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2026新春インタビュー「激動の時代の舵をどう取るか」  クボタ常務執行役員農業機械事業部長 鈴木聡司氏にきく

2026新春インタビュー「激動の時代の舵をどう取るか」    クボタ常務執行役員農業機械事業部長 鈴木聡司氏にきく

グローバルで伸ばす 農業機械事業部スタート

 ――2025年の概況。

「グローバルに見れば、政治・経済の不透明感が続く中での事業運営となった。北米市場は関税の影響や市場変動による減販があったが、関税交渉結果を踏まえた駆け込み需要を獲得したほか、畜産業の好調を背景に70〜160馬力帯トラクタの販売が伸長し、シェア拡大した。また、小売金融プログラムの見直しや運転資金管理の強化により収益性が改善した。欧州は市場の不確実性が依然として高く、市場の停滞が続いているが、年後半にかけて回復の兆しが見えつつある国も出てきた。トラクタについてはディーラー在庫の最適化に取り組んだ。アジアでは、地域・機種によって明暗が分かれた。インドは十分な降雨に恵まれ、好調に推移した。タイではコンバインが伸長したが、キャッサバ価格の下落等を背景にトラクタは苦戦した。また中国では、汎用コンバインの品質改善に取り組み、増販となったが、トラクタ・乗用田植機は苦戦した。全社的にはコスト管理や運転資金管理を徹底し、フリーキャッシュフローの改善を図っている」


 ――国内の状況。

「国内農機事業は、主食用米の価格高騰により農家の購買意欲が高まり、大幅な増販となった。特に担い手の投資が好調で、アグリロボシリーズやKSAS対応農機、ドローン等のスマート農機が大きく伸長した。また整備事業は、点検整備受注強化や機械稼働情報を活用した点検活動等により、特に担い手層からの受注が増え、前年から大きく伸長した。『スマート・グリーン・イノベーション』のスローガンの下で取り組んできた、スマート農業の提案、アフターマーケット事業の強化、デジタルを活用した情報発信等の取組が、市場の好調と相まって成果につながったものと考えている」
「2025年も、トラクタのGS仕様のモデルチェンジや、コンバインDRシリーズのGS仕様、田植機NWシリーズの5条GS仕様の発売など、ラインアップを拡充した結果、スマート農機比率は前年よりさらに伸長した。今後も様々な領域でのスマート農機の拡充、提案を進めていく。KSASも新機能を複数リリースし、サービスを拡充してきた。2025年は衛星リモートセンシング(お試し版)をスタートしたが、稲や麦の生育確認や、田植機・インプルメントによる可変施肥等に活用いただいており、全国各地での利用が進んだ。また、農産物の販売支援や農水省が推進する「みえるらべる」の取得機能もリリースするなど、KSASマーケットプレイスで様々な営農支援サービスを利用できるエコシステムが形成されつつあり、ユーザーから好評をいただいている。2026年は衛星リモートセンシングの本格版をスタートさせ、農業経営者の意思決定をサポートできるツールとして更なる進化を目指す」


 ――2026年の展望と目標。
「海外事業については、北米は農業収入の改善や畜産事業の高収益を背景に、緩やかな回復が期待されるが、需要増が継続するかは、注視が必要な状況。引き続き、収益性・資本効率のさらなる改善に取り組んでいく。欧州は社会情勢の不透明感は続くものの、経済は徐々に回復すると見込んでいる。製品ポートフォリオの見直しやインセンティブの抑制を通じた収益性の改善に注力する。アジアでは、ディーラーマネジメントシステムの運用改善で経営の効率化を図る」

 ――国内市場は。

「国内では、令和7年産の米の民間在庫が増加していることから、米価も春頃には下落し、農業機械市場も徐々に落ち着いていくと見ている。そのため、市場が好調な上半期での実績確保が年間計画達成の鍵となる。しっかりとスタートダッシュをはかっていきたい。一方、長期的に見れば、2025年の農林業センサス結果(概数値)からも見られるように、農業者の減少による構造変化は継続することは間違いない。食料安全保障の観点からも、大規模化に対応した機械や自動化技術、スマート農業ソリューションを通じて、限られた担い手が効率的かつ安定的に生産できる環境を整え、需要に応じた農業生産ができる体制を支えていくことが、我々の重要な役割だと考える。足元の需要にしっかりと応えつつ、こうした変化に対応したソリューションの強化、提案活動にも取り組んでいきたい。また、市場環境の変化に対応して、企業としては構造改革が求められる。整備事業の拡大、製品ラインアップの見直し、DX推進によるオペレーション改善等、体質強化を進めていく」


 ――中期経営計画について。

「本年は新中期計画の始動年となる。計画は今後発表予定だが、2025年までの中期計画で進めて来た、長期ビジョン「GMB2030」へ向けた基盤を活かし、さらなる成長と課題解決の両立を目指す。国内農機事業では、引き続きスマート農業、アフターマーケット事業の拡大、そして、変化する市場への対応がキーワードになる。一経営体あたりの耕作面積は年々拡大し、担い手の負担はますます大きくなっている中で、機械の大型化・高性能化は必然であり、自動化や省力化は業界全体の喫緊のテーマである。担い手の経営継続を下支えするべく、スマート農業ソリューションをさらに進化させ、提供していく。また、大規模農家にとって、機械の故障によるダウンタイムは大きなロスになる。ICTを活用したプロアクティブな整備、インフラの拡充と人材育成を通じて、顧客の機械の順調稼働を支えるとともに、アフターマーケット事業を拡大していく。顧客が変化する中で、価値の届け方も多様化していく。2025年までに取り組んできたデジタルマーケティングを進化させ、リアルとデジタルを融合した最適な顧客体験の創出にも取り組んでいく」


 ――2026年の意気込み。

「従来、トラクタ・作業機・インプルメント・関連商品は別々の事業部に分かれていたが、この度、農業機械事業部として新しいスタートを切ることになった。持続可能な地球と人の未来のために、食料分野での課題はまだまだ山積している。各製品のシナジーを生み出し、農業機械事業を今後もグローバルで伸ばしていけるように尽力したい」
「長く海外の事業に携わってきたが、私自身は、和歌山県出身で、ミカン畑に囲まれて育った。農業や菜園は、農村地域に住む人々にとっての活力になると信じている。優れた製品やサービスには、お客様の人生を変えることができる力がある。事業を通じて農村地域をもっと元気にしていけるような、そんな製品・サービスを届けていけるよう、飛躍の一年としたい」

 ※本インタビューは昨年12月に行ったものです。

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