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先進林業機の実証等を報告 都内で林業イノベーション推進シンポジウム

林野庁と林業機械化協会主催による「令和4年度林業イノベーション推進シンポジウム」が2月8日に東京都江東区の木材会館大ホールで開催された。 会場とオンライン視聴のハイブリッド形式で行われ、自治体や素材生産業者、森林組合など併せて約600名が参加。今年度の先進的林業機械緊急実証・普及事業成果報告をはじめ、林業イノベーションハブセンター(森ハブ)に関するパネルディスカッションなどを実施。会場参加者には終了後に情報交換会も行われ、交流を深めた。

 同シンポジウムは、林業イノベーション推進に向け、先進的な林業機械等の現場実証の取組や、林業の成長産業化を実現するため、異分野の技術探索や先進技術方策の検討を行うべく令和3年に設置した森ハブの取組を紹介しつつ、プラットフォーム構築に必要なネットワークや意識醸成、将来的に異分野を含むプレイヤーの巻き込みにもつなげられる場の形成の創出を目的に実施。
 当日は、主催者を代表して林野庁の小坂善太郎森林整備部長と林業機械化協会の島田泰助会長がそれぞれ挨拶。小坂部長は「『伐って使って植える』にあたっては課題も多い。例えば植えるということは再投資ということであり『儲かる林業』を作っていく必要がある。そのためには生産から流通まであらゆる面で効率を高めていくことが重要。加えて、担い手確保に向け安全で魅力ある林業としていくことも求められる。これらの実現に向けては遠隔操作などの技術が重要であり、林野庁としても異業種と連携しながらイノベーションによって『新しい林業』を作り上げていこうとしている。本シンポジウムを林業イノベーションを加速させる契機となることを期待する」などと述べた。
 第1部は今年度に行われた先進的林業機械緊急実証・普及事業成果報告会を実施。実施主体4事業者による新しく開発した林業機械の現場実装に関する成果報告が行われた。報告後に検討委員からの質疑に応じ、検討委員会座長を務める今冨裕樹東京農業大学非常勤講師が総括した。発表が行われたのは①新たな架線集材システムを活用した『集材・造材マルチワークシステム』の実証等(中井林業、イワフジ工業)②山間地で林業機械等の遠隔操作や自動運転を可能にする支援システムの実証等(山陽商事、MIKATAプロフェッショナルズ、加藤製作所、リプロ、テクノマセマティカル)③大型ドローンによる伐採木等運搬の実証等(山崎産業、九州電力、BlueBee、千葉大学)④公道走行に適したホイール型フォワーダの実証等(福岡県広域森林組合、松本システムエンジニアリング)。
 第2部では「森ハブを中心とした林業イノベーション推進に向けたプラットフォーム構築」と題して情報提供がなされ、森ハブ事務局を務める有限責任監査法人トーマツが、今年度の取り組み概要を発表。また、新技術・異分野技術を活用した林業機械の開発事例として諸岡とパナソニックアドバンストテクノロジー、森林総合研究所、東京農工大学が取り組んだ「集材作業の自動化課題を解決するための3Dセンシング技術等を活用したフォワーダの開発・実証」の説明が行われた。
 続いて行われたパネルディスカッションでは森ハブ専門委員会座長の立花敏筑波大学生命環境系准教授をファシリテーターに、研究者やメーカー担当者5名が 〝異分野から林業イノベーションを起こすにはどうすればいいか〟〝森ハブの役割や期待すること〟などについて活発な意見が交わされた(主な発表内容など詳細は次号)。

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