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井関農機、新商品発表会を開催:成長戦略と「大型・先端・環境・畑作」分野のソリューションを発表

井関農機、新商品発表会を開催:成長戦略と「大型・先端・環境・畑作」分野のソリューションを発表

新商品発表会には、冨安司郎代取社長、小田切元同専務執行役員プロジェクトZリーダー、深見雅之取締役常務執行役員、神野修一同同財務IT企画担当、谷一哉同同海外営業本部長、渡部勉執行役員開発製造本部長、石本徳秋同営業本部長施設事業担当、木全良彰理事海外営業総括部長、勝野志郎執行役員、鈴木良典顧問、綿谷弘勝顧問の計11名の役員が出席した。



 冒頭、冨安社長が挨拶に立ち、井関農機の成長戦略と今回の発表会の趣旨を説明した。
【冨安社長挨拶・井関農機の成長戦略】私たちは長期ビジョンとして「食と農と大地」のソリューションカンパニーを掲げている。夢ある農業と美しい景観を支え、持続可能な「食と農と大地」の未来を創造していくことが井関グループ最大の使命と考えている。この長期ビジョンに向け、昨年11月に設置した「プロジェクトZ」が中核となり聖域なき事業構造改革を推し進め、来年迎える100周年の次の100年に向けた成長戦略を構築するための取組みを推進している。海外は北米・欧州・アジアの3極で事業拡大を図り、2030年に売上高を2023年の約1.5倍の800億円まで拡大。中心となるのは、進出から50年以上の歴史がある欧州市場だ。主に電動など環境適合のしかもノンアグリ商品を核に欧州事業の収益性向上と事業拡大を加速させる。国内は、市場拡大する〝大型・先端・環境・畑作〟の分野に注力。販売戦略の〝ヒト〟、商品戦略の〝モノ〟、先端・環境に関する〝ノウハウ〟、これら資本を組み合わせて、提供するソリューションの価値を最大化させていく。このうち〝ヒト〟については『大規模企画室』を設置。企業向けBtoBビジネスにも展開していく。〝モノ〟については、農業機械と作業機の連携を強化し、畑作作業機やトラクタ連動作業機を中心に大規模農家に価値ある商品を提供していく。2030年には収益性の高い大型農機の構成比率を50%以上とする計画だ。最後にノウハウを活用した先端・環境技術の普及促進については、ロボット農機とサービスの拡充で農業の自動化を加速させる。また強みである可変施肥、有機農業等環境負荷を低減する技術やノウハウを展開。農業の成長分野へ価値ある農業ソリューションを提供する。それにより環境を含む先端技術商品の売上高を年平均成長率7.9%(2020年~2030年)で拡大していく。
 今回の発表会のコンセプトは『持続可能な農業の実現に貢献する〝大型・先端・環境・畑作〟分野の農業ソリューション』。ポイントの1つ目は自動抑草ロボット「アイガモロボ」2の発売。アイガモロボは昨年からこれまでに500台を販売、非常に好評だ。2つ目は可変施肥商品のラインナップ。3つ目は先端分野「自動化」への取組みだ。有人・無人2台のトラクタの協調作業は本日ほ場で、SIPのほ場間移動の実証は動画で紹介する。
 その後、各担当者から成長戦略の取組み発表。
【国内の成長戦略「可変施肥」「自動化」・商品企画部の坂井義明氏】1つ目は可変施肥。井関農機は、これまでコスト削減や環境負荷低減に貢献するマップ連動型可変施肥対応の田植機の開発や製造、同トラクタ作業機の取り扱いを行ってきたが、このたび、栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」の地力マップとのデータ連携による可変施肥が行えるNTT e―Drone Technology社製のドローンの取扱いを開始する(別掲)。また、昨年発表したタイショー社製の高精度施肥機に加え、今回、新たにAG―PORTを用いた作業機連携によるマップ連動でササキコーポレーション社製ブロードキャスターやタカキタ社製ミックスソワーを新たに可変施肥に対応する商品ラインナップに新たに追加した。
 2つ目は自動化への取組み。今年6月に販売を開始した国内最大クラスの123馬力の有人監視型ロボットトラクタ「TJW1233」。2台協調作業を行うことが可能(今回、ほ場で実演)。また弊社は内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環として、中山間地域での圃場間移動技術の開発に取り組んでいる。GNSSが使用できないエリアでは、専用ポールを利用した自己位置認識システムを採用し、効率的かつ安全な移動を可能にした。また、ステレオカメラを活用し障害物を自動検知・回避する仕組みを導入している。
【アイガモロボ2・夢ある農業ソリューション推進部の藤井宏美氏】アイガモロボがフルモデルチェンジ。①雑草抑制機能の向上②ソーラーパネル搭載③自律航行。今回のモデルからAI技術を搭載し、圃場に投入後は自動で稼働を開始。ルート設定が不要であり、作業の手間を大幅に軽減する④軽量・コンパクト設計=重量は6㎏。持ち運びが容易になり、浅瀬でも走行可能な設計⑤低価格化=税込27万5000円。特別栽培農産物の生産者を含む幅広い層に利用を促進する。
 また、全国200カ所以上で圃場試験を実施し、その効果を確認した。このほか、ジャンボタニシの摂食抑制や、水田のメタンガス発生量低減効果も解明されている。
【2025年度上期の新商品の「大型・先端・環境・畑作分野」に対応する農業ソリューション・営業推進部の徳安氏】▽トラクタ「BFシリーズ」狭幅仕様=マルチうね立て作業や、さつまいものうね成形、つる切り作業に対応する。狭幅仕様。うねをまたぐような管理作業が容易になる。
 ▽同「TMシリーズ」=サトウキビ畑での利用を目的とした新モデル。1300㎜の条間に対応。さらに、はね上げ式のリアカバーを搭載し、効率的な土寄せが可能だ。大収量品種に対応したこのモデルは、特に鹿児島地区での需要が期待される。
 ▽ササキコーポレーションとタカキタは、BFトラクタシリーズの可変施肥マップ連動機能を使用して可変施肥作業を実現する作業機を開発。今後は、「BFシリーズ」の狭幅型式との連携作業機をさらに拡充し、スマート農業を強力に支援する。
 ▽新型コンバイン「HC1170」=大豆や麦などの収穫作業における効率化と省力化を目指して開発された。ノークラッチや副変速ボタン、改良されたオーガシュータを搭載しており、大規模農業経営における作業性を大幅に向上させる。▽環境に優しい農産物保冷庫「ファームストッカ」=ノンフロン冷媒を採用。温室効果ガスの削減に効果。業界に先駆けた環境対応が注目されている。加えて、3カ月ごとの簡易点検が不要となり、現行機比で約20%の消費電力削減を実現した。
     ◇

 


 その後、エントランスでNWEGREEN・中村哲也副社長が実機を前にアイガモロボ2の商品説明(詳細後日)。また、井関の担当者からBFトラクタのマップ連動の可変施肥機(タカキタ及びササキコーポレーションの専用オプション)の紹介があった。このほかJapan直進アシスト機能付きコンバイン、有人監視型のロボット田植機、なども展示紹介。
 続いて、近隣ほ場に移動し、業界初の123馬力の大型ロボットトラクタ「TJW1233」による2台(1台は有人)協調作業のデモが行われた。ロボットトラクタは予め設定した走行ルートに従い外周を除いたほ場の内側を作業。今回は1㎞先まで遠隔操作が可能となる専用タブレットで操作。タブレットではトラクタに備え付けられている4つのカメラで作業状態を確認でき、作業スピードの調整(0.1㎞~10㎞/時)が可能だ。TJW1233は基準線を曲線に取ることもでき変形ほ場にも対応。今回の協調作業はロボットトラクタにパワーハロー(AMAZONE製)、有人トラクタに播種機(アグリテクノサーチ社製)を装着して作業した。最後は井関独自のHOME位置誘導機能でスタート位置に帰還。デモを終了した。
 次に、井関農機と連携を開始したNTT e―Drone Technology社の滝澤正宏社長が、同社のAC101 connectについて「国産ドローンで年間数百台を販売している。最も軽く、出力が大きい。1充電で他機の2倍近く航行できる。7年のサービス保障付き」などと紹介した(関連記事別掲)。
 閉会挨拶は石本徳秋執行役員営業本部長。「本日はプロジェクトZ成長戦略の国内戦略〝大型・先端・環境・畑作〟のうち、特に先端・環境についての取組みを紹介した。井関農機は今後も豊かな社会の実現に向けて邁進してまいりたい」と述べた。
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 今回、井関農機が2025年上期新商品として発表した5品目7型式は次の通り。詳細は次号以降。
 ▽トラクタBF25D―FFGQ02(1型式)▽トラクタ+ロータリTM19―K03PS+RBM73P(2型式)▽普通型コンバインHC1170(1型式)▽アイガモロボIGAM2(1型式)▽農産物保冷庫FSJ―C、FSV―C(2型式)。

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