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9戸以下の集落増加 食料安全保障リスク指摘 基本法検証部会

農水省は1月27日、「食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会」(以下、基本法検証部会)を開催した。1999年に制定された「食料・農業・農村基本法」は、制定から20年以上経ち、国内外の情勢が大きく変化していることに伴い、基本法検証部会で改正に向けた基本法の検証や見直しが行われている。
 農水省によると、農村では9戸以下の農業集落の割合が増加している。10戸を下回ると農地の保全等を含む集落活動の実施率が急激に低下。農業生産を通じた食料の安定供給や、多面的機能の発揮に支障が生じる恐れがある。
 2050年には65歳以上の高齢化率50%以上の集落が山間農業地域で4割、中間農業地域でも2割を超えることが予測されており、生活環境の悪化も懸念される。
 2050年にはコミュニティ機能が失われる9人以下の集落は31万ha、コミュニティの維持が困難になる可能性の高い高齢化進行集落は67万haと予想されている。
 中山間地域は、人口は全国の約1割だが、総土地面積は6~7割、耕地面積、農家数、農業産出額は約4割を占める。農村地域の人口減少が進めば、農業用排水施設の維持管理に係る人員確保が困難となる地域が増加し、水路などの末端施設の維持管理は地域の共同活動で行われているが、人口減少で支障が生じるおそれがある。
 このため政府はデジタル田園都市国家構想総合戦略や、移住・定住施策などに取り組んでいる。
 これらの報告の後、山形県鶴岡市のヤマガタデザインの山中大介代表取締役が、アイガモロボットを活用した有機農業の拡大による儲かる農業をめざす取組みや、年間6万人を集客する「スイデンテラス」などを紹介。
 福島県南会津町のなからい大地を育む会活動組織代表の渡部雅俊氏は、人口減少下における集落活動の維持のため、非農家を含む地区住民と合意形成などに取り組んだ事例を紹介。「地域資源の保全は、個人や農家だけの問題ではなく、集落全体で恩恵を受けているという意識を持つことが重要。また限られた労働力で保全管理するには、電気柵周辺に防草シートを敷設したり、春・秋の設置撤去作業軽減のための複合柵への切替え等が必要」などと訴えた。
 意見交換で、清原委員が「営農継続のリスクは食料安全保障のリスク。農村に人が暮らし続けることは食料安全保障に直結すると強調してもらいたい」と指摘した。

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