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植物防疫法一部改正案 閣議決定し国会で審議へ

政府は22日、植物防疫法の一部を改正する法律案を閣議決定し、国会に提出。これを受け植物防疫課の望月課長が記者向けに説明した。近年は温暖化等の気候変動、人やモノの移動で害虫等の侵入リスクが高まっている。更に化学農薬の使用に伴う環境負荷や薬剤耐性等に対応していくため、発生予防も含めた農薬だけに頼らない総合的な防除への移行・普及が急務。また農林水産物・食品輸出の促進に伴い輸出検査ニーズも増大しており、的確に対応していく必要があるとした。

 改正案では、国内への侵入状況を調査する侵入調査事業を法的に位置づけ、迅速に緊急防除が行えるように事前周知期間を短縮。また、植物防疫官による検査対象に土などの付着リスクが高い中古農機等を含む物品を拡充。さらに有害植物の定義を見直して、雑草を追加し、検疫や防除の対象とできるようにした。そしてみどりの食料システム戦略の目標に向けて総合的な防除の仕組みを構築するため、農林水産大臣が基本指針、都道府県知事が地域の実情に応じた総合的な防除の実施に関する計画を定めるとした。
【輸入検疫の対象・権限を強化】植物防疫官の検査権限を強化し、必要に応じて質問や携帯品の検査を行えるようにする。また土などの付着リスクが高い中古農機等の物品について国際基準を踏まえ輸入検疫の対象とできるようにする。
【病害虫が侵入した際の早期発見の調査・迅速な防除の実施】植物防疫法に侵入調査事業を位置づけ、国の制度設計の下、全国一斉調査ができるようにする。また、侵入調査事業を補完するため、農業者等が調査対象の病害虫の国内への侵入等のおそれを認めた場合の通報義務を規定する。緊急防除の迅速化では、農林水産大臣が緊急防除の対象となる病害虫について防除内容等に係る基準をあらかじめ作成した場合は、緊急防除を行う際の事前周知期間を短縮する(30日間→10日間)。緊急措置命令の内容に、栽培規制、移動規制及び物品、倉庫などの消毒などの措置を追加する。
【総合的な防除の仕組みを構築】化学農薬のみに依存しない、発生予防を中心とした総合的な防除の仕組みを構築する。従来のような発生後の防除のみならず、病害虫の性質に応じた予防策を平時から導入し、発生しにくい生産条件を整備する。また農林水産大臣は、この考え方を踏まえた基本指針を定め、都道府県知事は地域の実情に応じた総合的な防除の実施に関する計画を定めることとする。また都道府県知事は計画において農業者が遵守すべき事項を定めることができることとする。そして農業者に対し、この遵守事項に即した必要な助言や指導を行うとともに遵守事項に即した防除が行われず、農作物に重大な損害を与えるおそれのある場合には必要に応じて農業者に対し、勧告や命令を行うことができることとする。
【的確な輸出検疫体制を整備】輸入国が輸出国の植物検疫証明を必要としている植物等の輸出に当たり、農林水産大臣の登録を受けた者(第3者機関)が植物防疫官に代わり輸出検査の一部を実施することができる。
 同課は昨年6月に「植物防疫の在り方検討会」を開催し、中間とりまとめを作成。今回はそれを具体化するもの。

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