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コニカミノルタ ハイパースペクトルカメラの技術 植物ウイルスを検知 病害の早期発見に活用も

コニカミノルタ ハイパースペクトルカメラの技術 植物ウイルスを検知 病害の早期発見に活用も
近年、気候変動により病害虫リスクが高まる一方で、病害虫防除所の職員等は年々減少しており、従来のような病害虫診断・発生予察のための調査が困難になりつつある。こうした中で、AI等を活用した病害虫の診断技術や発生予測の高度化が望まれている。
  

 作物の病害を少しでも早く知ることができれば、早期防除につながる。本稿では、食品分析や植生研究などに用いられている、ハイパースペクトルカメラを紹介したい。本製品を取り扱っているのは、コニカミノルタジャパン。農業分野では、同社の葉緑素計「SPAD-502Plus」がよく知られている。
 同社は光学部材を提供しており、3年前、ハイパースペクトルカメラでシェア№1のSPECIM社(フィンランド)を買収した。ハイパースペクトルカメラでは、動いているサンプルをそのまま計測するライン用の「FXシリーズ」と、固定したまま測定し、持ち運びも可能な「ハイパースペクトルカメラIQ」を展開している。コニカミノルタジャパンのセンシング事業部の担当者に製品や農業分野での活用について聞いた。
 ――ハイパースペクトルカメラとは。
「2次元の分光スペクトルを取得し、肉眼で見える可視光範囲だけでなく、近赤外線で高分解能に対象物を捉えることができる特殊なカメラです。検出波長域は400~1000nm。通常のカラーカメラは、赤、緑、青の3つのバンド(波長帯域)の情報を合成してカラー画像を生成しますが、ハイパースペクトルカメラは、数百のバンドにまたがる光スペクトルを検出することが可能です。人の目では分からない特徴や化学物質の違いを捉えることができ、農業分野では、病害などの早期発見に貢献することが期待されています」。
 ――マルチスペクトルカメラとの違いはなんでしょうか。
「近赤外線で、肉眼で見えないものを見るという点は同じですが、波長を分割するバンド数が異なります。マルチスペクトルカメラは最大数十バンドですが、ハイパースペクトルカメラは数百バンドです。波長の分解能が高いので、細かな違いも捉えることができます。全く同じ色・形をしていても識別モデルで違いを検出できます」。
 ――植生研究の中でどのように使われていますか。
「人の目では判断が難しい植物ウイルスの早期診断で活用されています。例えばタバコモザイク病の診断。タバコの品質や収穫量に影響を及ぼすウイルスですが、IQで撮影するだけで、正常な葉とそうでない葉を、スペクトルデータの違いで判断できます」。
 ――ハイパースペクトルカメラ「SPECIMIQ(以下、IQ)」の特徴は。
「IQは世界初のモバイルタイプで、外に持ち運びができ、ワンショットで測ることができます。一般的にハイパースペクトルカメラは対象物を動かして、面で撮影していくのですが、動かさずにワンショットで測ることができるので農業分野に適しています。また、プログラミングの知識がなくても付属のソフトウェアで分光データの解析や評価、識別モデルの生成が可能です」。
 ――今後、農業分野の現場ではどのように活用されていくのでしょうか。
「現在は研究分野で使われています。生産者が圃場でIQを利用するのは現実的ではありません。研究レベルで必要な波長を絞ってマルチなものにしてもらい、現場で活用して頂くイメージです。例えば、この病害を見るにはこの波長が使える、ということが分かれば、対象を絞って現場で使うことが出来ます」。

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