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農研機構農業機械研究部門・天羽所長に聞く

食料生産の安定に貢献新たな安全性検査も導入

農研機構農業機械研究部門は埼玉県さいたま市にあり、農業機械開発のハードウエアそのものを開発する研究拠点である。昭和37年に農業機械研究所として大宮に設立し、以来、農業機械研究の先頭にあり続けてきた。近年は知能化農機の開発や国際標準化の推進、小型電動ロボットによる無人化農業の実現、AIと人の融合による農作業安全システムの構築、またクラスター事業として生産現場の課題解決に向けて地域のメンバーと一緒に取り組んでいる。成果として、昨年度は黒星病発生低減に貢献するりんごの落葉収集機などを発表している。
 4月、新所長に就任した天羽弘一氏を訪ね、今後の農業機械開発について聞いた。
 ――昨年、農林水産 省が〝みど りの食料シ ステム戦
 略〟を打ち 出しました が、今後の 機械開発は どうなりますか。
「みどりの食料システム戦略では有機栽培面積を2050年までに100万haにするという大きな目標を掲げている。我々はみどり戦略への対応として、条間だけでなく、株間も機械除草ができる田植機を開発している。田植機がターンしても、ズレがおきないようにGNSS等で位置補正しながら正方形の格子状に田植えができる田植機だ。これにより水稲の除草剤を減らし、有機栽培に貢献する」。
 ――温室効果ガスに ついて。
「小型の電動ロボットで、耕うんなどの大きなエネルギーが必要なものではなく、運搬など軽作業なものから電動化していく。また、電動化で課題となるバッテリーは、他産業と共通利用できるバッテリーも検討している。理想としては、農村地域に豊富にある再生可能エネルギーを使っていくことが望ましい姿だと思う。ソーラーシェアリングと連動していくことも必要だ」。
 ――カーボンニュー トラルへの対応。
「収穫した米を乾燥させる乾燥調製施設は灯油を多く使用するが、もみ殻を燃焼させて発生した熱を利用することでカーボンニュートラルに貢献できる。現在耐久性試験を実施し、実用化を図っている。もみ殻はライスセンターやカントリーエレベーターで排出されるため、運搬などの手間もない。以前はもみ殻を燃焼させた時に発がん性物質が発生することなど課題となっていたが、バーナーの検討により解決されている。重油や灯油を使う施設園芸分野でも、乾燥調製施設の近くであれば利用できる」。
 ――農作業安全につ いて。
「安全性検査の受検率向上に向け、令和7年度より安全性検査制度を大幅に改編する予定だ。また、ロボット化が進んでいるが、じゃがいも収穫など機械と人が一緒にいる場面は必ずある。例えば収穫中の作業機の上で選別する作業では、安全のために全てをカバーで覆うことは原理的に難しい。そうした場合でもハイテク技術を導入して作業者の安全性を確保したい」。
 ――最後にメッセー ジを。
「社会情勢も不安定化し、気象も不安定となる中、農業・食料生産の安定化に貢献できるよう我々は機械研究に取り組んでいく」。
   ◇
 天羽弘一(あまはこういち)所長は、主に畜産と水田輪作の分野で、各種作業の省力化、高精度化、自動化などを目的として、作業体系の構築や機械施設の改良などに携わってきた。牧草や飼料用トウモロコシなどの餌を貯蔵して与える作業技術や、東北地方の水田輪作のうち畑作期間における麦・大豆・ソバ・ナタネ等の栽培作業技術等を研究。
 平成29年に農研機構農業技術革新工学センター総合機械化研究領域長に就任。次世代コア技術研究領域長、昨年無人化農作業研究領域長、令和4年4月農業機械研究部門所長、現在に至る。

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