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クボタ売上高14.4%増1兆2605億円 海外売上20・3%増 純利11%減、通期5%増見込む 

クボタ売上高14.4%増1兆2605億円 海外売上20・3%増 純利11%減、通期5%増見込む 
クボタ(北尾裕一社長)は8月3日、2022年12月期第2四半期決算(IFRS、連結)を発表。売上高は前年同期比1591億円(14・4%)増の1兆2605億円、うち国内は35億円(1.1%)減の2991億円、海外は1625億円(20・3%)増の9614億円。純利益は同117億円(11・4%)減の912億円(通期では同5%増1850億円を見込む)。

 オンライン発表の席には渡邉大・取締役専務執行役員機械事業本部長、飯塚智浩・執行役員農機国内営業本部長、鶴田慎哉・エグゼクティブオフィサー農機国内営業本部副本部長、能登貴文・農機国内営業部営業企画課長が出席。全体と海外を渡邉事業本部長が、国内を飯塚国内営業本部長が説明した。
【2022年中間決算の概要】売上高は1兆2605億円。このうち国内は、水・環境部門が増収となったが、機械部門で減収となり前年同期比35億円(1.1%)減の2991億円となった。海外は、機械部門、水・環境部門ともに増収となり、同1625億円(20・3%)増の9614億円となった。
 営業利益は値上げ効果や為替の改善などの増益要因があったものの、原材料価格の上昇や物流費の増加などの減益要因により、同265億円(18・0%)減の1210億円。税引前利益は営業利益の減少に伴い同178億円(11・9%)減の1316億円。四半期利益は同112億円(9.9%)減の1020億円。親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期を117億円(11・4%)下回る912億円となった。
【部門別概況】▽機械部門(農機及び農業関連商品、エンジン、建設機械など)=売上高は同16・5%増の1兆962億円となり、売上高全体の87・0%を占めた。このうち国内は同3.0%減の1556億円。米価下落、経営継続補助金の終了により農業関連商品が減少した。海外は同20・5%増の9406億円。北米では、トラクタは受注残の解消及びディーラー在庫充足のための出荷が進み、建設機械はインフラ工事需要により堅調に推移。欧州では安定した市場により建設機械、エンジンを中心に増収。穀物価格も高くなっており、農機の需要も力強い。アジアはタイでは米価低迷により稲作向け機械は低調に推移したが、畑作市場の開拓が堅調に進み、トラクタを中心に農業機械が増加。Mトラも好調だ。中国ではロックダウンの影響により建設機械、田植機が減少。インドはEscorts社(現、Escorts Kubota Limited.以下「EKL社」)の連結子会社化により増収。セグメント利益は値上げ効果や為替の改善などの増益要因があったものの原材料価格の上昇や物流費の増加などの減益要因により同18・5%減少し1173億円。
 ▽水・環境部門=売上高は同4.2%増の1527億円、構成比は12・1%。うち国内は同2.6%増の1319億円、海外は同15・6%増の208億円。セグメント利益は原材料価格の上昇により同26・6%減の97億円。
【連結財政状態】資産合計は前期・2021年12月末比7805億円増の4兆5540億円。資産の部では北米、タイでの増収により営業債権が、港湾混雑による輸送中在庫の増加に伴い棚卸資産が増加。また、EKL社連結子会社化に伴い、のれんなども増加した。負債の部ではEKL社の株式取得、運転資本の増加に伴い社債及び借入金が増加。資本は利益の積み上がりや為替の変動などに伴うその他の資本の構成要素の改善により増加。親会社所有者帰属持分比率は前期末比2.6㌽減少して41・9%となった。
 営業活動によるキャッシュ・フローは220億円の支出。四半期利益の減少に加え、営業債権や営業債務など運転資本の変動により前年同期比728億円の支出増。投資活動によるキャッシュ・フローは2266億円の支出。EKL社の株式の取得、及び有形固定資産の取得による支出の増加により、同1814億円の支出増となった。財務活動によるキャッシュ・フローは1898億円の収入。資金調達の増加等により同1875億円の収入増。これらのキャッシュ・フローに為替変動の影響を加えた結果、当第2四半期末の現金及び現金同等物残高は期首残高から433億円減少し2153億円となった。
【2022年12月期連結業績予想】売上高は前回予想時(本年2月14日)から1900億円増の2兆6400億円を見込む。為替相場が想定よりも円安に推移、また第2四半期でのインドのEKL社の連結子会社化、タイでの農業機械の増加などにより、海外売上高が増加する見込みのため上方修正した。営業利益の予想については売上高予想、為替及びインフレーションの動向などを踏まえ、前回予想比100億円上方修正し2600億円。また、税引前利益は同200億円増の2730億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、同70億円(5.3%)増の1850億円。なお、新型コロナウイルス変異株感染の状況悪化は本業績予想には反映せず。想定為替レートは、1米$127円、1€135円。
※中間配当は1株22円。
【国内農機の上半期の状況・今後の活動内容】上半期は世界情勢が混沌とする中、我々グループは新製品、スマート農機の市場浸透を図ってきた。
また整備事業の強化、IT活用による業務の効率化、営業生産性の向上等体質強化にも取組んだ。そうした状況の中だが、昨年の経営継続補助金の反動で特に前半戦、関連商品等含めコモノが伸び悩んだ。一般兼業層の需要の動きが鈍かった。一方、本機は大型高性能機(大型トラクタ、大型コンバイン、汎用コンバイン)を中心にほぼ前年並みの数字を確保。商社、系統、本機、関連商品すべて合わせたトータルでは前年比微減となった。
 戦略としては、1月に開催したGROUNDBREAKERS。これには1万人を超える視聴者の参加を頂いた。各種webセミナー等も展開した。また一部地域では戦略的なイベントも再開され、リアルの面でも顧客接点活動が図れた。KSASには新プランを追加し、6月末で会員数は営農コース4400~4500とかなり増やした。また、自治体、公共機関等組織体との連携も進めている。新潟県とは新潟クボタと3者で、みどりの食料システム戦略をベースにした連携協定を締結。また北海道の新十津川町ともスマート農業の連携協定を締結、地域農業の発展に寄与したい。
 下期については環境変化はさほどなく、上期の継続で行くのではないかと思っている。我々としては後半戦も重点商品を活かした提案活動や、農政・組織体と連動した推進、また今展開している農フェス、今週末に開催予定のGROUNDBREAKERS、webセミナーといったデジタル戦略と、リアルの実演会、試乗会といったハイブリッド戦略で進めていく。
 ▽連結対象=国内57社、海外140社。連結子会社は183社、持分法適用会社は14社。
 ▽価格改定=海外もインフレの度合いに応じ積極的に行っているが、原材料費、人件費、海外向けコンテナが高騰、値上げでは賄いきれず営業利益としては落ちている。
 ▽原材料価格の見通し=ピークは過ぎたが、高止まりの状況だ。金利上昇で需要が落ち着いて来れば、下がってくることも考えられるが、今期の損益に与える影響はほぼ見込めない。
 ▽EKL社の状況=インドでもインフレ、鋼材価格の値上がりが続いており、それに伴いインドの農機メーカーも製品価格を積極的に上げている。需要は若干減とみている。混乱するサプライチェーンの中でいかにモノを作るかが大切だ。
 ▽海外の工場建設=海外需要は2020年~21年はコロナ特需で欧米で非常に大きな需要拡大があった。それに対しクボタも生産能力を最大限使い供給しているものの追い付かず、生産能力増強を進めている。建機は北米で工場建設中、今年10月に竣工稼働。また北米はローダー工場設立を決め、24年末か25年稼働予定だ。ただ、これらは今年の収益には効いてこず、現在は外注コストがかかっており、収益の足を引っ張っている状況だ。
 ▽北米で始まった故障診断アプリ=M7トラクタへの応用も視野に入れている。これは国内も(時期未定)。
 ▽燃料電池トラクタ=クボタはカーボンニュートラルで様々なオプションを提供できるリーディングカンパニーを目指している。電動トラクタは本年から欧州で上市。燃料電池トラクタも25年上市を目指し、開発中だ。水素エンジンを使ったトラクタもある。カーボンニュートラルは、どの市場でどのアプリケーションが適すのか検証中だ。
 ▽堺の研究開発センター=今年10月に竣工予定。
(ここまでは渡邉事業本部長が回答)。
 ▽バーチャルとリアルのハイブリッド=例えば農フェスのバーチャルの試乗で興味を持って頂き、リアルに繋げたり、関心の高い方にセミナーや市場・実演会の案内を送るなど効果を上げている(鶴田副本部長)。
 ▽今年の米価=16年以降5年続けて米価は上がった。その間、減反政策廃止など環境変化もあった。この2年間はコロナで外食、インバウンド需要がなくなり需給が緩んだ。今年に関しては、そろそろ踊り場、今年は下げ止まるのではないかとの見通しも出ている。米穀機構の発表(6月6日、5月の景況調査)でも米需給指数が30カ月ぶりに上向いて、向こう3カ月の需給見通しは42で前月より5㌽増えたとあった。様々な見方はあるものの、米価はプラス方向に向かっているという感触を持っている。ただ、まだまだ民間在庫200万tくらいあり、米余り感は続く。一方で政策的に今年は米価についてはある程度保持されるのではないかという見通しを持っている(飯塚本部長)。

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