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ヤンマーHD 過去最高の売上高1兆222億円 海外比率60.7%、中期目標上方修正 2023年3月期決算説明会  

ヤンマーHD 過去最高の売上高1兆222億円 海外比率60.7%、中期目標上方修正 2023年3月期決算説明会  
ヤンマーホールディングス(山岡健人社長)は6月22日、同本社で2023年3月期決算説明会を開催した。売上高は1兆222億円、経常利益は618億円で、いずれも過去最高を更新、売上高は初めて1兆円を超えた。特に、海外が好調で海外売上高比率は60・7%となった。25年度中期目標も売上高1兆2000億円、経常利益700億円に上方修正した。

  決算説明会には、山本哲也・代表取締役COO、長田志織取締役CSO、大川雅也取締役CFOが出席。始めに山本代表取締役が、前述したように決算概要を説明。続いて大川取締役が業績説明。

【2023年3月期業績】ヤンマーグループで初めて売上高が1兆円を超えた。国内が対前年3.6%増の4017億円、海外が同28・2%増の6205億円で海外売上高比率は対前年5.2㌽増の60・7%となった。事業別ではエンジンは同14%増、アグリは同13%増。
 経常利益も777億円で過去最高。財務状況もNetDEレシオ、自己資本比率、借入依存度の3指標とも改善した。また、親会社株主に帰属する当期純利益は419億円(前年比14・2%増)と過去最高。うち純資産は3273億円。グループとして初めて3000億円を超えた。キャッシュフローは156億円。営業キャッシュフロー428億円。
 今後の見通しとしては、農業機械、産業用エンジン及び建設機械を中心に底堅い国内需要と堅調な海外市場の需要を取り込み、23年度売上高は過去最高の1兆800億円(同5.6%増)を見込む。海外売上高比率は同1.2㌽増の61・9%の見通し。また、経常利益は為替の影響を踏まえると、500億円(同19・1%減)を見込んでいる。
 

その後、長田取締役が2023年度の取組みを発表した。

【6つの中長期戦略課題】①循環する資源を元にした環境負荷フリー・GHGフリー企業への挑戦②「顧客価値創造企業」への変革③顧客の求める品質を競争力のある価格で提供し、顧客満足度を向上④次世代経営基盤の構築⑤経営リスクを制御し企業価値を安定的に増大⑥HANASAKA。

【グリーンチャレンジ】我々はディーゼルエンジンの製造会社でその製品はCO2を排出するが、循環する資源を元にした環境負荷フリー・GHGフリーの企業になることを目指している。まず1つ目は電動化・水素化。また、2つ目は事業活動そのものでも低減していく。そして3つ目はお客様のGHG排出ネガティブ・資源循環に貢献する新しい事業を展開する。

【電動化戦略の進捗】電動化と水素化において、重要な取り組みを行っている。具体的には、欧州建機をファーストターゲットとして2025年までに電動の提供を開始する。更に2035年までに先進国の60‌kW未満市場においてシェア15%の確保を目指していく。2030年の電動作業機予測台数は昨年予想より26%増加。電動化は前倒して進むものと思われる。2022年度は、オランダのバッテリー会社ELEOを買収しリチウムイオンバッテリーの販売に着手した。また、ヤンマー建機から電動3機種を発表した。そのほか、ヤンマー内製パワートレインによる電動ショベルSV10e、電動乗用管理機の開発を開始、また芝刈機用電動パッケージの量産試作を完了した。今後、24年1月に電動建機の量産を開始、実際の販売を始める。25年度中には電動農機についても商品化を開始する。また、25年度中にELEOの第3世代バッテリーの開発を完了させ、欧州における生産能力を構築する。ELEOのバッテリー生産工場が2023年1月に落成した。落成式にはオランダ国王にも参列頂き同国でも非常に歓迎してもらっている。
 電動建機「CO8e」「SV17e」「V8e」を欧州で発表。来年1月から、欧州で先行販売を開始する。

【水素・グリーン燃料戦略の進捗】目標は昨年度から変更なし。船舶用・発電コージェネをリーディングアプリケーションとし、発電については燃料電池システム、水素混焼ガスエンジンを2025年度までに順次商品化予定だ。舶用では燃料電池システムを2023年度中に、水素混焼エンジンを2028年度に、水素専焼エンジンを2030年度に上市する。
 欧米では政策変化により、水素導入がさらに早くなる可能性が高まってきている。また2年くらい前の学会では、水素とアンモニアが舶用向けの主力燃料とみられていたが、メタノールへの需要が高まっている。これに対し2022年度、①水素関連施設整備の推進。具体的にはアンモニアエンジンベンチ立ち上げを完了②水素エンジン開発推進。中速単筒機の試験運転開始、多気筒実証機の詳細設計に着手、GHP水素混焼評価を実施、アンモニア燃料利用について単筒試験機での基礎試験に着手した③船舶用燃料電池システムの開発推進。燃料電池船の航行試験をオーストラリアのシドニーで実施、300‌kWを先行開発中だ。戦略の修正点としては、水素とアンモニアに追加し、大形領域のメタノールエンジン開発に着手した。また小形領域の水素エンジンに関するフィージビリティスタディを実施する。
【顧客価値創造企業への取組み】新規市場として、ワイン畑向けの無人自動農薬散布機「YV01」をフランスシャンパーニュ地方で現地法人を設立し本年3月から出荷開始。累計販売台数は8台だが、2023年度には49台を導入予定。また生ごみを投入して、堆肥化を行う機械「コンポスタ」も滋賀県多賀町や福島県楢葉町などで導入が進み、本年度50台納入予定。
 そのほか、全社員を巻き込んだ新規プロダクトアイデアコンテストを実施。22年度の応募件数は150件に上り、今年度、事業化に向けインキュベーションする。

【顧客の求める品質を競争力ある価格で提供し顧客満足度を向上】インドの小形エンジン工場は20年、コロナ禍の中スタート。22年5月には本格出荷を開始、22年度累計出荷は1万4565台。
 また、インドパートナー企業ITLが製造するヤンマーブランドのYMシリーズトラクター「Solis」の世界的拡販を行っている。

【デジタル戦略の策定と着手開始】2025年の壁に備え、次世代の事業展開に耐える基盤づくりに全力で取り組む。DXを活用することで、RPAやノーコードを使った業務自動化・故障予知による予知保全や機密情報が外部に漏れることのない形で社員が生成AIを活用できるようにした。

【2023年度の重点事業領域】▽新規事業インキュベーション▽グリーンチャレンジ。DX▽戦略的強化領域(ブランディング等)への投資強化▽既存事業領域強化・新規事業参入に向けた買収。

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