4年度天皇杯等受賞者の横顔④

農水省などが、特に優れた取組を表彰している農林水産祭天皇杯等。本紙では回を分け令和4年度(第61回)の受賞者の取組を紹介する。
【天皇杯・林産部門=渡邊定元氏(静岡県富士宮市)】出品財は経営(林業経営)。
農水省職員、東京大学教授等を経て、渡邊氏は林業経営他である㈱白糸植物園を設立。平成6年から現在までの28年間、これまでの自身の研究成果を活かした林業に従事してきた。
小規模所有の森林を中心に集約化を行い、将来木候補の成長の妨げとなる準優占木を間伐対象とした、中層間伐を繰り返すことで継続的に収益を得つつ、150年後には優良木が1haあたり100本の高収益林を造成することが目標の「持続的経営林づくり」を進めてきた。令和3年度時点で、富士山南山麓域1000ha余の森林所有者と森林経営受託計画を結び、森林経営計画を作成して持続的経営林づくりを実施。これまでに数千万円の間伐収益を所有者に還元してきた。
高い資産価値を持つ持続的経営林を造成するため、中層間伐とそれによる同齢択伐林施業を実施。また、大型フォワーダ走行を可能とした幹線作業道など、強度の降雨に耐えることのできる防災水源涵養路網を整備し、生産性の高い作業システムを構築している。
持続的経営林は、成長量を持続させた高齢級の森林造成のため、炭素の吸収能力維持と炭素貯蔵を両立させ、大気中のCO2濃度の低減に寄与するものである。
また、防災水源涵養機能を有する路網の高密度な整備は、林地への車両系機械の侵入を最小限として、林地保全を図り、これにより伐採・造林作業機械の導入が容易となり、作業者の労働負荷を軽減している。
静岡県で展開された「富士森林プロジェクト」では持続的経営林づくり等についての提案や、指導を行うほか、NPO法人「富士山自然の森づくり」の技術指導を通じ地域ボランティア活動の活性化に大きく貢献してきた。
今後は森林計画の対象林を1400ha以上に拡大し、地域に持続的経営林を普及させ、森林所有者の継続的な収益を確保しながら、林齢150年生の森林で1haあたり1000万円の資産価値を持つ林の造成を目標としている。
【内閣総理大臣賞・多角化経営部門=農業法人深作農園㈲(代表・深作勝己氏、茨城県鉾田市)】出品財は経営(メロン・イチゴ・甘藷ほか)。
深作家は6代・100年以上続く農家。平成16年に法人化した。メロン、イチゴ、甘藷等の生産を行い、メロン・イチゴは全国有数の規模を誇る。
同社はイチゴ狩りやメロン狩り、スイーツの加工・販売、カフェの運営など6次産業化にも意欲的に取り組んでいる。
同社では「深作農法」という、土壌中の善玉菌を活かした農法に、自然農法や有機栽培を融合させた独自の農法を確立。栄養価の高い作物の生産を行っている。
また、ハウスの自動開閉システムや灌水システム、ICTセンサーを使ったほ場や生育の管理など、デジタル技術の導入による生産の効率化や省力化も図っている。
自社直売所の運営や通信販売、イチゴ狩り・メロン狩り、深作農園の農産物を原材料としたスイーツ等の加工・販売、バウムクーヘン専門店や農家カフェの運営などに取り組み、更に来園が難しい近年の状況も踏まえ、新たなサービスや商品の提供も積極的に行う。
今後は、農業関係者だけではなく、自治体、学校などの教育機関、流通や小売、観光など幅広い業種との連携を一段と進め、売上や収益の向上だけでなく、社会貢献できる農業法人を目指す。
【日本農林漁業振興会会長賞・畜産部門=㈲たかた採卵(代表・髙田安紀彦氏、岡山県笠岡市)】出品財は経営(採卵鶏)。
現在の経営代表者は、昭和29年に種鶏改良から始まった採卵養鶏業の3代目で、平成25年に引き継いだ経営自体は4万羽規模ではあるが、鶏卵の地産地消、6次産業化、高付加価値化・ブランド化に成功している。
木酢液・海藻・よもぎ粉末を添加した飼料を給餌して生産された鶏卵やその加工品は、様々な販路を通じて地元を中心にほぼ全量を消費者に直接販売している。
同社の卵は一般スーパーの卵よりも高価格であるが、地元消費者がコンスタントに9割を購入しており、高付加価値化・ブランド化とともに、地産地消に成功している。
加工兼直売所「たかたのたまご」では、卵販売のほかケーキなどの製造販売を行い、また併設する食堂では卵かけご飯を提供するなど、6次産業化を実現している。
従業員が働きやすい職場づくりを行っており、フレックス制の導入や、能力に応じた管理業務への登用などは、労働意欲を活性化させ、従業員のアイディアや責任感を引き出している。
従業員約40名のうち7割を女性が占める同社において、女性を含めた従業員が働きやすい職場作りは、農業経営体の企業的展開が期待される中において、今後の展開方向を示すものと考えられ、取り組みへの普及が期待される。
【天皇杯・林産部門=渡邊定元氏(静岡県富士宮市)】出品財は経営(林業経営)。
農水省職員、東京大学教授等を経て、渡邊氏は林業経営他である㈱白糸植物園を設立。平成6年から現在までの28年間、これまでの自身の研究成果を活かした林業に従事してきた。
小規模所有の森林を中心に集約化を行い、将来木候補の成長の妨げとなる準優占木を間伐対象とした、中層間伐を繰り返すことで継続的に収益を得つつ、150年後には優良木が1haあたり100本の高収益林を造成することが目標の「持続的経営林づくり」を進めてきた。令和3年度時点で、富士山南山麓域1000ha余の森林所有者と森林経営受託計画を結び、森林経営計画を作成して持続的経営林づくりを実施。これまでに数千万円の間伐収益を所有者に還元してきた。
高い資産価値を持つ持続的経営林を造成するため、中層間伐とそれによる同齢択伐林施業を実施。また、大型フォワーダ走行を可能とした幹線作業道など、強度の降雨に耐えることのできる防災水源涵養路網を整備し、生産性の高い作業システムを構築している。
持続的経営林は、成長量を持続させた高齢級の森林造成のため、炭素の吸収能力維持と炭素貯蔵を両立させ、大気中のCO2濃度の低減に寄与するものである。
また、防災水源涵養機能を有する路網の高密度な整備は、林地への車両系機械の侵入を最小限として、林地保全を図り、これにより伐採・造林作業機械の導入が容易となり、作業者の労働負荷を軽減している。
静岡県で展開された「富士森林プロジェクト」では持続的経営林づくり等についての提案や、指導を行うほか、NPO法人「富士山自然の森づくり」の技術指導を通じ地域ボランティア活動の活性化に大きく貢献してきた。
今後は森林計画の対象林を1400ha以上に拡大し、地域に持続的経営林を普及させ、森林所有者の継続的な収益を確保しながら、林齢150年生の森林で1haあたり1000万円の資産価値を持つ林の造成を目標としている。
【内閣総理大臣賞・多角化経営部門=農業法人深作農園㈲(代表・深作勝己氏、茨城県鉾田市)】出品財は経営(メロン・イチゴ・甘藷ほか)。
深作家は6代・100年以上続く農家。平成16年に法人化した。メロン、イチゴ、甘藷等の生産を行い、メロン・イチゴは全国有数の規模を誇る。
同社はイチゴ狩りやメロン狩り、スイーツの加工・販売、カフェの運営など6次産業化にも意欲的に取り組んでいる。
同社では「深作農法」という、土壌中の善玉菌を活かした農法に、自然農法や有機栽培を融合させた独自の農法を確立。栄養価の高い作物の生産を行っている。
また、ハウスの自動開閉システムや灌水システム、ICTセンサーを使ったほ場や生育の管理など、デジタル技術の導入による生産の効率化や省力化も図っている。
自社直売所の運営や通信販売、イチゴ狩り・メロン狩り、深作農園の農産物を原材料としたスイーツ等の加工・販売、バウムクーヘン専門店や農家カフェの運営などに取り組み、更に来園が難しい近年の状況も踏まえ、新たなサービスや商品の提供も積極的に行う。
今後は、農業関係者だけではなく、自治体、学校などの教育機関、流通や小売、観光など幅広い業種との連携を一段と進め、売上や収益の向上だけでなく、社会貢献できる農業法人を目指す。
【日本農林漁業振興会会長賞・畜産部門=㈲たかた採卵(代表・髙田安紀彦氏、岡山県笠岡市)】出品財は経営(採卵鶏)。
現在の経営代表者は、昭和29年に種鶏改良から始まった採卵養鶏業の3代目で、平成25年に引き継いだ経営自体は4万羽規模ではあるが、鶏卵の地産地消、6次産業化、高付加価値化・ブランド化に成功している。
木酢液・海藻・よもぎ粉末を添加した飼料を給餌して生産された鶏卵やその加工品は、様々な販路を通じて地元を中心にほぼ全量を消費者に直接販売している。
同社の卵は一般スーパーの卵よりも高価格であるが、地元消費者がコンスタントに9割を購入しており、高付加価値化・ブランド化とともに、地産地消に成功している。
加工兼直売所「たかたのたまご」では、卵販売のほかケーキなどの製造販売を行い、また併設する食堂では卵かけご飯を提供するなど、6次産業化を実現している。
従業員が働きやすい職場づくりを行っており、フレックス制の導入や、能力に応じた管理業務への登用などは、労働意欲を活性化させ、従業員のアイディアや責任感を引き出している。
従業員約40名のうち7割を女性が占める同社において、女性を含めた従業員が働きやすい職場作りは、農業経営体の企業的展開が期待される中において、今後の展開方向を示すものと考えられ、取り組みへの普及が期待される。