水稲栽培でのメタンガス削減 J–クレジット創出で生産者の収益向上 ヤンマーマルシェとNTTCom

中干し期間中のほ場
ヤンマーマルシェとNTTコミュニケーションズ(以下、NTTCom)は、生産者向けに水稲栽培でのメタンガス削減と収益向上を両立するJ―クレジット創出に向けた取組を開始する。ヤンマーマルシェは、米の契約販売のノウハウを生かし、生産者の営農支援や米のブランディング、販売・流通を支援し、NTTComは、IoTセンサーとアプリを利用して水位データ等を記録し、申請手続きの負担を軽減する。本取組で2030年度までに約1万tのCO2排出量削減を目指す。

農業IoTセンサー「MIHARAS」

中干し期間中のほ場
両社は2日、都内で記者説明会を開き、ヤンマーマルシェフードソリューション部の菊地満部長、NTTComビジネスソリューション本部の熊谷彰斉氏がそれぞれの取組について紹介した。
ヤンマーマルシェは、米の契約栽培事業で25の都道府県で約190件の生産者と契約している(以下、パートナー生産者)。今年3月に、J―クレジット運営委員会が、「水稲栽培における中干し期間延長」の方法論を策定したことを受け、一部のパートナー生産者とJ―クレジットの認証取得に取り組んでいる。
「水稲栽培における中干し期間延長」の方法論では、中干し期間をその水田における直近2年以上の実施日数の平均より7日以上延長することで、延長をしなかった場合に想定される温室効果ガス排出量をJ―クレジットとして申請することができる。
生産者にとってのメリットは、大きな投資が必要なく取り組みやすいことや、J―クレジットによる米販売以外の収入が期待できること、また、環境に配慮した製品として市場で高く評価されることで収益向上が期待できる(同社が実施した消費者マーケティング調査による)。一方、土壌条件などによっては、品質や収量が低下するなどの課題もある。このため、生産者の営農支援、収穫した米のブランディング支援を行うことで、生産者のビジネス拡大に貢献する。
NTTComは、水田にIoTセンサー「MIHARAS」を設置し、地温、水位、水温などの取得したデータをアプリに自動連携し、クレジット申請まで一元化する。中干し実施の証拠となる水位計測グラフや画像なども保存でき、グリーンウォッシュ対策(実態がないにも関わらず虚偽データを提示し環境に配慮していると見せる)にも役立つ。本取組で創出したJ―クレジットはNTT Comが市場への流通を行い、農業由来のカーボンクレジットの活性化を目指す。
気候変動が課題となる中、日本では2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、CO2排出量の削減に向けたさまざまな取組が加速している。温室効果ガスのうち、メタンガスは気候変動に与える影響が大きく、温室効果はCO2の約25倍にもなる。稲作は、国内のメタンガス排出量の約45%を占め、その抑制によるインパクトは非常に大きい。
カーボンクレジット市場は急激に拡大しており、2030年には、取引金額7.5兆円との試算もある。国内では今年10月に東京証券取引所でカーボンクレジット市場が開設される予定となっており、企業間で更なる活発な動きが予想され、1次産業にも経済効果の恩恵が得られると期待されている。特に、農業分野は2900万tの削減量で1.5兆円の経済効果があり、農林水産分野の中で最も注目されている。

アプリの画面
【今後の展開】生産者にしっかりと伴走しながら、パートナー生産者だけでなく全国へ展開していく。そして2030年度までに約1万tのCO2排出量削減を目指す。J―クレジットを全国に広く流通させることで農業由来のカーボンクレジットを活用した新たな農業モデルの構築を行い、地域活性化などの社会課題の解決を実現していく。また、「MIHARAS」などのIoTセンサーで取得した情報を活用し、生産者への営農支援も強化する。
【各社の役割】ヤンマーマルシェ=フィールド提供、営農支援、お米のブランディング、販売・流通支援。NTT Com=IoTセンサーの提供、J―クレジット申請アプリの提供、J―クレジットの販売先検討。
ヤンマーマルシェとNTTコミュニケーションズ(以下、NTTCom)は、生産者向けに水稲栽培でのメタンガス削減と収益向上を両立するJ―クレジット創出に向けた取組を開始する。ヤンマーマルシェは、米の契約販売のノウハウを生かし、生産者の営農支援や米のブランディング、販売・流通を支援し、NTTComは、IoTセンサーとアプリを利用して水位データ等を記録し、申請手続きの負担を軽減する。本取組で2030年度までに約1万tのCO2排出量削減を目指す。

農業IoTセンサー「MIHARAS」

中干し期間中のほ場
両社は2日、都内で記者説明会を開き、ヤンマーマルシェフードソリューション部の菊地満部長、NTTComビジネスソリューション本部の熊谷彰斉氏がそれぞれの取組について紹介した。
ヤンマーマルシェは、米の契約栽培事業で25の都道府県で約190件の生産者と契約している(以下、パートナー生産者)。今年3月に、J―クレジット運営委員会が、「水稲栽培における中干し期間延長」の方法論を策定したことを受け、一部のパートナー生産者とJ―クレジットの認証取得に取り組んでいる。
「水稲栽培における中干し期間延長」の方法論では、中干し期間をその水田における直近2年以上の実施日数の平均より7日以上延長することで、延長をしなかった場合に想定される温室効果ガス排出量をJ―クレジットとして申請することができる。
生産者にとってのメリットは、大きな投資が必要なく取り組みやすいことや、J―クレジットによる米販売以外の収入が期待できること、また、環境に配慮した製品として市場で高く評価されることで収益向上が期待できる(同社が実施した消費者マーケティング調査による)。一方、土壌条件などによっては、品質や収量が低下するなどの課題もある。このため、生産者の営農支援、収穫した米のブランディング支援を行うことで、生産者のビジネス拡大に貢献する。
NTTComは、水田にIoTセンサー「MIHARAS」を設置し、地温、水位、水温などの取得したデータをアプリに自動連携し、クレジット申請まで一元化する。中干し実施の証拠となる水位計測グラフや画像なども保存でき、グリーンウォッシュ対策(実態がないにも関わらず虚偽データを提示し環境に配慮していると見せる)にも役立つ。本取組で創出したJ―クレジットはNTT Comが市場への流通を行い、農業由来のカーボンクレジットの活性化を目指す。
気候変動が課題となる中、日本では2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、CO2排出量の削減に向けたさまざまな取組が加速している。温室効果ガスのうち、メタンガスは気候変動に与える影響が大きく、温室効果はCO2の約25倍にもなる。稲作は、国内のメタンガス排出量の約45%を占め、その抑制によるインパクトは非常に大きい。
カーボンクレジット市場は急激に拡大しており、2030年には、取引金額7.5兆円との試算もある。国内では今年10月に東京証券取引所でカーボンクレジット市場が開設される予定となっており、企業間で更なる活発な動きが予想され、1次産業にも経済効果の恩恵が得られると期待されている。特に、農業分野は2900万tの削減量で1.5兆円の経済効果があり、農林水産分野の中で最も注目されている。

アプリの画面
【今後の展開】生産者にしっかりと伴走しながら、パートナー生産者だけでなく全国へ展開していく。そして2030年度までに約1万tのCO2排出量削減を目指す。J―クレジットを全国に広く流通させることで農業由来のカーボンクレジットを活用した新たな農業モデルの構築を行い、地域活性化などの社会課題の解決を実現していく。また、「MIHARAS」などのIoTセンサーで取得した情報を活用し、生産者への営農支援も強化する。
【各社の役割】ヤンマーマルシェ=フィールド提供、営農支援、お米のブランディング、販売・流通支援。NTT Com=IoTセンサーの提供、J―クレジット申請アプリの提供、J―クレジットの販売先検討。