丸山製作所 高知県でウルトラファインバブル現地報告会 減肥効果確認
高知高専と共同研究 葉物野菜において好結果
丸山製作所=内山剛治社長、東京都千代田区内神田3―4―15=は10月17日、高知県南国市の高知工業高等専門学校で「ウルトラファインバブル現地報告会」を開催した。現在、同校と協力してウルトラファインバブルの農業利用の共同研究を進めており、液肥実験の結果、減肥効果と共に葉の生育にも好影響があったことを説明。今後の利活用に期待を抱かせた。
SDGs達成に貢献できる技術として注目
ファインバブルは直径100マイクロメートル未満の泡で、近年、日本発で、〝水〟と〝空気〟で構成され環境にもやさしく、様々な分野で応用可能で、SDGs達成に貢献できる技術として注目されている。その中でも、ウルトラファインバブルは、直径1マイクロメートル未満の目に見えない微細な泡で、洗浄効果、植物の生育促進等の効果があり、農業分野などで応用が進んでいる。同社は、瞬時に高濃度のウルトラファインバブルを生成する独自のマルヤマウルトラファイン(MUFB)テクノロジーを軸に、農業分野等に技術・製品を提供している。現在、水稲やサニーレタス等の水耕栽培などの現場で、MUFBウルトラポンプを導入。現場からは「根張りが良好」「欠株が減少した」等の声が挙がっている。しかし、効果が少ない事例も存在し、その要因として外的要因が考えられるため、今回の研究の実施に至った。同社のノウハウを活かし、ファインバブル製品の研究・開発を行う関連会社のファインバブルテックの澤田暢介氏は「成功事例だけでなく、説得力をもたせたうえで、お客様に活用してほしい」と話した。
高知工業高等専門学校は、約20年前からファインバブルの研究をはじめ、農業や洗浄など様々な分野における研究を続け、約3年前からは同社と共同で研究を行ってきた。今回の研究で、植物の生育及び減肥における結果を得て、現地報告会を初開催した。報告会では、同校のソーシャルデザイン工学科の西内悠祐准教授が、実験結果と考察について報告した。
共同研究では、ウレタンスポンジで約15㎜まで発芽した小松菜の苗を用いて、24時間液肥が循環し、一定室温の中で1日12時間LEDが照射される水耕栽培環境で生育させた。今回、キャビテーションノズルによって液中の溶存気体からウルトラファインバブルを発生させる発生装置を液肥中で稼働させ、「減肥20%(液肥80%)栽培での作物育成への効果」の検証を実施。本研究で使用した装置の型式は、UP0290M―1。同機は、電源が確保できる場所で使用可能な設置型タイプで、吐出量が2.0ℓ/分。100%の液肥と通常の水を使用した通常栽培区と80%の液肥にウルトラファインバブル水を1日2回ずつ発生させた実験区で、2週間にわたり、成長状態を比較している。その結果、実験区では葉長・葉幅が通常区より大きい葉に育っている。また、液体クロマトグラフィーで植物ホルモン量を測定すると実験区の方が成長に関係するホルモン量の向上も見られている。また、80%の液肥のみの通常区と80%の液肥にウルトラファインバブル水の実験区に、各66株ずつ定植し、比較したところ、同様の効果が得られていることから、ウルトラファインバブルの有無で成長の差が大きいとされた。さらに、ウルトラファインバブルの吐出回数が1日1回の時より、1日2回発生させた時の方が、通常区との成長の差が大きくなる結果となった。
同社国内営業部の高橋一行氏は「今回の取り組み結果を基に、ハウス農家を対象に、ウルトラファインバブルによる生育効果や環境負荷・コスト低減に繋がる減肥効果などについて説明・聞き取り調査を行ったうえ、推進できればと考えている。また、今までメインは水耕栽培で行ってきたが、土耕栽培でのウルトラファインバブル活用に注力していきたい」と展望を述べた。
MUFBウルトラポンプ「UP0290M―1」