農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

受付時間 平日9:30~17:00

TEL 03-3831-5281

毎週 月曜日発行
 >  > 【特別寄稿】農業機械革新の歴史を語る -17-(最終回) =農研機構革新工学センターシニアコーディネータ 鷹尾宏之進=

【特別寄稿】農業機械革新の歴史を語る -17-(最終回) =農研機構革新工学センターシニアコーディネータ 鷹尾宏之進=

【特別寄稿】農業機械革新の歴史を語る -17-(最終回) =農研機構革新工学センターシニアコーディネータ 鷹尾宏之進=
 農業を営む上で欠かすことのできない農業機械。時代ごとに現れる様々な課題を解決し、農家の「頼れるパートナー」としてわが国農業の効率化・農産物の高品質化に貢献してきた。そこで、農業機械の開発・改良を進めてきた農研機構革新工学研究センターの鷹尾宏之進シニアコーディネータにその歴史を解説頂く。本紙では回を分けこれを紹介する。
====================================================================


検査が発展支える 農業機械化行政の歴史


 前回紹介した関東東山農業試験場農機具部における1950(昭和25)年から1962(昭和37)年迄の研究概要について「農事試験場研究史」(昭和56年)により紹介する。第一研究室では世界的な規模の人工圃場とその関連試験装置を試作し、各種土壌条件下での精密な試験が可能になり、第二研究室では振動式心土破砕機の開発に成功するも、農業機械化行政の要として始まった農機具依頼検査制度(国営検査)に対し、行政部局からの強い要請により検査方法の策定及び検査実施に全面的に協力し、多くの時間と労力を割いたと記されている。第三研究室では刈取機の完成と機械化一貫体系完結のため小型コンバインの研究を始め、第四研究室では人工乾燥など思いもよらなかった時代に天候に左右されない常温通風乾燥法を確立し、第五研究室では根洗苗用や土付苗用の田植機の試作を重ねて土付苗用田植機にその方向性を見出した。第六(後の畑作機械化)研究室では各種農作業の労働強度をエネルギー代謝率から求め、機械化による労働軽減程度を明らかにし、第七(後の第六)研究室では動力噴霧機の改良開発を進めたこと等が示されている。
 明治以降の農機具行政については「―行政施策の展開に見る―農業機械化発展史」(平成6年)に詳述されているが、戦後の農業機械化の発展を支えたのは1949(昭和24)年に発足した農機具依頼検査制度で、検査は規程に準拠して行われた。昭和24年~28年の対象機種は犁、二段耕犁、動力耕耘機、カルチベータ、動力噴霧機、人力用テコ付噴霧機、動力脱穀機、もみすり機、米選機、精米機、精麦機、製粉機、なわない機、むしろ織機の14機種である。当時は専門の検査機関を持たず、関東東山農業試験場をはじめ、施設とスタッフの優れた都・県農業試験場等を借りて実施していたという。1953(昭和28)年8月に成立した農業機械化促進法の昭和37年4月改正を受けて、同年10月に農業機械の研究と検査鑑定を国に代わり実施する機関として特殊法人農業機械化研究所(略称農機研)が発足した。農機研は特殊法人改革を始め機構改革等々により生研機構、生研センター、さらには農研機構傘下となって革新工学センターと名称は変わるも我が国唯一の農業機械の研究と検査鑑定を行う機関として歴史を積み重ねてきた。また、1966(昭和41)年にはOECDトラクターテスト実施機関としても認定され、今日に至っている。農業機械化促進法は2018(平成30)年に廃止されたが、2017(平成29)年制定の農業競争力強化支援法下で業務を継承し、未来農業への新たな挑戦が始まっていることを記して本特集を終える。なお、革新工学センターは4月から農業機械研究部門に名称変更された。  (了)


====================================================================


【鷹尾宏之進(たかお・ひろのしん)】


 農学博士。1968年東京教育大学大学院農学研究科修士課程修了農業工学専攻。特殊法人農業機械化研究所入所、主任研究員、研究調整役、1995年農水省食品総合研究所食品工学部長、1997年生研機構基礎技術研究部長、2003年退職。2006年日本食品科学工学会専務理事、2018年農研機構農業技術革新工学研究センターシニアアドバイザーとして現在に至る。学会活動により農業機械学会功績賞、農業施設学会貢献賞を受賞、日本食品科学工学会終身会員。





関連記事

【特別寄稿】農業機械革新の歴史を語る -16- =農研機構革新工学センターシニアアドバイザー 鷹尾宏之進=

【特別寄稿】農業機械革新の歴史を語る -16- =農研機構革新工学センターシニアアドバイザー 鷹尾宏之進=

創意工夫に優れた果樹経営 省力化栽培体系 22回果樹技術・経営コン

創意工夫に優れた果樹経営 省力化栽培体系 22回果樹技術・経営コン

果樹農業の機械化急げ 果樹産出額8399億円 みかんは健闘、りんご苦戦

果樹農業の機械化急げ 果樹産出額8399億円 みかんは健闘、りんご苦戦

安全留意し効率的草刈り 作業前には点検を 刈払機安全使用のポイント

安全留意し効率的草刈り 作業前には点検を 刈払機安全使用のポイント