農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

受付時間 平日9:30~17:00

TEL 03-3831-5281

毎週 火曜日発行
 >  > 農業AIで営農支援 ソフトバンクの「イーカカシ」 

農業AIで営農支援 ソフトバンクの「イーカカシ」 

農業AIで営農支援 ソフトバンクの「イーカカシ」 
(写真説明)説明後に設置しているほ場を見学

 ウクライナ農業政策食料省次官等5名が4月21日、神奈川県横浜市神奈川区の平本ファーム(平本貴広園主)を視察した(関連記事2面)。ウクライナ側からスマート先進技術を導入しているほ場を視察したいとの要望を受け、JICA筑波センターがソフトバンクの農業AIブレーン「e―kakashi(以下、イーカカシ)」の実証試験を行っている縁で実現したもの。同社の戸上崇担当部長が機器に関して、平本園主が使用効果などを説明した。


 
 今回視察した農業AIブレーン「イーカカシ」は、IoTセンサーを活用して田畑やビニールハウスなど屋内外のほ場から収集した環境データを、植物科学の知見を取り入れたAI(人工知能)で分析して最適な栽培方法を提案する。同社担当者からの説明によると同機の肝になっているのがAI。Gatewayと呼ぶ通信機をほ場に設置し、その通信機に知りたい情報を測定するセンサーを接続。そこから得た情報を数値化。センサーは温湿度センサー、土壌温度・体積含水率・ECセンター、日射センサー、CO2センサーなど、必要なものから最大4種類まで接続でき、分析結果はスマホやパソコンで簡単に確認できるほか、様々な営農に役立てることができる。また、それぞれのニーズに合った4種類のアプリを提供しており、その一つが「e―kakashiNavi(イーカカシ・ナビ)」で、収集した環境データを植物科学の知見に基づいて〝ちょっと先の未来〟を予測。栽培環境を最適化する具体的な対応策を提案して目標とする収量の達成や品質向上などをサポートする。

 この他、病害虫の発生リスクや適期収穫の時期を生産者に通知し、人員や資材などの効率的なリソース配備にも役立つ。別のアプリでは、ベテラン農家が肌感覚で行っていた作業のタイミングを電子マニュアル化して、新規就農者へ技術の伝承に活用できたりと、データの見える化から一歩進んだ機能が活用可能。通信機にはソーラーパネルとニッケル水素電池を搭載しているので、電源がなくても自由な場所に設置できるのも現場向けといえる。


   最大4種類のセンサーが接続できる通信機
 
 戸上担当部長が同機のメカニズムや植物科学をベースにしているので作物を選ばず使用でき、国内外でコメやジャガイモで実証して収量アップした結果などを説明。「ウクライナで是非テストしたい」と関心を示していた。

 会場となった平本ファームでは試験を始めて6年目。実証ハウスと慣行ハウスで収量や質などの差を調べていて、「面白いほど収量やサイズが上がった」と平本園主は述べた。同園では露地とハウス合わせて1町歩5反の面積で約100品種の野菜を生産。横浜市内のスーパーの地場野菜コーナーで販売している。「最も便利に感じるのが気温の確認。ハウスでは高温のまま放置すると落花して実がならなくなる。これまで自分の勘や経験で管理していたこうした点や、収穫時期などの知りたい情報を正確に教えてくれるので助かっている。今まで経験と勘を頼りに行ってきた作業工程の〝答え合わせ〟ができるので便利。お陰でパプリカについては3割収量が上がった。今は手放すことができない」と太鼓判を押していた。

関連記事

露地野菜可変施肥等 新規10課題を採択  戦略的スマート農業技術開発改良

露地野菜可変施肥等 新規10課題を採択  戦略的スマート農業技術開発改良

「JA農業機械大展示会」 7月5~6日静岡・吉田町の吉田公園で

基本法審議首相答弁 予算措置 全力で デジタル化など後押し

基本法審議首相答弁 予算措置 全力で デジタル化など後押し

法人協会 売上高増収に繋がる 持続可能な取組の実践で

法人協会 売上高増収に繋がる 持続可能な取組の実践で