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黒石市と井関農機、ヰセキ東北が協定 持続可能な発展へ 有機農産物の産地づくり 

黒石市と井関農機、ヰセキ東北が協定 持続可能な発展へ 有機農産物の産地づくり 
 青森県黒石市と井関農機、ヰセキ東北の3者は3月20日、黒石市役所で『持続可能な発展のための有機農産物の産地づくりに関する協定』を締結した。スマート農業及び有機農産物生産の実証栽培に取組むことにより、高品質な有機農産物生産技術の確立、省力化及び低コスト化を実現し、その中で産地が持続的に発展するために必要な後継者を育成、有機農産物の産地づくりを目指す。協定締結式に続き、黒石市長が『オーガニックビレッジ宣言』。井関はこれをサポートしていく。

目次


持続可能な発展へ 有機農産物の産地づくり

 『持続可能な発展のための有機農産物の産地づくりに関する協定』の締結式では、黒石市の髙樋憲市長、井関農機の冨安司郎社長、ヰセキ東北の加藤敏幸社長が協定書に署名した。
 締結式後、髙樋市長は「各地域で有機農業、環境保全型農業を推進されている井関様との今回の協定は、非常にありがたく思っている。本市では有機農業の取組みが始まってから、農業に従事する方達の気持ちに少しずつ変化が表れてきたと感じている。最初は大変だという気持ちが強かったようだが、作った農産物が評価されていくにつれ誇りを感じるようになっていったようだ。特に厳しい状況にある中山間地において、農村として確立できる地域づくりのために、有機農業には期待している。中山間地問題は全国の普遍的な課題だ。本市は井関様の力を借りながら、世界からも注目されるような中山間地の地域づくりを行っていきたい」と挨拶した。
 井関農機の冨安社長は「弊社は1926年『農家を過酷な労働から解放したい』との創業者の想いから創立され、今『食と農と大地のソリューションカンパニー』として『夢ある農業』、新しい時代の農業をサポートさせて頂いている。弊社は、先端技術を活用したスマート農機と長年培ってきた栽培技術のハードとソフトを両軸に環境保全型農業の実現に向けて検証を進めている。黒石市の皆様と力を合わせて、有機農産物の街づくり〝有機の郷くろいし〟の実現に向けて一生懸命やらせて頂く。令和の最初から有機に取組んできた黒石市は日本の中でも最先端を歩んでおられる。りんごをはじめとし産地づくりでも非常に長けておられ、また有機米の海外輸出まで始めている黒石市の皆さんと協定を結ばせて頂いたことは非常にありがたい」と述べた。
 またヰセキ東北の加藤社長は「黒石市様とはスマート農機の活用等次世代農業に向けて共に取り組んできた。本日このような形で新たにスタートできたことは非常に光栄だ。楽しみにしている」と挨拶した。
【黒石市の有機農業の取組み】2019年、農水省の「有機農業と地域振興を考える自治体ネットワーク」に加入。21年「くろいし有機農業推進協議会」を設立。協定を機に、市全体で有機農業に取組み『有機の郷くろいし』を目指していく。
 2022年度には、市がブランド化を推進する『ムツニシキ』で、井関が提供した、アイガモロボを用いた除草剤を使わない雑草管理技術や有人監視型ロボットトラクタなどを用いた有機米栽培の実証試験を開始。4.6‌haで有機栽培に取組んでおり、今年2月と3月には各1回、市内の全4小学校へ有機栽培米ムツニシキを学校給食用として試験提供した。今後は通年で月1回の提供を目指していく。まずは計画に基づき、40‌haを有機栽培に転換、その後も拡大していく。
 ※ムツニシキは1972年にデビューし、1998年まで青森県の奨励品種。一時は『おかず要らずのお米』として賞賛されていたが、倒伏しやすいなど生産の課題が多く県推奨品種から外されたが、2015年に黒石市の髙樋市長により、寿司に合うという付加価値を持ったお米としてムツニシキを復活させる事業が開始された。市の農林部によると、一般的にムツニシキは慣行栽培で10a当たり7俵、有機栽培では4俵の収量。だが「井関さんの協力を得て、栽培技術が磨かれれば、有機なら慣行よりも多い収量も可能ではないか」と佐藤拓郎・くろいし有機農業推進協議会会長は話す。
【井関が協定で取組む内容】まず、黒石市内の協力農家、実証ほ場のもとでISEKIのスマート農業技術を活用し、有機農産物生産の実証試験を行う。そのうえで、ISEKIスマートオーガニック農業で環境負荷低減と生産性向上、収益拡大。『食・農・大地』の持続可能な農業を創造する。キーアイテムとなるのは、自動抑草ロボット『アイガモロボ』と、直進アシスト田植機、ロボットトラクタ、直進アシストコンバイン、水位センサ、レーザーレベラー、ほ場内高低差センシングなど。
 有機農業の推進と産地化を推進することで、人が集まる、農を核とした『オーガニックビレッジ』の拡大をサポートする。
 締結式には黒石市からは髙樋市長のほか有馬喜代史副市長、鳴海淳造部長、中田憲人部長が、井関農機からは冨安社長のほか縄田幸夫常務、三輪田克志部長が、ヰセキ東北からは加藤社長のほか武田義明常務、成田友洋青森支社長が出席した。ださい

オーガニックビレッジ宣言黒石市

 その後、くろいし有機農業推進協議会の佐藤拓郎会長も席に加わり、黒石市の髙樋市長によるオーガニックビレッジ宣言。髙樋市長は「黒石市は、青森県のほぼ中央に位置し、古くから『りんごと米と温泉の田園観光都市』と親しまれており、平野部では水稲、中山間部では果樹や高冷地野菜を主体とした農業が展開されている。平野部は良質な土壌に恵まれ、山間部からは八甲田山連峰のミネラル豊富な伏流水が流れ込み、有機農業に取り組むには非常に有利な資源が存在している。有機農産物の生産に取り組むことが農業に従事する方々の自信と誇りに繋がり、コミュニティーの充実に結び付いていく事と考えている。そのため本市では、有機農業の推進を起点とした食と農の活性化を図り、魅力ある街づくりを目指して、ここに『オーガニックビレッジ』に取組むことを宣言する」と読み上げた。

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