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クボタの農業学習施設「アグリフロント」 北海道ボールパーク Fビレッジ内に3月30日開業

クボタの農業学習施設「アグリフロント」 北海道ボールパーク Fビレッジ内に3月30日開業

北海道ボールパーク Fビレッジ内に3月㉚日開業

 クボタ=北尾裕一社長、大阪市=が手掛ける農業学習施設『KUBOTA AGRI FRONT(以下、クボタアグリフロント)』が3月30日、北海道ボールパークFビレッジ内で開業を迎え、カフェの営業を開始した。当日は開業式典を開催、報道関係者向けに施設見学会も行い、6月30日のグランドオープン後にスタートするツアープログラムの内容も紹介した。

ガラスハウスのKUBOTA AGRI FRONT

 開業式は、6月30日のグランドオープンに先駆け、北海道ボールパークFビレッジ内に新設された日ハムの新本拠地、エスコンフィールド北海道で開幕戦が行われた3月30日、開催された。始めに北尾社長が主催者挨拶。「クボタはESG経営を掲げ、食料・水・環境という事業を通じて社会課題を解決することで企業価値を創出し続けることを目指している。ESG経営のスタートを切ったのが、2021年で、ファイターズ様から農業学習施設についてお声がけ頂いたのが2020年末の事だった。この北海道Fビレッジのコンセプトが、まさにクボタのESGの考え方にも合致しており、即決で参画させていただいた。『クボタアグリフロント』は『食と農業の最先端・最前線』を表しており、〝食と農業の未来を志向する仲間づくりの場〟というコンセプトを掲げて運営をスタートさせて頂く。グランドオープンは6月30日だが、大いに期待して欲しい」と述べた。
 続いて来賓祝辞。上野正三・北広島市長は「北広島市は北海道の農業開拓に大きな役割を果たしてきたところだ。北広島市に入植した中山久蔵が、寒さに強い『赤毛米』の種籾を用いて当時不可能と言われていた道東以北での米作りに成功し、それを開拓者に無償で分け与えたことが、今の〝ゆめぴりか〟に繋がっている。昨年、この赤毛米が北海道遺産に登録され、今年は北海道がコメつくりに成功してから150周年となる。その節目の年にクボタアグリフロントがこの北広島市に開業されることは大変意義深く嬉しい」と述べた。
 また、北海道大学の行松泰弘理事は「クボタ様、ファイターズスポーツ&エンターテイメント様との連携協定に基づく農業の未来ビジョンの発信に取組めることは、大変光栄だ。本学ではこの3月、札幌キャンパス内にスマート農業教育研究センターを竣工。このセンターを同施設のサテライト農園とすることで、食料生産を担う農業の重要性とスマート農業の必要性を体感してもらう予定だ。例えばここから札幌キャンパスのトラクターをリモート操縦するなど子供たちが最先端の農業技術に触れることで、その子の将来や社会が大きく変わることになると考えている」と述べた。
 ㈱ファイターズスポーツ&エンターテイメントの前沢賢取締役は「このFビレッジのキーワードは〝共同創造空間〟だが、このエリアの中でも、とりわけ、このクボタアグリフロントは官民学一体となったシンボリックなもので、我々にとって非常に重要だ」と挨拶した。
 その後テープカット。
 開会式後の午前11時、「Kubota AGRI FRONTCAFE(クボタアグリフロントカフェ)」がオープンした。ここでは、北海道産のお米や農作物、フルーツなどこだわりの食材をふんだんにつかったメニューを用意し〝食と農業〟を自分ごととして感じてもらうきっかけづくりをめざすという。営業時間は午前10時~午後5時(ラストオーダーは午後4時30分)。席予約はなし。定休日は、アグリフロントの休館日に準じ、毎週月曜日、年末年始。
《カフェのメニュー》▽スープセット=1320円~1760円(税込み)。野菜のおいしさを食感で楽しむこだわりスープに、ごはんまたは玄米パン、サラダ、ドリンクがセットになっている。▽ジェラートセット=990円(税込み)。米こうじやミガキイチゴを使ったオリジナルジェラート2種とドリンクがセットになっている。他にもキッズメニューや各種デザート、限定ビールも用意。丁寧な調理と優しい味わいが印象的。人気スポットとなりそうだ。

クボタアグリフロントカフェ

食と農業を自分ごとに ゲームで学習、先端技術体験

 開会式後の施設見学会では多くの記者たちが、ツアープログラムの内容に沿って、クボタアグリフロントの施設を見て回り説明を受けた。「この施設は全天候型ガラスハウスとして建築。どんな天候の時も楽しく美味しく学んでもらう。敷地面積3529㎡。太陽光パネルの導入、地下熱の利用、ここで栽培に使われる水は全てクボタの液中膜処理施設で処理した再利用水であるなど環境配慮型の施設となっている」と説明。階段の上がり口には『農業は、地球からの宿題だ』というメッセージボード。2階に上がると北海道農業や農業の課題が展示。クボタアグリフロントは150m幅のガラスの建物。ガラス窓から臨めるのはエスコンフィールドだ。
 続いてツアープログラムのコースを回った。最初に『THEATER』。正面、左右の壁と床を加えた4面の映像空間で繰り広げられる、引き込まれるようなダイナミックで美しい映像で、〝食と農業〟の素晴らしさ、大切さを今直面している課題と共に届ける。
 次に楽しみながら農業経営を学習する『FIELD』。農場経営者の1人となりチームで農業経営に取組むシミュレーションゲーム『AGRIQUEST(アグリクエスト)』で農業経営の面白さと農業の多様性を楽しみながら学ぶことができる。1テーブル最大8名×5テーブル。ゲームを通じて、どのような作物をどんなふうに作って、どこに売るのか、といった事を学ぶ。
 続いて『TECH LAB(テックラボ)』。最先端のアグリテックが、どのように農業の課題を解決するのかを、実際の作物の栽培を通じて体感できる。アスパラガス、トマト、イチゴがこれから栽培されていく。
 紹介されていたのは①レグミン(ハウス内に設置したマークを認識し、うねに沿って走行しながら自動で農薬を散布する。ロボットが作業を行うことで最低限の量で均一に散布できる)②ゼロアグリ(水の中の状態を始め、様々な情報を基にAIの学習機能で水や肥料の量とタイミングを自動で調整するシステム)③ハウスファーモ(環境センサーでハウスの様々な情報を測定してデータを蓄積し、家の中でも外出中でもハウスの状態を確認できる)④UV―Bランプ(デリケートで病気になり易いイチゴだが、紫外線の1つであるUV―Bを当てることによりイチゴ本来の免疫力が高まり病害虫の被害を抑える)⑤完全閉鎖式植物生産装置(箱の中は小さく区切られ、栽培に必要な光や水、空気中の二酸化炭素の濃さや肥料の細かな成分まで自動で管理されており、レタスがすくすく育つ環境を作っている。少ない水や肥料で栄養の多い作物を安定して作れる技術として期待)⑥アイメック(土の代わりに特殊なフィルム上で栽培する。フィルムに空いた小さな穴が水分や養分の吸収量を制限し誰でも甘いトマトが作れる⑦ハミルス(カメラで撮影した画像から作物のしおれ具合を評価し自動で水やり。作業の手間を省きながらみずみずしいトマトを安定生産できる)。
 最後は『TABLE』。美味しい食の体験を通じて食への感謝と未来に向けて何が必要かを考えるきっかけを提供する。
 同施設のメインコンテンツ『ツアープログラム』の営業はグランドオープン後。施設見学ツアーと農業経営シミュレーションゲームAGRIQUESTがセットになった80分のツアープログラムの料金は300円。施設見学のみのショートツアーの料金は100円。

ゲームで農業経営を学べるFIELD

ダイナミックな映像で魅せるTHEATER

レグミンの農薬自動散布

完全閉鎖式植物工場。1日150株のリーフレタスが収穫
《クボタアグリフロントの概要》▽コンセプト=〝食と農業〟の未来を志向する仲間作りの場▽営業時間=午前10時~午後6時▽休館日=毎週月曜日、年末年始。

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