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自給率向上へ本腰を入れて 

令和5年度の食料自給率(カロリーベース)もほぼ変わらなかった。整数値で38%。小数点以下までみると、令和4年度が37・76%、今年度が38・19%とコンマ以下ではわずかに伸びたものの、2000年代以降ほぼ横ばいで推移。自給率向上には厳しい状況が続いている。
 令和5年度の自給率を品目ごと(重量ベース)でみると、米は昨年度に引き続き99%と高かったほか、小麦(前年度比2ポイント上昇)、かんしょ(同1ポイント上昇)、ばれいしょ(同3ポイント上昇)など複数の品目で前年度を上回った。とはいえ、まだまだ自給率が低い品目も多い。前述の小麦は17%、大豆(食用)は7%などだ。また、飼料自給率は27%で、それを考慮した場合、肉類の自給率は大きく低下する。肉類全般で見た場合、飼料自給率を考慮しなければ53%だが、考慮すると8%にまで低下。政府では、飼料用米、子実とうもろこしなど飼料増産への支援を拡大しているところだが、さらなる生産拡大に向けた支援の拡充を要望したい。
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 こうした自給率の結果について、政府の施策により下げ止まっていると見るべきか、施策の効果が十分に発揮されていないと見るべきか。いずれにせよ、新たな農政へと移り変わるなか、食料自給率の向上に向け本腰を入れて施策の展開をしていくことが求められる。
 ただ、そもそも論として、どの程度の食料自給率が適切なのか。現状が低く、向上が必要なのは間違いない。現時点での目標は令和12年度までに45%とされているが、45%まで上げれば十分なのか。食料安全保障を考えた時、更に上げる必要があるのか。どれくらいが輸入で、どれくらいが国産であるべきなのか。気候変動など様々なリスクがあるなか、自給率100%はむしろリスクが高くなる。しかし、「わが国の理想の食料供給」、すなわちあるべき将来像が見えてこなければ、食料自給率の向上に必要な施策も見えてこないのではないか。
 先ごろ食料・農業・農村基本法の改正案が成立し、それに基づき基本計画の策定に向けた作業が進められている。そのなかで、食料自給率はもちろんのこと、食料安全保障の確保に向け、食料自給率だけでは見えてこないものをみるため、新たに指標も設定される見込みだ。これらの指標を含め、「あるべき食料供給の姿」を描き、その実現のため、どのように施策を展開していくか。基本計画の策定まで決して時間は多くないが、広く意見を求め、国民が一体となって取り組める計画にしてほしい。また、その際には、生産力の維持・向上に不可欠な農業機械をはじめとした各種生産資材が適切に届けられるような配慮も求めたい。

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