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総合研究所の見学会 日本農薬、新剤開発の舞台裏

大阪府河内長野市にある日本農薬の総合研究所

大阪府河内長野市にある総合研究所

 研究開発型の農薬メーカー、日本農薬は9月7日、報道関係者などを招き、大阪府河内長野市にある総合研究所の見学会を開催した。冒頭、藤岡所長が、農薬の役割、農薬の登録プロセス、世界の農薬市場、日本企業の創薬力の高さ、そして日本農薬の創薬研究について説明した。
 新しい農薬の開発には、化合物合成から上市まで約10年と30~40億円以上の費用がかかる。同社では売上高の10%を研究開発費に充て、3年に1剤以上の新規有効成分を持続的に創出することを目標としている。
 同社の研究開発を支える中心拠点は、1995年に完成した総合研究所だ。この研究所は、化学、生物、安全性分野の研究者を集結し、一体となって効率的に開発する環境となっている。

水虫薬は殺菌剤の開発中に発見 オールラウンド・スクリーニング体制

 総合研究所は、新しい合成化合物について、殺虫、殺菌、除草の全分野にわたり総合的な評価を行う「オールラウンド・スクリーニング」体制を採用している。これにより、意図しない生理活性を見落とすことなく、新しい開発へとつなげることができる。例えば、同社が発明した世界初のジアミド系殺虫剤フルベンジアミドは除草剤の研究がきっかけとなった。また、水虫薬は、殺菌剤の開発中に発見されたもので、「太陽光に弱く、植物への利用は難しい」という特性から、農薬としては適さなかったものの、光が当たらない水虫には高い効果があり、製品化に至った。
 同社は、殺虫剤原体を多数保有し、業界内で殺虫剤に強いと認識されているが、殺菌剤、除草剤も開発・普及しており、同社の化合物は海外でも広く活用されている。さらに、農薬や動物薬(家畜)以外にも医薬、生物農薬、バイオスティミュラントなどの新規技術の開発にも取り組んでいる。
 農薬開発は、有効成分の合成研究から始まる。厳格化する現在の登録制度下では、16万個の合成化合物の中から、たった1個の有効成分しか製品化できないと言われている。このため、多くの合成化合物を効率的に生成するため、同社は、コンピューターケミストリーやオープンイノベーションを活用し、また自動合成装置を導入するなど多岐にわたる取組みを行っている。

試験圃場で農機やドローンも

 そして、新規有効成分の効果を調査する「生物研究」や施用法に応じて処方とその製造法を検討する「製剤研究」、作物や土壌での分解性や環境(非標的生物)を評価する「代謝・残留研究」、そして人や環境(非標的生物)への影響を調査する「安全性研究」を経て、農薬登録を申請する。
 試験圃場では、農業機械やドローンなども活用し、実際の圃場で試験を行っている。これらの施設を見学し、日本の農薬研究開発力の高さ、安全性への追及を実感した。

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