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新基本計画骨子案 生産安定技術普及等 みどりGX推進プラン策定へ

新基本計画骨子案 生産安定技術普及等 みどりGX推進プラン策定へ

 1月22日に開催された食料・農業・農村政策審議会企画部会の会合で新食料・農業・農村基本計画の骨子案が示された。骨子案では、基本法の理念実現に向けて①わが国の食料供給②輸出の促進(輸出拡大等による「海外からの稼ぐ力」の強化)③国民一人一人の食料安全保障・持続可能な食料システム④環境と調和のとれた食料システムの確立・多面的機能の発揮⑤農村の振興―の5つのテーマに分け整理。④では新たに「みどりGX推進プラン」(仮称)を策定、推進するなどとした。

  今回示された骨子案では、基本計画について、初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進めるため、計画期間を5年間と設定。基本理念に基づく5つのテーマに分けて方向性を整理した。
5つのテーマのうち、①のわが国の食料安全保障では、基本的な方針として、生産能力を確保するため、良好な営農条件を備えた農地及び農業用水の確保並びにスマート農業技術や多収品種等の先端技術の開発・普及等による土地生産性の向上(単位面積あたり生産量の増加)及び労働生産性の向上(単位労働時間当たり生産量の増加)を図るとともに、農産物の付加価値向上や輸出拡大を図るなどとしている。
 ④の環境と調和のとれた食料システムの確立・多面的機能の発揮では、新たに「みどりGX推進プラン」(仮称)が位置づけられた。同プランは、みどり戦略に基づき、食料・農林水産業の脱炭素化と地域経済の活性化を同時に実現するため、温室効果ガスの排出削減、吸収源の機能強化、資源・エネルギーの地域循環とあわせて、気候変動による被害を回避・軽減するための生産安定技術や高温耐性品種の開発・普及、関連産業の育成、それらへの投資促進などが含まれたもの。
 また、2027年度を目標に創設する新たな環境直接支払交付金については、現行の環境保全型農業直接支払交付金を見直し、みどりの食料システム法の事業計画認定農業者が先進的な環境負荷低減の取組を行う場合に、導入リスク等に応じた仕組みとすること、支援対象となる環境負荷低減の取組及び支援水準はその取組の普及状況や技術開発に応じて定期的に見直しを行うことを考慮しつつ検討する、などとした。
 また、今回の基本計画では、実効性を高めるため、食料安全保障の確保に関する目標や施策の有効性を占めるKPIを定めることとし、少なくとも年1回、その目標の達成状況を調査・公表、KPIの検証によりPDCAサイクルによる施策の見直しを行うこととしている。今回の骨子案では、前述の5つのテーマについて、それぞれ目標とKPIの例が示されている。
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 企画部会では、骨子案をもとに議論。委員からは「今回示されたKPIは施策に対する目標。目標には複数あるが、KPIではアウトプット、すなわち『何をやったか』しかはかれない。『なにを達成したか』、すなわちアウトカムが重要であり、それを設定する必要がある。また、今回は20年という長いスパンのうちの5年の目標であり、20年でなにを達成するのか、そこまでのタイムラインも必要だ」(赤松利恵委員)、「酒屋やせんべい屋が存続の危機。通年での原料確保ができていないとの声もある。これまで、米過剰への対策に向けた施策を展開してきた。しかし、ここに来て農業者数が減少局面となり、この5年、10年で生産量が足りなくなる可能性が高い。一方で育種は少なくとも10年はかかる。耐高温性、耐病性、多収を考えた育種についても盛り込んでほしい」(齋藤一志委員)などの意見があった。

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