水稲、従来の粒状肥料で2段施肥
KDBI 田植機アタッチ 国内初で開発プラスチック殻問題へ
農業機械のアタッチメント等を開発するケーディービーアイ(佛田利弘代表取締役CEO、東京都千代田区紀尾井町、以下KDBI)が今年4月に設立。このほど水稲の田植えと同時に、土中の上段(3~5㎝)と下段(12~15㎝)に、粒状肥料を投入できる技術を開発した。11月7日、都内で技術発表とセミナーを開催した。
現在、水稲では、樹脂被覆肥料が緩効性肥料として広く使用されており、長期間にわたって肥効が続くため、水稲施肥の省力化や化学肥料施用量の低減に大きく寄与してきた。しかし、肥料成分が溶出した後の樹脂の殻の一部が、河川や海洋に流出することが明らかになり、全農と肥料業界団体は「2030年にはプラスチックを含む被覆肥料に頼らないに農業に。」を理想に掲げ、緩効性肥料におけるプラスチック被膜殻の海洋流出防止に向けた取組方針を公表している。
近年、代替施肥法としてペースト肥料による2段施肥技術が見直されてきているが、粒状肥料ではなく、ペースト肥料のため田植機が違うことや、なじみの少ないペースト肥料を扱うことに慣れていないため、注目は高いものの飛躍的に拡大しているとはいえないという。
そうした中、同社は汎用性の高い粒状施肥について、下段施肥できないかを検討し、従来の粒状肥料の上段施肥技術に下段施肥を行うことにより解決できるのではと考え、下段の田面12~15㎝下に粒状肥料を投入する作溝アタッチメントを開発した。
これにより肥効を持続させ、樹脂被覆肥料の代替技術として利用を可能にした。今年の春から、国内5カ所で現地試験を実施し、評価をしてきた。
結果は分析中だが、慣行施肥と同等程度の収量が得られるとみている。
また、減肥や温暖化ガス抑制の可能性も考えられることから、今後の実証の取組で、どのような効果があるか検証する。
同社は、アグベンチャーラボの2023年JAアクセラレータープログラムに採択された10社のうちの一つ。
来年度は、国内50カ所(以内)で試験先を選定し、大規模な現地試験に取り組む。また2025年は1000台以内での現地試験を計画している。