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スギ花粉の半減へ 関係閣僚会議30年後実現に伐採加速化

政府は5月30日、「花粉症に関する関係閣僚会議(第2回)」を首相官邸で開き、花粉症対策の全体像を取りまとめた。
 花粉症の解決に向けては、これまで長い間、各省庁でそれぞれ取組が行われてきたが、花粉症の有病率は令和元年時点で4割超にのぼるとの関係学会の調査データもあるなど、花粉症は未だ多くの国民を悩ませ続けている社会問題となっている。
 政府は、この問題に対処するためには、関係省庁の縦割りを排し、様々な対策を効果的に組み合わせて実行していくことが重要であり、また、一朝一夕で解決するものではなく、息の長い取組が必要であるとの認識のもと、今年4月に「花粉症に関する関係閣僚会議」を設置。実態把握を進めるとともに、問題を解決するための「対策の全体像」の検討を進めていた。今回開かれた第2回の会議では、「対策の全体像」を決定。全体像では、来年の花粉の飛散期を見据えた施策のみならず、今後10年を視野に入れた施策も含めて、花粉症問題を解決するための道筋を提示。①発生源対策②飛散対策③発症・曝露対策―を3本柱とした。
 ①では、花粉症発生源のスギ人工林を10年後には約2割減少させ、将来的(約30年後)に花粉発生量の半減を目指す。その達成に向け、スギ人工林の伐採を年間約5万‌haから10年後には7万‌haまで増加させるとともに、花粉の少ない苗木や他樹種による植替え等を推進する。
 また、必要な伐採や植替え等の事業量に対応するため、高性能林業機械の導入等の支援により過去10年と同程度の生産性の向上を図る。そのうえで、林業労働力の大幅な減少傾向に歯止めをかけ、10年後においても、現在と同程度の労働力が確保されるよう、外国人材の受入れ拡大のほか、新規就業者の確保・育成、処遇の改善、農業など他産業との連携、地域おこし協力隊との連携などに取組む。
 また、これらの実現に資するよう、年内に「林業活性化・木材利用推進パッケージ」(仮称)を策定し、林業の活性化や木材の利用を推進する。
 ③では、農研機構が開発したスギ花粉米の実用化に向けた取組を進める。スギ花粉米は、遺伝子組換え技術により、構造を改変しアレルギー反応を起こりにくくしたスギ花粉症の原因物質(改変アレルゲン)をコメに蓄積させたもの。このコメを毎日経口摂取することで、実際のスギ花粉アレルゲンを取り込んでもアレルギー反応が起きなくなるという効果が期待される。取組では、医薬品としての実用化に向け、ヒトへの効果や摂取方法等の知見を得るため、更なる臨床研究等を実施する。
 なお、会議では、当日の議論を踏まえて、岸田文雄首相が「スギ人工林について、林野庁の総力を挙げて伐採・植替え・利用の取組を抜本的・集中的に加速するよう」などと、野村哲郎農相に指示した。

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