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基本法改正へ議論始まる 農政審に新たな部会 希望の持てる将来像検討

施行から20年経つ食料・農業・農村基本法(以下、基本法)の改正に向けて本格的な議論がスタートした。9月29日に農水省内の講堂で開かれた食料・農業・農村政策審議会において野村農相が基本法の検証等について諮問を行い、審議会の中で「基本法検証部会」が立ち上げられたもの。今後、10月中ごろまでに1回目の部会を開催。農相が定例会見のなかで表明した1年程度で改正を行うとするスケジュールに間に合うよう検討を進めていくこととしている。

 審議会でははじめに野村農相が挨拶にたち「制定から20年が経過し、わが国の農業を取り巻く情勢は想定し得ないレベルで大きく変化している。こうしたなかで、総理からの強い指示のもと検討を行い見直しを進めていく。食料・農業・農村を巡る課題解決に向けては農業者だけでなく、食に関する全ての事業者、消費者と幅広い関係者の理解と努力が必要。今回の見直しが次の20年を見据えたものとなるよう活発な議論をお願いしたい」と述べた。
 その後、基本法の検証に向けて、食料・農業・農村政策審議会において、新たに「基本法検証部会」を設置することを決めた。部会長には東京大学大学院農学生命科学研究科の中嶋康博教授、部会長代理に東京大学の大橋弘副学長が就任。
 部会の設置について、勝俣孝明副大臣、角田秀穂大臣政務官、藤木眞也大臣政務官がそれぞれ期待を述べた。角田政務官は「先日、高知でAI技術を活用した最先端の農業現場を視察したが、そのなかで感銘を受けたのは今まで全くの農業経験がない1年目にも関わらず、気候データや作物の生理生態データ等のデータベースをはじめ最先端の技術で地域の全農家の5本の指に入るくらい収量を上げた人がいらっしゃったこと。技術を活用することで農業はやったことはないが、やってみたいという人の敷居を大きく下げることができると実感した。こうしたことも含め、チャレンジングな精神を持った人が参加できるようにすることが重要。将来に向け希望の持てるような将来像を描いてほしい」とした。
 その後、事務局から見直しの背景を説明。それを受けて各委員が意見を述べた。日本総合研究所の三輪泰史委員は「足元の状況は非常に厳しいが、短期的ではなく10年・20年スパンで考えたとき、今後も直近と同様のリスクが出てくると考えられる。だからこそ対処療法的ではなく原因自体を変えるよい機会としたい。また、スマート農業、DXについては一部の農業者、一部の農村が導入するのではなく、地域全体がスマート農業、DXの恩恵を受けられるようにする必要がある」。日本法人協会副会長の齋藤一志委員は「農外から参入してくれた人も多くいたが、ほぼ全員やめた。皆さん非常にやる気があったのだが、『飯が食えない』から。この仕組をなんとか今回の基本法の見直しで少しでも改善できれば」などの意見があった。
 今後、10月中ごろから部会を定期的(月に2回程度)に開催し、有識者への意見聴取も含め検討を進め農相からの指示があった1年程度を目安に議論をまとめる。

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