実施した試験走行では、決められた走行経路を逸脱することなく無人で散布作業ができた。散布精度は、従来機による熟練作業者と同等で、労働時間は約6割削減可能であると試算した。なお、開発目標では2025年販売開始を掲げている。


 鹿児島大学の末吉武志助教は、漬物用タカナ収穫機の開発について報告。九州地方を中心に加工品などで使われる漬物用タカナについて、切断して圃場に整列させることが可能なタカナ収穫機を開発。慣行の人力作業に比べ、作業時間を20%削減したと述べた。
 総会では、農機API共通化コンソーシアム(農水省事業)の活動についても報告された。令和5年度には約40の機関が協力し、一貫したデータのやりとりを可能にするための取組みが行われた。また、データの安全性を保護するための認証・許可システムの導入や、利用者にとってわかりやすい契約のひな型となる「農機オープンAPI仕様書」の策定・拡充も行われた。

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