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施設園芸の支援更に強化を

施設園芸の支援更に強化を
先日開催された施設園芸・植物工場展(GPEC)。3日間で4万人を超える来場者が集まり、施設園芸に対する注目度の高さが伺えた。一方で施設園芸を巡っては課題も多い。
 その一つがエネルギー対策だ。冬季の加温設備など、エネルギーは不可欠。一方、エネルギー源となるA重油や灯油、LNG、LPガスなどは、近年、中東情勢やロシア・ウクライナ戦争など世界情勢の変化により高騰を続けており、施設園芸農家の経営を圧迫する大きな要因の一つとなっている。こうした状況からの脱却を支援しているのが、施設園芸等燃料価格高騰対策だ。事業の実施主体である日本施設園芸協会によると、施設園芸では事業参加者が約2万3000者、茶で1697工場と前年から大幅に増加。補てん金の交付については、施設園芸の場合、令和3年春から令和5事業年度の終わりまで交付が続けられており、厳しい経営の支えの一つとなっている。
 非常に有効性の高い燃料高騰対策ではあるが、課題もある。
 一つは農水省の施策がアンビバレントな状況にあるということ。農水省はみどり戦略の推進から電気を用いたヒートポンプへの転換の後押しを続けている。一方で燃料高騰対策は、A重油などみどり戦略で使用を削減しようというものを支援する施策だ。もちろん過渡期にあり、こうした状況が生まれるのも仕方ない部分もあると思うが、電気代も高騰するなか、ヒートポンプなどで必要となる電気代に対しての支援はない。
 もう一つの課題が令和6事業年度から急騰特例が適用除外となりそうだということ。急騰特例は直近7年のうち最高最低を除いた5年の平均を基準価格とし、それを超えた場合、本来70%の補てん額が100%となるもの。燃料は高値安定が続いており、現在の状況では基準価格を下回る可能性があるという。農産物価格に燃料価格の高騰を反映しきれていない状況で、特例がなくなれば、施設園芸農家にとって厳しさが一段と増す。
 こうした状況にあるからこそ、燃料対策の抜本的な変化が必要ではないか。これまでの単に「燃料の高騰」を補助するようなやり方ではなく、エネルギー全体を補助するようなやり方はできないだろうか。電気をより手厚く支援するなど、傾斜をつければ、みどり戦略との整合性もとりやすい。
 農家の減少はまったなしであり、それは施設園芸においても変わらない。入り口、すなわち新規就農者対策も重要だが、離農する農家が多ければ、どれだけ新規就農が増えようと意味がない。離農をできるだけ防げるよう、現在進行形で施設園芸、そして農業に取り組む人の後押しとなる支援の更なる充実を期待したい。

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