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農林水産物・食品の輸出が12年連続で過去最高を更新|令和6年の輸出額が1.5兆円突破

 農林水産物・食品の輸出が12年連続で過去最高を更新したことがわかった。財務省の貿易統計をもとにした農水省の取りまとめによる。令和6年の農林水産物・食品の輸出額は合計で対前年比3・7%増の1兆5073億円ではじめて1・5兆円を超えた。依然として中国等による輸入規制など逆風はあったものの、米や緑茶など、農林産物が伸びをけん引し、増加傾向を維持した。ただ、政府では、2025年2兆円の目標を掲げているが、その達成は厳しい状況となっている。

  令和6年の農林水産物・食品の輸出実績年間計は、中国および香港向けが水産物の輸入規制の影響を受け、大きく減少したものの、中国および香港以外の国・地域向けが大きく増加、総額で1兆5073億円で対前年比3・7%の増加となった。
 

国・地域別の輸出動向|アメリカが20年ぶりに1位へ返り咲き

国・地域別では、令和5年1位だった中国が4位になった一方、アメリカが同17・8%増の2429億円となり、2004年以来20年振りに1位に返り咲いた。2位は前年に引き続き香港で同6・6%減の2210億円と減少したものの順位は維持した。3位は前年4位だった台湾で同11・2%増の1703億円。中国は前述の通り4位で同29・1%減の1681億円。5位は韓国で同19・8%増の911億円。上位5カ国・地域のうち中国・香港以外はいずれも2ケタ%と大きな伸びを示した。
 このほか、6位のベトナム(862億円)、7位のタイ(629億円)、8位のシンガポール(557億円)、9位のオーストラリア(328億円)の4カ国が過去最高だった。なお、中国についても前年より減少したものの過去4番目、香港も過去2番目と高い水準となっている。
 品目別では、緑茶、牛肉、米などが前年比2ケタ%の伸びを記録した一方、水産物の多くは中国・香港による輸入規制の影響で対前年比マイナスとなった。農水省によると増加要因は日本食レストランの増加、インバウンドによる日本食人気の高まりなどを背景とした好調な外食需要の他、事業者の販路拡大の取組等の進展が輸出増の主な要因だと分析している。
 詳細をみてみると、緑茶は同24・6%増の363億8000万円となった。健康志向や日本食への関心の高まりを背景に、欧米等でラテやスイーツ等の食品原料として、抹茶を含む粉末状茶を中心に需要が増加。欧州ではリーフ茶の輸出も増加している。
 米(援助米除く)は同27・8%増の120億2900万円。米国や香港等において、おにぎり屋や寿司店等の日本食レストランの増加など、外食向けを中心に需要が増加した。なお、数量としては、約4万5000tとなっている。また、パックご飯は、金額ベースで同44%増の14億30000万円、数量ベースで同48%増の2298tでアメリカ向けが特に増加している。
 青果物では、りんごが同20・5%増の201億3600万円、ぶどうが同14・7%増の59億3200万円、かんしょが同24・3%増の36億200万円など。林産物は丸太が同22・2%増の282億2700万円、木製家具が同10・9%増の81億4200万円など、多くの農林産物で大幅な伸びを示している。
 また、多くの品目で過去最高を記録しており、牛肉が同12・1%増の648億2800万円、鶏卵が同1・8%増の71億1300万円となったほか、米、りんご、ぶどう、かんしょ、ながいも、もも、かんきつ、緑茶なども過去最高だった。
 政府では、2025年に2兆円との目標を設定しているが、残りは1年。目標達成のためには、来年までに約5000億円とこれまでにない増加が必要となり非常に厳しい状況だ。一方で、品目別では、目標を達成しているものもある。具体的には鶏卵(目標額63億円)、りんご(同177億円)、かんしょ(同28億円)、緑茶(同312億円)など。米については、輸出拡大実行戦略において、コメ・パックご飯・米粉および米粉製品でまとめられ125億円との目標が設定されており、米(援助米除く)にパックご飯等を足し合わせると136億円となることから目標を達成している。農水省では目標達成に向け引き続き様々な政策努力を続けたい、としている。
 なお、12月単月でも同22・1%増の1543億4300万円となり、単月としても過去最高を記録した。

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