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果樹施策の抜本的見直しを 10月29日号社説

わが国の果樹生産を巡っては長らく(昭和50年から)続いてきた生産抑制的な施策から、令和2年に生産基盤の強化に向けた政策へと転換。しかしながら依然として国内果実の供給量は減少し続けている。今、反転攻勢を仕掛けることができなければ、わが国の果樹農業が消滅に向かう可能性すらある。
 そうした状況下、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会が開かれ、果樹農業振興基本方針の改定に向けた検討がスタートした。来年4月の公表に向け今後、計4回の審議会開催が予定されている。果樹農業を次代へとつなぐため、現状を打開できるような方向性を打ち出してほしい。
 改めて果樹農業の現状を振り返ってみたい。生産側について、農水省が10月18日に公表した令和6年果樹及び茶栽培面積によると、主な栽培面積はみかんが対前年比2%減の3万6400ha、りんごが同3%減の3万5000ha、ぶどうが同1%減の1万7500haなどとなっている。一方、担い手についてみてみると、果樹の販売農家数(個人経営体)は約17万戸、うち65歳以上が7割、60歳以上が8割を占める状況となっている(令和2年農林業センサス)。
 需要側については、農水省がまとめた資料によると、1人1日あたりの果実の摂取量は緩やかに減少。また、消費者が果実に求めることとしては「見た目は良くないが安価」「食べやすい」「日持ちがする」などが挙げられている。一方、輸出については堅調で今年1―8月の実績では、りんごが対前年同期比3・1%増の70億1600万円、ももが同17・8%増の26億500万円、ぶどうが40%増の23億9400万円など多くの品目で伸びを示している。
 こうした状況について、先ごろ開催された果樹・有機部会では、「機械化や大規模化が困難な状況にあることから小規模が主体という経営構造が硬直化し、担い手の減少により生産力低下に歯止めがかからず、国内外の需要に応えきれない状況にある。また、今後の総人口の減少により需要の減少も見込まれるが、担い手の減少による生産量の減少はそれ以上のペースで進む可能性が大きい」などと説明。新たな基本方針に向け、担い手を確保し、産地を維持して、需要に応えていくため①基盤整備②省力樹形等への改植・新植③スマート機械の開発・導入――を集中的に進め、生産基盤の強化を加速する必要があるのではないか、などと検討の方向性を示している。
 令和2年から進めてきた生産基盤の強化に向けた施策への転換は今のところ十分な力を発揮しているとは言い難い。これまでの施策を抜本的に見直し、新たな基本方針が真に果樹農業の振興に効果のあるものとなることを期待したい。

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