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農業の転換点へ 遠隔監視で無人運転  圃場から人を解放 クボタが次世代アグリロボ

農業の転換点へ 遠隔監視で無人運転  圃場から人を解放 クボタが次世代アグリロボ

クボタ=花田晋吾社長、大阪市北区大深町5―54=は8月6日、同社グローバル技術研究所において、遠隔監視による無人自動運転を実現した「新型アグリロボトラクタMRシリーズ」の発表と実演を行った。来年の4月から発売。同社はこれまで目視監視下での自動運転農機を展開してきたが、さらに進化し、オペレーターを圃場から解放することが可能となった。車両側で安全を確保する機能が高まり常時監視の必要もない。また自動化率が100パーセントに向上。農業が大きな転換点を迎える。
 


新商品発表会には、鶴田慎哉農機国内本部長、西啓四郎トラクタユニット長らが出席。冒頭、挨拶に立った西ユニット長が、「遠隔監視によりオペレータを圃場から解放し、生み出された時間を他の作業や経営判断など、より付加価値の高い業務に充てることができる」と述べ、発表の新型を人手不足や高齢化へのさらなる対応と位置づけた。
 同シリーズは、農林水産省がまとめた「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」の「遠隔監視による自動走行(無人自動運転)」の要件に準拠したもので、農作業に加え、人・障害物等の危険の判断および回避のための緊急停止をトラクタが自動で行う。使用者は、タブレット端末を使用し遠隔監視を行うことで、異常発生時も現場に戻ることなくトラクタの周囲の状況の確認や、再始動等の指示を行うといった運用が可能となっている。常時監視する必要もない。遠隔監視による無人自動運転に対応した国産トラクタの製品化は同製品が初(同社調べ)となる。
 無人仕様の他、有人仕様もラインナップ。コンセプトは「遠隔監視と進化した自動運転技術により、農業の働き方を変える」。そのために4つの大きな進化を実現した。
 1つ目は「遠隔監視機能の搭載」。トラクタにLTE(携帯電話回線)通信ユニットを備え、遠隔監視用タブレットによって、車両周囲360度の状況を映像でリアルタイムに見ることができ、車両状態や経路情報も確認可能。また自動運転の開始・停止、車両設定の変更もできる。通信異常が発生した場合は車両側が自動停止する。異常が発生するとタブレットにアラートが表示され、メールによる通知も可能。使用者はタブレットで周囲を確認し、危険でないと判断できれば、そのままタブレットから再始動を指示できる。人や障害物を検知した際には、映像を録画し、状況を確認することができる。VPNによる認証でセキュリティを確保。
 2つ目は「人・障害物センサーの性能向上」。新たに2種類のセンサーをそれぞれ5個搭載。AIカメラは人の特徴を学習した専用モデルで人を高精度に検知する。ミリ波レーダーは車両や金属製障害物を安定して検知。二番穂や砂塵の過検知を抑制する。また乾田、潅水圃場、作物のある畑地だけでなく、夜間や雨天時など幅広い状況に対応している。レンズの泥汚れなども検知する。
 3つ目の進化は「自動化率の向上」。初回使用時に最外周を運転してマップを作成すれば2回目以降はそれを基に自動運転が可能。自動化率は従来機91パーセントから100パーセント。耕うんや代かき作業なら、枕地を含む圃場全域の自動運転を実現する。スタートする位置は圃場の中であればどこでも設定することができ、トラクタの向きを調整する必要もない。GNSSとRTK方式の位置情報補正サービスを利用して高精度作業が可能。またRTK方式の位置情報サービスは同社が全都道府県でサービス提供する「K―RIS」も利用できる。
 4つ目は「対応作業の拡大」。稲作・畑作の主要な8種類(耕うん、代掻き、粗耕起、播種、施肥、中耕培土、心土破砕)の無人化作業に対応。それぞれに適した自動経路を作成する。また手動運転の走行軌跡を記録し、それを基に作業経路を生成し、旋回も含めて自動で作業する。中耕除草や防除(有人仕様)で活用できる。傾斜10度までの畑作作業にも対応する。電動パーキングで斜面での安全も確保。
 実演会では、MR1000A2Hが登場し、タブレット操作による無人運転を披露。自動運転の開始を指示すると、作業開始位置へ自動で移動し、その後耕うん作業を開始。旋回時も作業機を丁寧に上げ下げし、作業跡を残さない。また作業中、人に見立てた人形を検知すると、警告音の後、自動停止。録画された映像を確認し、問題がなくなれば、運転再開。一連の動作をタブレットから行い、遠隔監視でスムーズに作業を行った。
 販売目標は、無人仕様と有人仕様を合わせて初年度100台。将来的には圃場間の移動まで自動で行う技術への発展も見据え、段階的な高度化を進めたいとしている。
 鶴田本部長は「農業の転換点だと思っている。大型機械による効率作業から、時間や場所の制約を取り除き『人と時間』という経営リソースを創り出すことに貢献できるものとなる。農業経営者の方が本当に困っていることに応えていきたい」と意欲を述べた。
 《希望小売価格(無人仕様/有人仕様・税込)》▽MR800A2H(80PS)=型式無し/1608万2000円~1730万3000円▽MR1000A2H(100PS)=2186万8000円~2305万6000円/1694万円~1812万8000円▽MR1050A2H(105PS)=2202万9700円~2339万2600円/1710万1700円~1846万4600円。

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