「雪国直播サミット 2025」北海道札幌で開催 – 乾田直播技術の普及と生産者交流

2025年2月1日、北海道札幌市内のホテルポールスター札幌で、「雪国直播サミット」が開催された。本イベントは、北海道乾田直播技術向上委員会主催により、寒冷地での水稲乾田直播の普及と実践を目的としており、今回で15回目を迎える。道内外から約216名の乾田直播の実践者(通称「乾直人」)が集まり、技術的な知識の共有と交流の場が提供された。
乾田直播の普及と効率化に向けた最新情報提供
乾田直播は、種を直接播く栽培方法として注目されており、労力削減と機械の有効活用が可能なため、多くの農家から関心を集めている。今回のサミットには、北海道内だけでなく道外からの参加者も多数集まり、乾田直播技術に関する議論と実践報告が行われた。
午前中は、スガノ農機からの情報提供が行われ、齋藤哲也氏(千歳営業所所長)が基礎講座として、北海道における乾田直播の最新データと作業体系を解説。令和6年度の取り組み面積が4336haに達し、前年比で1164haの増加があったことが紹介された。また、作業体系の3本柱として、排水、耕起、均平の重要性が強調され、最適な農業機械の使用方法が説明された。
乾田直播のメリットと課題
実践報告では、北海道北斗市の冨樫孝氏が、乾田直播の取り組みを始めた経緯と成果を発表。冨樫氏は、泥の中に入りたくないという理由で乾田直播を採用し、農業機械の有効利用を進めた。また、乾田直播によって肥料費の抑制や家族労働で栽培面積の拡大が可能となったと語った一方、出芽までの不安定な期間や雑草の管理という課題にも言及した。
乾田直播の成長と未来
午後の開会式では、実行委員長の新田慎一郎氏が、米価高騰の影響で乾田直播への関心が高まっていると述べ、計画的な段取りや基本技術の励行を呼びかけた。スガノ農機の渡邊信夫社長も、乾田直播に対する需要の高まりを感じており、今後の技術革新と稲作の進化に期待を寄せた。
さらに、空知農業改良普及センターの図師拓也氏からは、岩見沢市での乾田直播の普及状況が説明され、稲WCS専用品種の育成や、包括的なサポート体制の強化が必要だとされた。
乾田直播の未来を担う「乾直人100人以上に聞きました」企画
今回の目玉企画「乾直人100人以上に聞きました」では、事前のアンケート結果を基にしたクイズが実施され、参加者の乾田直播に対する経験や技術の進化が共有された。「経験年数」に関する設問では、10年以上の経験者が6割以上を占め、乾田直播は新しい技術としてではなく、確立された方法として認識されていることが明らかになった。
乾田直播技術の向上と共有
「雪国直播サミット」では、乾田直播の技術向上を目指す農家やメーカーが集まり、情報を交換する貴重な機会が提供された。乾田直播技術の普及は、効率的な水稲栽培を実現し、労働力の削減やコスト削減に繋がる重要な取り組みとなっている。今後もこうした交流の場を通じて、より多くの農家が乾田直播の技術を習得し、実践していくことが期待されている。