第78回クボタ機械グループディーラーミーティング 2025クボタ新春のつどい
未来の食と農つくる 命支えるプラットフォーマー
特別優秀ディーラーで表彰された関東甲信クボタ、新潟クボタ、北陸近畿クボタ
クボタは1月15日、京都市左京区の国立京都国際会館で『2025クボタ新春のつどい/第78回クボタ機械グループディーラーミーティング』を開催。約1300名の現地参加者とオンライン参加者に事業協力への謝意を表すと共に、クボタの方針を発表。今回は全国から700名を超える拠点長を迎え農機国内事業にフォーカスした内容とした。クボタの使命を「命を支えるプラットフォーマーになる」と再確認し、One Kubota、One Teamで邁進することを誓いあった。 オープニングは、正面の巨大スクリーンに映し出された松本蟻ケ崎高校の高校生の会話。当り前の日常への感謝、農業やそれを支えるクボタへの想いを述べた後、書道パフォーマンス。スマート農業やKSASの考え方にもつながる〝智農革新〟の文字を力強く揮毫した。若者の想いのこもったその書は、終日、クボタディーラーミーティングを温かく見守った。
始めに北尾裕一社長が登壇。「日本農業を支え、未来を切り拓くのは、他でもない私たちクボタグループである、と強く想ってきたが、生徒たちの声を聞き、改めて身が引き締まる思いがした」と述べたあと、「昨年は複雑な事業環境の中、国内農機事業には業績を確保して頂いた。また『On Your Side』の精神でお客様と向き合い、グループ全体の事業を支えて頂いた。心より感謝申し上げる」と謝意を示した。また、クボタグループが果たす使命、役割、そして歩んでいくべき方向を、日本農業が抱える課題を踏まえながら力強いメッセージを届けた。その中で、クボタグループの使命が『命を支えるプラットフォーマー』であることを強調。一燈照隅、万燈照国、皆さんの力が拠点から日本農業を照らす光となりうる、難しいことではなくそれが命を支えるプラットフォーマーと示唆した(別掲)。
続いて花田晋吾副社長・機械事業本部長、鶴田慎哉エグゼクティブオフィサー・農機国内本部長から事業概況・方針が伝えられた。花田機械事業本部長は、事業環境は厳しさが続くとした上で、〝足元固め〟と〝持続的な成長に向けた取組み〟を事業運営方針として説明した(別掲)。
鶴田農機国内本部長は、〝日本農業を支える人を支え続ける〟ことを目指して3つのテーマを推進していると説明。One Kubotaでこれらの取組みを拡大していこうと呼びかけた(別掲)。
その後、『技術向上委員』、『2024年度新規認定マイスター』、戦略企画を担う『戦略企画チーム(担い手総合戦略、アフターマーケット戦略、マーケティング戦略、ヒューマンリソース戦略)』のメンバー氏名がモニター上で紹介された。
続いて、クボタ農機連合会の吉田至夫会長が、ディーラー代表の決意を表明。次なるステージへの〝脱皮〟を呼びかけ、会場の意気を高めた(別掲)。続いて感謝状の贈呈。北尾社長から昨年の事業を牽引した多大な功労に対し、熱い謝意が示され、力強い握手で激励した。
【特別優秀ディーラー】関東甲信クボタ、新潟クボタ、北陸近畿クボタ。【優秀ディーラー】北海道クボタ、南東北クボタ。【機種別優秀ディーラー】▽機種別特別=関東甲信クボタ▽トラクタ=東海近畿クボタ▽コンバイン=新潟クボタ▽田植機=北陸近畿クボタ▽ミディ・テーラー・耕うん機=中四国クボタ▽関連商品=南東北クボタ▽部品=北海道クボタ。
【占拠率優秀ディーラー】関東甲信クボタ、新潟クボタ、東海近畿クボタ、福岡九州クボタ、南九州沖縄クボタ。
【サービス優秀ディーラー】みちのくクボタ、関東甲信クボタ、北陸近畿クボタ、南九州沖縄クボタ。
【製品開発貢献ディーラー】北海道クボタ、東海近畿クボタ、南九州沖縄クボタ。
【最優秀販売店】▽ダイヤモンド部門=㈱石川商会▽プラチナ部門=三林農機▽ゴールド部門=(資)集栄社、㈲古賀鉄工システム。
【優秀販売店・優秀代弁人・代理店】▽ダイモンド部門=㈱小林農機、㈱スズキアムテック、㈲竹井農機商会、㈱ホソダ、㈱柿崎商店、㈱トミタモータース、㈱谷澤商会、文平産業㈱。
▽プラチナ部門=西尾農機㈲、㈲佐藤農機商会、高田酪農機㈱、㈱佐野農機、㈾三宮農機商会、㈱コーポレーション森、㈲小木曽農機、㈱ヤナギハラ、福田農機㈱、㈱アグリメンテナンス、㈱久保機械店。
▽ゴールド部門=㈱佐藤農機、㈱三輪農機、㈲佐藤農機商会、㈲菅原農機、鈴木農機店、㈱渡辺作意商店、㈱松﨑商会、㈲佐渡農機商会、㈲やしま商会、溝口農機㈱、㈲山田、㈲森下農機商会、㈲赤塚農機、㈱藤原農機店、大久保農機、久原農機センター、㈱ノーキセンターキョウエイ、西農機商会、福留農機。
▽東アジア優秀代弁人・代理店=國隆農機有限公司、瑞山/㈱ワールド農機械、海南/太陽営農組合法人、龜尾/㈱エールリム農機械。
その後、全国クボタ農機連合会表彰に移り、優秀セールス24名、優秀サービス24名、機種別優秀セールス40名、クボタライセンスでは新人王16名、ゴールデンクラブ会員11名が、吉田会長からその栄誉を称えられ、一人一人に感謝が伝えられた。
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クボタの新しい取り組みを紹介する展示も実施。ペーパレス化を進める『タブレット活用』や顧客データを一元管理する『担い手カルテ』、整備作業の効率化を進める『Tobii Glass』などの社内システムの他、3月から取り扱い機種が増える、簡単リース申し込みサービスの『RAKUtA』、生成AIを活用した『KSAS・AIチャット』(関連記事11面)が紹介された。また、屋外は凍り付くような冷たい空気の中だったが、本年のCESで、ベスト・オブ・イノベーションを受賞した全地形型プラットフォーム車両『KATR(キャトル)』の実演が行われ、水平を保つだけではない高度な走行技術が披露され、観客をうならせた。
プログラムの最後には特別講演を実施。講師は、元スターバックスコーヒージャパン代表取締役最高経営責任者の岩田松雄氏。テーマは「ミッションからリーダーの原点とは~」。
岩田氏は1982年日産自動車に入社しキャリアをスタート。UCLAに留学して経営理論を学んだ後、幾つかの会社で手腕を発揮し、2009年にはスターバックスコーヒージャパンのCEOとなった。同所で、「100年後も輝くブランド」へ向け、安定成長へと方向を修正。ANAとの提携、新商品VIA(スティックコーヒー)の発売、店舗内Wi―Fi化、価格改定の実行などの改革を次々に実行し、業績を向上させた。日本には数少ない〝専門経営者〟として確固たる実績があり、その言葉は変化に立ち向かっていく参加者に大きな示唆を与えた。
北尾社長 明確なビジョン持ち 拠点から日本農業照らす
昨年、ご自身の「想い」を持ち帰り、仲間ともぶつけあってみてください、とお伝えをしました。実践いただいたでしょうか?
昨年、私は世界各地でグループ社員、お客様など様々な方々と想いをぶつけあいました。タンザニアを訪問した時に出会ったお客様で、トラクタを3年で1万時間、コンバインを2年で3000時間使われていて、エンジンが力強く製品の耐久性があり、まだまだ使えると言ってくださいました。世界中のお客様やディーラーの皆さん、一人ひとりが何を想い、考えてくれているのかがよく分かりました。これがクボタのパーパス、存在意義につながっているものだと再認識し、これからのイノベーション、「智農革新」への期待を感じた1年でもありました。 そしてこの1月、クボタは組織、体制変更の第一歩を踏み出しました。今後も社会課題を解決し続ける存在であるためには機械事業・水環境事業それぞれの特性を生かした体制が必要です。両事業への権限移譲をさらに進めることでスピーディーな意思決定が可能な体制を実現し、成長とイノベーションを加速させてまいります。
刻々と変化するであろう環境にあっても変わらぬ大切なことは、我たちクボタグループの「使命」です。私たちの使命は、「命を使って成し遂げること」です。命とは人間が持っている時間のことです。そして、2030年に「命を支えるプラットフォーマー」となることを皆さんと実現することです。
創業者である久保田権四郎翁が、まさに命を使って生み出した国産初の鋳鉄管。そこから100年以上にわたり世界を支えるクボタの水道・鉄管システムは、人々が当たり前のように安心・安全な水にアクセスできる命を支えるプラットフォームになっています。私自身もクボタ入社後に北海道の酪農家に住み込みで働く経験を通して農業機械が順調に動くことは当たり前である、ということを学びました。食料・水・環境の領域で、人々が生活するうえでの「当たり前」をつくる、何気なく使っていただける製品、サービスを提供し続けることが私たちの使命です。将来にわたってその使命を果たすには、日本、そして国内農機農機ディーラー、本日お集まりの販売店、拠点長の皆さんの役割、取り組みがとても大切です。かつて600万人いた農家さんは今や100万人を割り、2040年には30万人になるともいわれています。その多くが組織化、法人化されていくでしょう。市場、課題、顧客ニーズが変わっていく中、私たちはそれに先んじて変わっていく必要があります。
なぜ、販売店や拠点長の皆さんの役割、取り組みがとても大切なのか、私から2つお話します。
1つ目は、各地域の農業を最前線で支える役割が、拠点の経営・運営にあるということです。どんなにデジタルが発達しても、顧客の変化、真の顧客の声、課題を把握する最初の部分、ファースト・ワンマイルを担うのは拠点の皆さんです。どんなに優れたテクノロジーが存在しても、それをお客様の成功へとつなげる最後の部分、ラスト・ワンマイルを担うのは拠点の皆さんです。拠点は今のクボタブランドを創り、育ててきた、これからもそうあり続ける顧客価値提供を担う最前線基地なのです。農業機械の販売・サービスだけでは、私たちの使命は果たせなくなりつつあります。拠点の全勢力をかけて対応していく必要があります。農業機械だけでなく農業全体を見てそれをOne Kubotaで、農家さんやメーカー、サプライヤー、業界関係の皆さんとOne Teamで、これからも日本農業を支えていきましょう。
2つ目は、拠点経営という点で皆さんも私と同じ経営を担うひとりであるということです。その経営の土台となるのが、安全・コンプライアンス・品質です。売上を追いすぎるが余り、安全・コンプライアンス・品質で問題がおきるのは本末転倒であり、経営、事業を行ううえで最も大切なお客様の、社会の「信頼」を失うことになります。On Your Sideの精神で、お客様のためになる、社会のためになる、正しいことを続けていれば結果はついてきます。多忙な現場を守ることも経営を担うものの使命です。お互いに常に意識し実践し続けられるよう、改めてここで決意し、取り組んで参りましょう。
クボタは、「智農革新」、KSASをプラットフォームとしたスマート農業を核に、農業領域だけでなく、「つくるからたべるまで」、フードバリューチェーン全体にテクノロジー、ソリューションを開発、提供していきます。今年開催される大阪・関西万博で、 クボタは未来の都市パビリオンに「食と農業の研究所」として出展、クボタの考える食と農業の未来像を体感することができます。「地球と人にやさしい、未来の〝食と農業〟をつくる」メンバーの一人として、私たちが今、何ができるかをともに考え、取り組んで参りましょう。
最後に私の好きな言葉を紹介します。一燈照隅万燈照国。最初は一隅を照らすような一つの小さな灯火でもその灯火が十、百、万となれば国中をも明るく照らすことになる、という意味です。日本農業の課題は地域農業の課題の集合体です。皆さんの取り組み、課題解決の一つひとつがそのまま日本農業の課題解決に直結します。まず自分がいる場所、地域農業を明るく照らせる存在であり続けましょう。販売店、拠点長はじめ経営を担う皆さんへのお願いです。人が最も大きな力を発揮するのは明確なビジョンと役割、それにもとづいて一人ひとりが考え、実行できる、「個」を活かす土壌をつくるエンパワーメントがある時です。メンバー一人ひとりの声にぜひ耳を傾けてください。メンバーの自己成長と、拠点・会社のベクトルがあえば、働きがいや生きがいも大きなものになります。そのための対話文化を皆さんがつくってくだされば、一燈照隅万燈照国。きっと灯火はあなたの拠点に、地域に広がり、そして必ず、日本の農業を照らす光になります。
食料・水・環境の領域で人々が生活するうえでの「当たり前」をつくる。その使命をもって、2025年も共に取り組んで参りましょう。
花田副社長機械事業本部長 子孫、未来のため 農業を支える人を支える
本年1月より機械事業本部長の職を務めさせて頂くことになりました。前任の渡邉氏は、グローバル化、イノベーション、企業文化改革とチャレンジングな推進、基盤づくりをされてきました。また、それを支えて頂きました全ての機械グループディーラー、お取引先の皆様に改めて厚く御礼申し上げます。
今年は、その基盤をベースに大きな機構改革に着手し、更に踏み込んだことに取組みながら成長を加速させていきます。更なる一体化運営を進めるべく、皆様とのコミュニケーションを強化していきたいと考えます。
2024年ですが、機械部門の業績につきましては、売価アップや円安効果による増益要因があるものの、結果として減益となる見込です。
一方で、昨年は中長期的な成長を見据えたテーマを掲げ、活動を推進してまいりました。国内におきましては、7月の価格改定以降、下半期は米価アップ等の追い風による製品拡販や整備事業の着実な伸長により、売上計画を超過達成いただきました。皆様には改めて御礼を申し上げます。
2025年は、世界的なインフレや利上げ、コストアップ等により需要は後退局面に入っています。また、各地での紛争や各国の経済政策の変更等、様々なリスクを懸念する必要がございます。そのため、今期の事業環境は今まで以上に厳しくなることが予想されます。このような中、「足元固め=短期対策」と「持続的な成長に向けた取組み」の2つを事業運営方針に定めます。
まずは、「足元固め=短期対策」です。「短期的な収益力の向上」に最優先に取組んでいきます。機械事業本部としては、北米やタイ等の潜在的な需要が見込まれる地域での更なる需要の取り込みとそれへの生産対応等に取組んでまいります。国内におきましては、アフターマーケット事業の収益向上やDXを導入した新しい営業スタイルによる生産性向上等に積極的に取組んでください。
次に、「持続的な成長に向けた取組み」について3つの取組をお伝えします。1つ目は、「事業運営体制への変革」です。機械事業をより挑戦的に、更に成長させるための変革を目指すものであるということをご理解いただきたいと思います。2つ目は、「経営体質の強化」です。先程申し上げました短期的な足元固めも必要ですが、中長期的には更に経営資源の効率的な活用が必要になります。3つ目は、「成長ドライバー事業の加速化」です。いずれもグローバルな視点で事業の拡大、潜在需要の掘り起こしに取組んでいきます。特に国内におきましては、製造・販売・アフターサービスをメーカーからグループ販売会社で一貫して行える強みがあります。その強みを活かしてアフターマーケット事業の更なる拡大を図りたいと考えます。
以上が2025年の運営方針になります。ここからは国内農機事業に対する「私の思い」をお伝えします。
国内農機事業は我々のマザー事業です。これ無くしては今のグローバルな事業展開が可能とはなりませんでした。一方で、農業情勢を見ますと、基幹的農業従事者数は2000年以降半減していますが、今後20年間で現在の約4分の1まで減少することが見込まれています。従来の生産方式では農業の持続的な発展や食料の安定供給を確保できない可能性があります。
このような状況の中、今までの意識と行動を変えなければ国内事業を継続させることは困難になっていると感じております。本日ご参加頂いているクボタ並びに国内農機グループの皆様が、変化を恐れず率先して進化していく必要があります。
先程、農業従事者の減少に触れましたが、逆を言えば、担い手への農地集積・規模拡大の加速化が見込まれます。それに伴い担い手は、機械の大型化やスマート農業の導入を図る必要があります。この市場構造の変化は、好機であると考えます。また、クボタは、「農業を支える人を支え続ける」の使命の下、スマート農業の促進で日本農業を支え続けます。そのためにもソフト/ハードの両面に投資していきます。ソフト面におきましては、クボタスマートアグリシステム・KSASです。
KSASは、データに基づいた営農の実践、蓄積したデータを活用した農業機械との連携を通じて、農作業の「省力」「高精度化」に貢献してきました。本年度も様々なサービスを提供して参りますが、特に生成AIを活用したサービスを展開し、新たな付加価値をお客様に提供したいと思います。
ハード面におきましては、スマート農機を新商品として投入致します。スマート農業の入門機として位置付けているGSシリーズですが、GSトラクタは累計販売台数5000台、GS田植機は1万5000台を突破しました。このようにグループ一丸となって、クボタスマート農業を浸透させることができるのも国内農機グループの強みと考えます。
さらに農業機械で生産性向上をサポートするだけでなく、農村をどう維持するかのバリューチェーンにも積極的に関わり、地域の維持、活性化に繋がることを自治体とも連携して取組んでいく必要があると考えます。グループの総合力で日本農業を守り、日本農業を支える人を守るという気概を持って、未来のためにも事業を続けていかなければなりません。
自分達のためではなく、「私たちの子孫、未来のことを思ってやる」。これこそが、国内農機事業に対する「私の思い」です。
本年は「巳年」です。「巳(み)」には「再生と変革」の意味があり、脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルともされています。2025年、蛇のように再生や変革を繰り返しながら、未来に向け発展していく年にしましょう。
鶴田農機国内本部長 3つの重点テーマ One Kubotaで推進
本年は中期経営計画の最終年度でもありますが、長期ビジョンGMB2030実現に向かう新中期計画の準備フェーズと位置付け、事業運営を進めます。日本農業を支える人を支え続けることを目指して、3つのテーマを推進しています。
1つめは、スマート農業のさらなる普及促進です。通信環境、製品ラインアップ、KSASを整え、だれでもスマート農機が利用できることを目指します。スマート農機事業量は年々拡大、農機本機売上の60%以上を占めるに至り、スマート農機の販売が当たり前と言える状況に近づいています。スマート農機の高精度な作業に欠かせない通信環境については、RTK基準局をクボタグループで設置する計画が、順調に進んでいます。自治体の設置分等を含めますと、主要な商圏の90%をカバーするに至りました。今後も増設して、だれでも、どこでも使える環境を整えていきます。
スマート農機製品については、直進アシスト、自動運転、無人運転のトラクタ・コンバイン・田植機の拡充はもちろん、ドローンのラインアップ、また、後付けの自動操舵システムの低価格モデル発売により、 今年はスマート農機のすそ野が一気に広がると確信しています。そして、スマート農業を支えるプラットフォームKSASの進化です。会員数は3万人を超え、KSAS対象機7万台が稼働し、登録された圃場毎に日々、蓄積される作業履歴、栽培履歴は農業経営の改善に導く貴重なデータとなっていきます。
2つめは、アフターマーケット事業の土台作りです。サービスセンター、メンテ付リース、KSASを整え、いつでも機械が順調稼働することを目指します。アフターマーケット事業は年々拡大し、この5年で100億増加しています。サービスセンターの拡充については 今後、高性能機械の需要予測に基づき、各販売会社と連携して戦略的な設置を進めていきます。
今後の新設拠点は、広域をカバーしながら必要に応じて販売店・JA・関連メーカーの皆さんも、サポートできるものにしていきます。また、整備だけでなく、スマート農業の普及促進等、地域の未来農業をサポートする、スマートバリュー発信基地としていきます。メンテナンス付き残価設定リースについては、トラクタ・コンバイン・田植機で採用し、年々伸びています。毎年の点検整備をあらかじめセットした、これからの販売スタイルとして拡大を目指して行きます。KSAS機械サポートは、サービスシステムをリニューアルし、遠隔診断と自動診断機能を活用した遠隔サポートやAIによる故障予知を活用した最適な点検整備提案を進めていきます。
3つめは、顧客提供価値の最大化の取り組みです。J―クレジット、米輸出事業、「RAKUtA(ラクタ)」等を通じて、従来の農機販売に留まらない、クボタならではの、いろんな価値提供を創造していきます。J―クレジット制度の中で「水稲の中干し期間の延長」のプロジェクトオーナーとなり、生産者の認証手続きを支援、創出したJ―クレジットはクボタが全量買取る仕組みです。昨年は約600件の登録を頂き、最大1万5000ha、2億円相当の規模に相当します。今年は買取額を大幅にアップし、申請もKSASで完結できる様になり拡大を目指しています。
日本産米の輸出もクボタならではの提供価値のひとつです。輸出量は年々増え、昨年も過去最高となりました。推定値ですが日本米輸出の20%以上を占め、 国内シェアNo.1のポジションとなっています。香港、シンガポールに続き、ハワイに新会社を設立し、生産者にとっての多様な販路の提供と、日本産米の需要創出を図ります。
新たな販売推進スタイルを目指した「RAKUtA(ラクタ)」をスタートさせました。今年は、大幅に対象機種を拡大し、クボタならではの提供価値として進めて行きます。
One Kubota、One Teamで、これらの取り組みを拡大させましょう。
本日は、全国のクボタ販売会社の700以上の営業拠点、サービス拠点から、拠点長にご参加いただいております。全国のそれぞれの拠点メンバーと共に、One Kubotaとなって進めていきましょう。技術向上委員、マイスター、4つの戦略部会に参画頂く皆さん、開発、サービス、販売、HR、それぞれの領域をOne Kubotaとなって進めていきましょう。また、関連メーカーくるみ会60社の皆様にもご参加頂いております。くるみの様に固い結束のもと、様々な領域で皆様とワンチームとなってビジネスモデルを共に創って参りましょう。
私たちをとりまく市場環境、事業構造が転換期を迎えている今、将来を見据えて、 国内農機事業のビジネスモデルの変革を進める時が来ていると考えています。ビジネスモデルとはお客様の困りごとを把握して、必要なもの、課題を解決すること、を提供すること。その提供価値に対して、満足を得られた時、その関係が継続・循環していく。このサイクルがビジネスモデルと考えます。今後、顧客層が変化し、顧客の困りごとが、より高度化・多様化・専門化していく中、必要なもの、課題解決策を提供し続けるために、農機の販売・サービスに加えて、ソリューション提供や新たな価値提供が不可欠です。そして、より高い満足をお客様から得て、好循環を継続するために短期的な満足度だけでなく、長期的な満足度・信頼・愛着を高めていく必要があります。それらを示す指標であり、お客様の将来的な行動に大きな影響を及ぼす「顧客推奨度」を向上していく仕組みを整えていきたいと思います。
2025年も共に取り組んで参りましょう。
吉田会長の決意表明 農業を次のステージへ
本年は60年に一度回ってくる乙巳(きのとみ)の年に当たります。蛇は、古くから知恵、再生、豊穣のシンボルとされてきました。 未来の豊穣のために再生する。再生をより良い変化とするために知恵をまとい、クボタグループが進めているスマート農業は、より良い変化を生む知恵となります。そして、その核、プラットフォーマーとなるのがKSASであります。
人生はある意味浪花節、 営業は勘と度胸。こうやって私たちは最強の営業軍団を作り上げてまいりました。しかし、脱皮できないヘビは死ぬ。「Change or Die」であります。KSASという知恵をまとい、 農業を次なるステージへと脱皮させる。我々の手で日本の国土、農地をKSASで繋ぐクボタスマート農業を広めていこうではありませんか。
拠点長の皆さん、 グループをリードするのは自分たちだという気概、 誇りを持って拠点のメンバーを正しく導き、支えてください。エリア長、ブロック長、部門長の皆さん、 強い現場を支える縁の下の力持ちとして今後も期待しております。経営幹部の皆様、生き生きとした現場を作るのは我々の役目です。この決意を持ち帰り、実践、展開していきましょう。販売店、パートナーの皆さん、同志として共に歩み、 共に成長していきましょう。
クボタ農機連合会は1957年からの歴史がありましたが、この度解散することになり、連合会会長としてお話しする最後の場となったわけでございます。これまでの温かいご指導、ご支援に熱く御礼申し上げて、私からの決意表明とさせていただきます。