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田んぼを自動抑草『アイガモロボ』 プロトタイプ公開 井関農機が来年から販売

田んぼを自動抑草『アイガモロボ』 プロトタイプ公開 井関農機が来年から販売
田んぼの自動抑草ロボット「アイガモロボ」を開発する有機米デザイン(山中大介社長)は、来年度の販売に向け、量産機のデザインの原案となるプロトタイプを製作し、4月25日、販売面で連携する井関農機の夢ある農業総合研究所(茨城県つくばみらい市)で初公開した。デザインは専門学校HALのカーデザイン学科の学生を対象にコンペを実施し、30候補の中から中村哲氏の作品を選出。当日は金賞の中村さん、銀・銅賞の学生を表彰した。また中村さんのデザインを基に制作したプロトタイプを圃場で実演。水を張った田んぼをゆっくり泳ぐ可愛らしい姿を披露した。
 アイガモロボは、代掻き後の水田を太陽光発電で得られる電力によって自立航行して、水中を攪拌し、泥を巻き上げることで、光を遮るとともに、土の物理性に影響を及ぼし、水面下にある雑草の成長を抑制する。除草剤を使わずに雑草が生えにくい状態を作ることで、除草にかかる労力を大幅に削減できる。
 昨年は全国18都府県の試験ほ場で水田雑草の抑制効果を確認するとともに、実用化に向け全国各地の試験ほ場、及び協力生産者ほ場でロボの試験運転を行った。例年と比べ大幅に除草作業を削減できたほか、ジャンボタニシの抑制効果や、一定条件下では収量アップの効果もあった。今年度は、33都府県で210台の実証機を使って実験を行い、来年度の販売を目指す。それにあたりプロトタイプを制作した。
 プロトタイプのデザインの制作にあたっては、専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)のカーデザイン学科の学生を対象にコンペを実施した。みごと金賞を受賞したのは中村哲さん。ロボットとしての可愛らしい外観と、見た人が「一生懸命頑張って泳いでいるね」と思って元気が出るデザインを意識。農家の苦労を軽減し、愛されるロボットになってほしいという開発チームの願いも込められているという。中村さんのデザインは、農家などの審査メンバーが「愛されて日本全国のほ場に浮かんでいるイメージにピッタリ!」との意見で一致し、デザインと生産要件の両立まで考慮し実社会に適用するまさに金賞作品と評価された。銀賞は同・原慧太朗さん、銅賞は同・藤井樹さん。
 表彰式では、有機米デザインの山中大介社長から表彰状と楯がそれぞれに贈られた。
 また、井関農機の縄田常務からも記念品が贈られた。縄田常務は「このアイガモロボは日本の農業を変えるものになるだろう。デザインも素晴らしい。有機農業の拡大に向けてしっかり取組んでいきたい」と挨拶した。
【アイガモロボ開発の経緯】アイガモロボは、2012年から元日産自動車のエンジニア2人を中心に、有機米栽培における大きな課題の1つである除草の手間を極小化することを目的とした自動抑草ロボの開発がスタート。その後、ヤマガタデザインに開発の母体が順次移行され、実用化に向けて更に加速するべく、2019年に有機米デザイン(設立時ヤマガタデザイン100%出資)を設立、東京農工大学との共同研究契約を締結し開発を進めてきた。
【有機米デザインと有機米の展望(山中社長の開会挨拶から)】我々の会社は、田んぼの自動抑草ロボットの開発を通じ、儲かる有機米市場を実現するチームだ。日本農業の現状の一番は担い手の減少。その理由を一言でいえば『農業は儲からないという思い』。我々はその概念をぶち壊していきたい。その中で注目しているのが、有機農業、有機米だ。有機米は売値が高い(農水省:米の概算払いは慣行栽培米1㎏188円、有機米は430円を超える)。そのため有機米は売値を適正価格に引き上げられる数少ない方法の1つと思っている。有機農業は環境面で大事だが、ビジネスの観点でも優れている。世界的には有機農業は成長産業で、年平均8%で伸びており全世界に約12兆円の市場がある。国内においても約2200億円の市場があり、年平均4.5%で伸びているといわれている。その中で日本の有機農業の課題は、全く作れていないこと。現在JAS有機の面積は0.2%、EUは7%。国は、みどりの食料システム戦略で2050年までに有機農業の面積割合を25%に高めるという目標を掲げているが、これは茨の道だろう。我々が目指しているのは、まず7%。ここまではいく、有機農業は国内では2兆円の市場が作れると思っている。需要はあるのに作れていない、というギャップは、大きなビジネスチャンスだ。国もみどり戦略を打ち出し、有機農業支援の流れになっており、追い風が吹いている。有機米については、我々は2030年には約400億円の市場があると試算している。ではなぜ普及しないのか。それは手間がかかるから。田んぼの除草がボトルネックになっていて面積が拡大できない。この部分を自動化し農家負担を極小化しない限り、有機米の拡大はない。そういったことを解決するのがこの抑草ロボットだ。今年33都府県で井関農機さんともタッグを組み実証、次年度販売する。ただそこで終わらない。このロボットの発売を通じて出会った農家さん達の作った有機米の販路拡大や、より付加価値を付けた販売にも貢献し、販売という商社機能までのトータルサービスを提供していきたい。
【質疑応答】▽本体にカバーがかけられて太陽光発電の能力に問題はないか=カバーには、日産自動車に協力頂き光を通し集光能力もある特殊な塗料を塗布している。そのため発電効率は変わらない▽塗料の耐久性=農機の耐用年数7年は塗り替えなしでもつ▽発売価格・台数=価格は資材費高騰もあり未定。台数も資材調達の関係もあり未定▽プロトタイプの重量・機体寸法=12~13㎏、幅90×長さ120~130×高さ30~40㎝、ソーラーパネル60‌W。

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