クボタ 花田代取副社長機械事業本部長に聞く「改革を進め、成長を加速 子孫が希望持てる社会への核となる」
1月1日付でクボタの機械事業本部長に花田晋吾氏が就任した。昨年まで取締役専務執行役員を務め、本年から代表取締役副社長の重責を担う。イノベーションセンター所長も兼務する。同社ではスピーディーな意志決定と自立運営を可能にする組織体制を目指して機構改革を実施しており権限委譲をさらに進め、成長を加速する。国内外とも大きな変革の時にあり、農業の持続、食の安定確保に期待される企業の役割は大きい。どこに向かって進んでいくのか、その取り組みを聞いた。
――機械事業本部長就任の抱負について。
「前任の渡邉はチャレンジングな姿勢で、非常に意欲的に様々なことを進めてきた。例えばグローバル化の推進、イノベーションセンターの設立による新しい価値の創出、企業文化の改革など。その後任としてそれらを引き継ぎ、さらに発展させていく。1月1日付で機構改革が実施されたが、それで終わりではなく、これからもさらに踏み込んだ改革を行ない、機械事業本部の成長を加速させるため、様々な取り組みを推し進めていく。まずは機械事業本部にコーポレートスタッフ部門の生産技術・生産管理・調達・研究開発・ICTなどに関する組織・機能が移管された。コミュニケーションを活性化させ、事業運営の効率化と意思決定の迅速化を図り、自立運営できる組織体制の実現に向け、チームで取り組んでいく」
――入社当時について。
「私は神奈川県の真鶴町出身。伊豆半島の西の付け根にあり、三方を海に囲まれた漁港のある町。そこから東北大学の法学部に進み、在学中に中国へ留学した。その頃のアジアはこれから経済発展に向かっていく時代で、あまり注目されていなかったが、様々な可能性があると感じ、これらの国々の農業の近代化に関わり、経済発展に貢献できる活動がしたいと思いクボタに入社した。最初はトラクタの海外部門に配属され、東南アジアを担当。機械化など、まだまだこれからの地域で、製品企画や販路開拓に携わった。当時の海外売上比率は14%。利益に貢献できず、様々な模索をしていた時代だった」
――日本農業について。
「農業経営体の急激な減少があり、その現実の中でしっかりと食料を生産していくことは非常に大切なことになる。どのように農業を成り立たせていくのか。機械化の目的が変化していく。また農村の維持や、地方の活性化のためにトータルソリューションの提案を進め、販路の拡大や施設園芸の展開、様々なサービスなどへの関わりを積極的に進めていきたい。足下も大切だが長期的な視点を持ち、子孫が希望の持てる社会をつくるために私たちが核になり、様々な所と協力しながら取り組んでいきたい」
――関西万博と本社移転について。
「関西万博では、未来社会ショーケース事業『フューチャーライフ万博・未来の都市』にプラチナパートナーとして協賛する。そこで〝食と農〟のテーマを担い、クボタのテクノロジーや未来の農業や食について発信する。〝食と農〟について考えて頂く場になればと思っている。また2026年5月に本社を大阪駅北西部のうめきた2期地区開発プロジェクト『グラングリーン大阪』に移転する。入社時から現在の場所に勤め、愛着はあるが、過去にとらわれず、新しいことに取組むことは、良いことだと思う。楽しみにしているし、前を向いて進んでいきたい」。