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適切な追肥量を算出  補正NDVIで 新たな水稲生育診断へ 農研機構が福岡市で発表会

適切な追肥量を算出                                    補正NDVIで 新たな水稲生育診断へ 農研機構が福岡市で発表会
農研機構九州沖縄農業研究センターは8月30日、福岡市内で、「ドローンデータの補正による新たな水稲の生育診断と追肥量の算出システム」について発表会を開催した。大規模生産者のほか、資材メーカーなど関係者も多く参加。また会場では、ニコン・トリンブルがNDVIなどの地上測定に用いる「グリーンシーカー2」を展示した。

 
             ニコン・トリンブルがグリーンシーカー2を紹介


 稲の収量・品質向上に適量の窒素追肥が有効であり、昨今はドローンのリモートセンシングによる可変施肥が注目を集めている。しかしドローンは撮影時の太陽高度や日射量の影響を受けやすい。また追肥量は、生産者の経験や勘に頼っている。
 本システムは、ドローンと地上測定器(グリーンシーカー2)を活用して圃場全体の精確なNDVI(補正NDVI)を取得し、目標収量・品質に応じた適量の追肥量を算出するもの。
 本研究について発表した中日本農業研究センターの中野主席研究員は「補正NDVIで算出した追肥量を施用すると、倒伏や玄米タンパクの増加を伴うことなく、目標収量に近づくことができる。また追肥量を適正にし、肥料代削減にもつながる。現在コシヒカリ、ヒノヒカリで追肥量算出式を作成しており、麦類についても作成中。システムは大規模生産者や民間企業等が利用可能。またAPIを開発し、農業データ連携基盤WAGRIを通じて各社の営農管理システムでも利用できる」と展望を述べた。
 また、本システムを岡山県、佐賀県で現地実証した事例も紹介。クボタ次世代研究第一部の西川知宏氏は、ヒノヒカリを栽培する7圃場で実証。目標収量を610㎏/10aとして追肥量を算出し、6圃場で目標を達成した。倒伏程度も生育診断システムの出力値と概ね同じ傾向だった。農家からも「結果に満足している。算出した追肥量がかなり多い圃場もあり、倒伏やいもち病の心配をしていたが、大きな被害にならなかった」と感想が得られたと紹介した。
 一方、4圃場で目標収量との差が5%を超過しており、これは地域性や土質、中干強度等、複数の要因の影響を受けたと考察。追肥量の算出式を修正(補正)することで改善可能であると述べた。コシヒカリについては未検証だが、倒伏リスクが高く、空撮や生育診断の時期、基肥窒素の残効や地力窒素の精微な予測が必要だとした。今後KSASにおいても、本システムとの連携の可能性を模索していきたい、とした。
 また特別講演としてクボタ特別技術顧問の飯田聡氏が「クボタのスマート農業と将来展望」について講演。同氏によるとKSASステップ2では、圃場規模拡大による生育のバラツキを改善するため、精密食味収量コンバイン(メッシュマップコンバイン)やリモートセンシングで可変施肥や可変追肥、水管理システムWATARASを活用していく。今年3月に上市したKSASリモートセンシングは、クボタ独自の解析ソフトで、画像合成、生育マップ作成、KSASのアップロードを約15分/10‌haで行える。またKSASに保存されるため情報セキュリティも担保される。また発表会のテーマであるセンシングによる追肥量算出について、「これまで追肥量は最終的には生産者の判断に任せていた。今後、科学的な判断と経験値を併せて解決できるのでは」と期待を述べた。

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