適正価格形成 着実に 新農相に宮下一郎氏 スマ農は課題把握し法制化

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就任会見で適正な価格形成に言及
14日に開かれた就任にあたっての会見では、「農水省の最も重要な使命は、国民に食料を安定供給することだと考えている。農業・食品産業を取り巻く情勢が大きく変化しているなか、農政の基本的な方針である食料・農業・農村基本法の改正に向けた検討が進んでいる。ふさわしいものとなるよう令和6年の通常国会への改正案提出に向け、施策の具体化などしっかり取り組んでいく。森林林業については、持続性を高め、その成長を底支えすることで、社会経済生活の向上とカーボンニュートラルに貢献するグリーン成長の実現を目指す」などとした。
農畜産物の適正な価格形成に向けては、「先ごろ政府が決めた『食料・農業・農村政策の新たな展開方向』に基づいて、生産から消費に至る食料システムの各段階の関係者が一堂に集まって協議する場として、8月29日に『適正な価格形成に関する協議会』を設置した。協議会では適正取引を推進するための仕組みの構築に向け協議を行うとともに、適正な価格への転換についての関係者の理解、調整を図っていく。私も党の食料産業政策委員長として、この課題に取り組んできたが、非常に難しい問題だと感じている。関係者も多いし、農産物については価格安定や持続可能な生産の維持など施策も品目ごとに様々だ。一概にこの仕組みがあれば全部解決するということはないと考えているが、できるだけ早く対応しなければならないところがどこにあるのかを見出しつつ、一歩一歩対応を進めることが重要と思っている」などとした。
スマート農業については、「農業人口、担い手の減少や高齢化とそれに伴う人手不足、環境負荷低減などを考えた時スマート農業は非常に重要だと考えている。これまで217カ所で実証プロジェクトを推進しているが、労働時間の削減、収量増大などの効果が確認されている。一方で、導入コストや使いこなす人材の不足、栽培体系の最適化、更には流通や販売など様々な課題が明らかになっている。このため、スマート農業を推進するための新技術の開発、生産・流通・販売方式の変革などの取組を推進していくため、法制化も視野に入れて検討しているところ。今の課題をしっかり認識したうえで前に進めていかなければならない」と述べた。
宮下新大臣は昭和33年8月1日生まれの65歳。長野県出身。衆議院議員で厚生大臣や環境庁長官、防衛庁長官などを務めた宮下創平氏の長男
長野県出身、党内で農林部会長も
宮下新大臣は昭和33年8月1日生まれの65歳。長野県出身。衆議院議員で厚生大臣や環境庁長官、防衛庁長官などを務めた宮下創平氏の長男。
昭和58年、東京大学経済学部卒業後、住友銀行入行。平成3年11月に退社後は、父親である宮下創平氏の秘書に。平成15年11月の衆議院議員選挙で父親の地盤を引き継いで長野5区から出馬し初当選。その後、6選。財務大臣政務官や財務副大臣、衆議院財務金融委員長、内閣府副大臣などを歴任。また、党内では農林部会長も務めた。